デバネズミ
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?デバネズミ科 | ||||||||||||
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ハダカデバネズミ Heterocephalus glaber |
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分類 | ||||||||||||
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デバネズミ(出歯鼠)は、デバネズミ科に属する齧歯類である。サハラ砂漠以南のアフリカに生息する。モグラのように地下にトンネルを作り、そこで生活している。トンネルの長さは1kmに及ぶこともある。根菜などの植物の根を主な食物としている。
[編集] 特徴
トンネル内の移動に適した短い手足と円筒形の胴体をしている。一生のほとんどを地中で過ごすため、視覚はほとんどなく、嗅覚や聴覚が発達している。デバネズミの外見で特徴的なのが、口から大きく飛び出した門歯である。デバネズミ属 Bathyergus 以外のデバネズミは、この門歯を用いて穴掘りをおこなう。デバネズミ属は前足の爪を用いるが、他のデバネズミに比べ、穴掘りは苦手である。
地中で生活しているため、多くの捕食者から襲われる心配がない。唯一の例外ともいうべき天敵がヘビである。ヘビは巣穴の中に侵入し、デバネズミを捕食している。
[編集] ハダカデバネズミの特異な生態
エチオピア、ソマリア、ケニヤに生息しているハダカデバネズミ Heterocephalus glaber は、ハチ、アリなどの社会性昆虫と類似した社会構造をもつ、つまり、真社会性の唯一の哺乳類である。他のデバネズミは単独生活、もしくは数頭の小集団で生活しているが、ハダカデバネズミは1つの巣穴の中に80頭以上の集団で生活している。集団のうち繁殖を行うのは、1頭の女王(2頭のこともある)と数頭のオスのみで、残りのメンバーは繁殖をせず、巣穴の維持やコドモの世話を行っている。女王が尿と共に分泌するフェロモンによって、他のメンバーの繁殖行動が抑制されていると考えられている。女王は年に4~5回出産し、一度に平均14頭の仔を生む。
[編集] 分類
- デバネズミ亜科 Bathyerginae
- デバネズミ属 Bathyergus :アフリカ南部に生息する最大のデバネズミ。2種が属する。
- コツメデバネズミ亜科 Georychinae
- コツメデバネズミ属 Cryptomys
- フタイロデバネズミ属 Georychus
- シルバーデバネズミ属 Heliophobius
- ハダカデバネズミ属 Heterocephalus :高度な社会生活をする。ハダカデバネズミ H. glaber 1種が属する。