バルク品
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バルク品 (bulk、ばら積み品)とは、コンピュータ(主にパソコン)を構成する部品や周辺機器のうち、きれいな外装箱・丁寧なマニュアル・付加価値的な同梱品・メーカー保証などのサポートを省き、簡素な包装で販売されている品目を指す。ただし、現在磁気ディスクドライブやCPU等一部の品目では、リテール品の省コスト化による梱包の簡素化などで外見上はバルク品と変わらない物も出てきており、その場合メーカーがエンドユーザー向けに出荷した正規品である場合をリテール品、OEM品や他の機器に組み込み販売する業者向けに出荷したものをバルク品と扱うのが一般的である。対義語は「リテール品」(retail、小売品、ボックス品、パッケージ品とも呼ばれる)である。
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[編集] バルク品として販売されている主な品目
下記に示すように、パソコンを構成するうえで必要なパーツの多くが出回っている。
- CPU
- メモリ
- 磁気ディスクドライブ
- 光学ドライブ
- ビデオカード
- サウンドカード
- 各種インターフェイスカード
- LANカード
- キーボード
- マウス
- 冷却装置(ヒートシンク・扇風機・水冷システム・放熱グリス・ペルティエ素子)
- 各種ケーブル
[編集] バルク品のメリット・デメリット
[編集] メリット
- いずれ捨てる外装箱や、頻繁に読む必要のないマニュアルを省いているため低価格である。
- パーツ一つ一つの製造ロットや構成部品について厳密に選定できる(特にCPU、メモリ、ハードディスクにおいては重視される傾向)。
- 収納スペースが小さいため、故障対応のパーツをストックするうえで適切である。
- 一部のCPUに限るが、リテール品のCPUにはファンが付属しているが、バルク品には付属していないので、好みのファンを組み合わせても無駄にならない。
- (メーカーはあくまで非推奨という立場を堅持するが)黙示的に高クロックへの耐性を示している品があり、クロック周波数や電圧をブーストして楽しむことができ、ベンチマーク試合に出場するユーザにとってはありがたい面がある。
[編集] デメリット
- ドライブ類においては包装が簡素なため、輸送中のトラブルに弱い。
- 親切丁寧なマニュアルが付属することはほとんどない。付いていても英語だったり、粗雑なレイアウトだったりする。
- どんな有名メーカーの品であったとしても、メーカー保証などは基本的に提供されない。販売店での保証も期間が短く、内容はごく限られている。
- 市況によって店頭で販売される現物が入れ替わるため、購入の前には店頭で現物を確認する必要がある。
[編集] よくある誤解
バルク品はその外見故に「メーカーの流出品」「品質検査に合格しなかった2級品」と誤解されがちである。
バルク品は本来部品メーカーが大口需要家にむけてロット生産した品物を、流通段階で正式に買い入れて個人向けの販売店で小分け販売されているものである。時として部品メーカーおよび大口需要家間での需給バランスの変動や特定の製品の生産中止などにより、特定の製品がバルク品として大量に陳列されることはあるが、この場合でも品質は大口需要家が採用できるレベルのものである。ただし下に示す事例には気を付けるべきである。
またよく似た語感の用語に「ジャンク品」(junk)というものがあるが、これとバルク品は全く異なるものである。ジャンク品は廃棄されたパソコンから回収した部品や、仕様が判からず実用品としての体をなしていない部品などのことである。バルク品もジャンク品も動作保証がなされない点では共通しているが、極端に言えば、バルク品はまともに使える場合がほとんどであることに対し、ジャンク品はまともに使えない場合がほとんどである。
[編集] 粗悪品の存在
バルク品であっても、名の通ったメーカーのもので、よく知られた部品を使っている製品の場合は、性能的にはまずは安心できるものが大半である。しかし、得体の知れないメーカーの製品や、日本市場の要求品質・性能を満たさないため日本で正式に発売されていない製品などをバルク品として販売するケースがある。この種の格安品のなかには、品質・性能が劣る「粗悪品」が含まれている場合があり、これらの粗悪品は一般に同種・同等性能の品と比べて格安である。また、取り付けられる側との相性によっては充分に動作するものもあるがその場合でも同種・同等性能として設計された優良品に比べると多少劣っている。粗悪品の存在が、バルク品全体のイメージを低下させている。
粗悪品としては次のようなものがある。
- 基板の回路設計が粗雑
- 基板上のはんだ付けが粗雑
- コネクタ部分の構造が悪い
- 使用している部品(ICやコンデンサなど)が安物
- (メモリにて)表記されている速度で正常動作しない
- (ビデオカードにて)アナログ信号がなまってしまい画質が劣る
- (サウンドカードにて)音声出力にノイズが乗る、オペアンプが悪くて音が割れる
- (LANカードにて)スループットが低い、CPUへの負担が高い
以下に示すものは粗悪品ではなく、違法な製品であるが、本項目に併記しておく。バルク品の市場が大幅に拡大した1990年代後期に違法な製品が多く出回る騒動があった。その後は減少傾向だったが、2005年になって大量のリマーク品や偽造品が出回り、販売店やユーザが被害を受けている。バルク品はリテール品に比べて外観での判断が難しいため、価格が異常に安いものなどは要注意である。
- 本物と見分けにくいロゴなどを装った偽造品(マウス、ハードディスク、LANカードなど)
- 低い性能のCPU表面の刻印を削り取り、高い性能のCPUの刻印を転写したもの(リマーク品と呼ばれる)
[編集] バルク品の利用に関して
自作パソコンユーザにとってバルク品の利用は当たり前であり、バルク品として入手できる品と同等のリテール品を購入するケースは少ない(リテール品の付属として有用なソフトやサービスの利用権などが同梱されていた場合、それを目当てにリテール品を買うことはあり得る)。
有名メーカー製のパソコンにバルク品のハードディスクやビデオカードを取り付けて機能向上を図るケースもある。その時点でメーカー保証は失われるが、すでに保証期間の終わったパソコンの場合は特に問題とならない。
バルク品を初めて使うときには心理的な抵抗感があるかもしれないが、そもそも今日のパソコン(PC/AT互換機)は汎用的な仕様となっており、細々とした解釈の差違や特殊性があるものの、原則に従えばバルク品であろうと、リテール品であろうと同じように動くものである。ただ残念なことに、むしろメーカー製パソコンの方が極端な仕様になっているものもあり、そのような機種を所持している場合はバルク品を避ける方が賢明である。
バルク品の中でもブランドの上下関係は存在している。バルク品に不慣れの場合は周囲の情報を集め、慎重に品定めをすれば不安感は減少する。慣れている人間であっても複数の品を複数の店舗で確認しており、「見つけたから即座に買う」という行動はあまり行われていない模様である。
また、バルク品は基本的に無保証とされているが、販売店からの短期間の保証ではなく、メーカーや代理店から3ヶ月程度の短期ながら正規の保証が得られる場合が稀にある。HDDなどさらに一部の製品ではRMA制度を利用することで年単位の長期保証が得られる場合もある(但しバルク品として流通している商品にはRMA対象外の商品も多くある為注意が必要である)。
[編集] ドライバの付属しないバルク品
ビデオカードやLANカードのバルク品には、デバイスドライバを付属させず販売されているケースがある。これは出荷ミスや偽造品ではなく、そもそもバルク品は大口需要家向けの製品のため、個別にデバイスドライバを添付しないからである。デバイスドライバはチップメーカーのWebサイトなどからダウンロード入手できるので、「ユーザ自身でドライバをダウンロードして使うように」とされたものである。一見不親切なようだが、ドライバは短期間のうちに複数回の改訂が行われることがあり、製品に付属させた場合、購入時にはすでに古いバージョンになっている可能性がある。ユーザが使用時にダウンロードした場合、最新版がインストールされることとなり都合がよい。これはドライバを収めたフロッピーディスクやCD-ROMを省くことができるため、価格の低下にも効果的に寄与している。
[編集] ニッチ市場を切り開いたブランド
「玄人志向」というブランドのパーツが随所で販売されている。これはバルク品とリテール品の中間に位置するものである。簡素とはいえしっかりと梱包されリテール品の流通経路を通じて市販されているが、中にはパーツ自身と最小限の情報しか入っていない。メーカーサポートは実施されずユーザどうしで情報交換して使いこなすというバルク品のスタイルをとっている。
本来のバルク品を販売しない店舗にて、バルク品に限りなく近い品を提供させるというビジネススタイルは、まさにニッチ市場を切り開いた好例である。