ハロッズ
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ハロッズ (Harrods) はロンドン中心部のナイツブリッジブロンプトン・ロードに面して店舗を有する高級百貨店。百貨店とは別にハロッズ・バンク、ハロッズ・エステイツ、ハロッズ・カジノ、ハロッズ・エイヴィエイション、エア・ハロッズなどのグループ企業が存在する。
ナイツブリッジの店舗は4.5エーカー (18,000m²) の敷地に100万平方フィート (92,000m²) 以上の店舗面積を有している。そのモットーはOmnia Omnibus Ubique - 「あらゆる商品を、あらゆる人々へ、あらゆる場所へ」。クリスマス限定の店舗や食料品売り場はその商品の豊富さで知られている。最寄りのロンドン地下鉄駅はナイツブリッジ地下鉄駅である。現在のオーナーは1985年に6億1500万ポンドでグループを買収したエジプト出身の富豪モハメド・アルファイドである。
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[編集] 歴史
ハロッズの歴史はヴィクトリア朝時代のイーストエンドにさかのぼる。1835年茶を扱う貿易商チャールズ・ヘンリー・ハロッドがステップニーの自宅向かいに小売店を始めた。ハロッドはコレラの流行を心配しており、ナイツブリッジの店舗を手放したがっている人物がいると知ると彼の店舗を買い取って1849年にブロンプトン・ロードにおいて営業を開始した。当時この地区はシティほどは賑わっておらずロンドンの中心とはいいかねる場所であった。
その後ウェストミンスターに接するナイツブリッジに人気が集まるようになるとハロッズは周囲の敷地を買収して大店舗となっていった。1861年に父の引退によって息子のチャールズ・ディグビー・ハロッドが経営の指揮を執るようになった。1883年には建物で火災が起き、これを機として店舗は大規模に改装された。1889年にチャールズが死去すると株式が公開された。1959年にイギリスの企業ハウス・オブ・フレイザーによって買収され、さらに1985年にモハメド・アルファイドの兄弟によって6億1500万ポンドで買い取られた。
[編集] 毛皮
80年代の後半にハロッズは毛皮商品の販売を中止した。最近になり販売を再開しており、イギリスにおいて毛皮の販売を行っている唯一の百貨店となった。ナイツブリッジの店舗前では頻繁に反毛皮のデモが行われており、店舗の入り口付近10メートルには3名の市民団体メンバーしかはいってはならないとの裁判所命令が出されている。入り口付近に引かれている黄色のラインはこの境界を表している。市民団体ではハロッズの毛皮販売が中止されるまで運動を続けると声明している。
[編集] モハメド・アルファイド
ハロッズのオーナーであるモハメド・アルファイドとイギリス政府との対立は英国のメディアを賑わせてきた。イギリスの市民権獲得問題に加え、息子ドディ・ファイドと共にパリで死亡したダイアナ妃の死に関して政府の関与を主張している。
[編集] 王室御用達
ハロッズは次に示すようにイギリス王室のメンバーから御用達の指定を受けている。
- エリザベス2世 生活用品と食料品について
- エディンバラ公フィリップ 旅行用品について
- チャールズ皇太子 旅行用品と馬具について
- エリザベス王太后 陶器とガラス製品
1956年からエディンバラ公との取引関係が続いていたが、2001年12月に破棄された。これはドディとダイアナ妃の事故が関係していると指摘された。その後アルファイドは王室との関係を全て解消すると声明している。
[編集] 日本での展開
日比翁助がハロッズをモデルに三越デパートを造った経緯から、現在も株式会社二幸(三越の子会社)が三越各店を中心にハロッズオリジナルグッズや紅茶などの食品を扱っている。また、ワールドが2005年より紳士服ブランドHarrodsを展開している。