ヒメセミエビ
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ヒメセミエビ属 Scyllarus | ||||||||||||||||||||||
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![]() 大西洋産ヒメセミエビの一種 Scyllarus arctus の頭部 |
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分類 | ||||||||||||||||||||||
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下位分類 | ||||||||||||||||||||||
本文参照 |
ヒメセミエビ(姫蝉海老)は、エビ目(十脚目)・セミエビ科・ヒメセミエビ属 Scyllarus に分類されるエビの総称。熱帯・亜熱帯域の浅海に生息する底生のエビ類で、多くの種類がある。日本沿岸には9種が分布し、その中の一種 Scyllarus cultrifer (Ortmann, 1891) に「ヒメセミエビ」の和名が充てられる。
体長はどの種類も数cm-10cmほどで、セミエビ科としては小型だが、他のセミエビ科のエビ類と同様に体が扁平で、厚い甲に覆われる。セミエビに似るが体が小さいためにこの和名があるが、大きさからするとこちらの方がセミに近い。体の両縁にはセミエビ同様に棘がないが、第2触角には鋸状の歯がある点でセミエビと区別する。種類によって体の突起や第2触角の鋸歯の数、歩脚の不完全な鋏などの差異がある。
全世界の熱帯・亜熱帯域に分布し、浅海の岩礁やサンゴ礁に生息する。昼は岩やサンゴの陰に潜み、夜に海底を歩行し活動する。
日本では本州中部以南に分布する。刺し網などの沿岸漁業で混獲されるが量は少なく、食用にすることも少ない。
[編集] 日本産ヒメセミエビ類
原田英司(1962年)は、日本沿岸で新種2種を含む7種の分布を確認した。20世紀末の時点では9種類の生息が確認されている。
- Scyllarus aesopius Holthuis, 1960 - シボリヒメセミエビ
- S. aurora Holthuis, 1983 - ヤマシタヒメセミエビ(オーロラヒメセミエビ)
- S. bicuspidatus (De Man, 1902) - フタバヒメセミエビ
- S. brevicornis Holthuis, 1946 - シワヒメセミエビ(ヨコヤヒメセミエビ)
- S. cultrifer (Ortmann, 1891) - ヒメセミエビ
- S. martensii Pfeffer, 1881
- S. kitanoviriosus Harada, 1962 - キタンヒメセミエビ
- S. longidactylus Harada, 1962 - ツメナガヒメセミエビ
- S. rugosus H. Milne Edwards, 1837 - コブヒメセミエビ
[編集] 参考文献
- 保育社「標準原色図鑑全集16 海岸動物」内海冨士夫・西村三郎・鈴木克美 1971年初版
- 保育社「原色日本大型甲殻類図鑑」I 三宅貞祥 ISBN 4-586-30062-0
- 山と渓谷社「ヤマケイポケットガイド16 海辺の生き物」小林安雅 ISBN 4-635-06226-0