トーマス・ヘンゲルブロック

出典: フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』

クラシック音楽

作曲家
ア-カ-サ-タ-ナ
ハ-マ-ヤ-ラ-ワ
音楽史
古代 - 中世
ルネサンス - バロック
古典派 - ロマン派
近代 - 現代
楽器
鍵盤楽器 - 弦楽器
木管楽器 - 金管楽器
打楽器 - 声楽
一覧
作曲家 - 曲名
指揮者 - 演奏家
オーケストラ - 室内楽団
音楽理論/用語
音楽理論 - 演奏記号
演奏形態
器楽 - 声楽
宗教音楽
メタ
ポータル - プロジェクト
カテゴリ

トーマス・ヘンゲルブロック（Thomas Hengelbrock, 1958年 - ）は、ドイツの指揮者。

ヴァイオリン奏者として音楽家のキャリアをスタートさせ、ニコラウス・アーノンクールのウィーン・コンツェントゥス・ムジクスへ参加。またヴィトルド・ルトスワフスキ、マウリツィオ・カーゲル、アンタル・ドラティを通じ、音楽以外の芸術全般において総合的な刺激を受け、現在の活動にもそれは反映されている。

1985年、ドイツの古楽アンサンブル、フライブルク・バロック・オーケストラの設立に加わり、1997年まで指揮を担当。以降DHMに多くの優れた録音を残す。1988年から91年まではアムステルダム・バロック・ソロイスツとも仕事をした。1995年にはドイツ・カンマーフィル・ブレーメンの初代芸術監督に任命され、彼らのバロック期のレパートリーを広げた。

1993年にはウィーン音楽祭のウィーン河畔劇場でのグルックの『アンチェステ』でオペラ指揮者としてのデビューを果たし賞賛された。次いでベルリンとウィーンでのグルックの『アウリスのイフィゲニア』、ボン・オペラハウスでのモーツァルトの『ドン・ジョヴァンニ』を指揮し、ボンでの演奏ではノルトライエン＝ヴェストファーレンの批評家たちから「ベスト・ジンサート・オブ・ジ・イヤー」に選ばれた。他にもプラハ、コペンハーゲン、パリでのパーセルの『アーサー王』、ベルリンでのバルトークの『青ひげ公の城』などを指揮している。

多くのオーケストラやオペラハウスから招聘を受ける人気と実力を兼ね備えた指揮者であり、2000年からウィーン・フォルクス・オーパーの音楽監督、2001年からフェルトキルヒ音楽祭の監督を務めている。

[編集] バルタザール＝ノイマン

ヘンゲルブロックは音楽を朗読、演技、舞踊など他の芸術と結合させるという自らの理想を実現する為に、ドイツを中心にヨーロッパ中から優れた若手ソリストを集め1991年にバルタザール＝ノイマン合唱団、1995年にはバルタザール＝ノイマン・アンサンブルを設立した。その名は設計から、彫刻、庭園を総合したドイツ・バロック期の建築家、バルタザール・ノイマンに由来している。

そのレパートリーは初期バロックから現代作品にまで及び、歴史情報に依拠した演奏実践とそれに相応しい楽器を用いた演奏を行っている。小規模な編成ながら非常に困難なパートにも合唱団のメンバーを起用できるため、モンテヴェルディの『聖母マリアの夕べの祈り』からバッハの声楽作品までの作品を演奏する上で理想的なアンサンブルである。19世紀、20世紀の作品を演奏する際は合唱団は適宜補強されている。

このアンサンブルで行われる音楽、朗読、縁起、舞踊が新しい形で結合したユニークなコンサート・プログラムやセミ・ステージ形式の演奏は高く評価されており、最も知られているのは1996年シュヴェツィンゲン音楽祭とボン・オペラハウスで行われた、9人俳優からなるアーヒム・フロイヤー・アンサンブルとの「視覚をともなうロ短調ミサ」の上演である。その模様はテレビにも収録されヨーロッパ中で放映され、ヘンゲルブロックの指揮でフライブルク・バロック・オーケストラ、バルタザール＝ノイマン合唱団によるバッハの『ミサ曲ロ短調』がCD化されると、そのブックレットの表紙はアーヒム・フロイヤー・アンサンブルが織り成す舞台の写真が使用され、多くの人の目をひいた。そしてその演奏はそれ以上に話題を呼び、この曲の最も新しい名盤となっている。