ビューグル
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ビューグル(bugle)とは、非常に単純な構造の金管楽器で、小型でバルブを持たないナチュラル・ホルンの一種である。音程は吹き口でコントロールする。そのため、ビューグルは自然倍音(en:Harmonic series (music))しか出すことができない。
- ビューグルで演奏する楽譜についてはen:Bugle call参照
ビューグルは主に軍隊で使用されてきた。現在も軍隊で使用されることがあるが、軍用としての役割は次第に薄れバルブもつくようになり、ドラム・アンド・ビューグル・コー(ドラム・コー)で使用されることが多くなっている。米国でのドラム・アンド・ビューグル・コーでは、ビューグルはGキーを基本のキー(調)とした管(G管)を使用するが一般的である。1900年初頭に軍隊が楽器を売却したことで市民によるドラム・コー楽団が設立されはじめた。軍隊では指示に無線通信が用いられるようになり、信号用途としてのビューグル使用はなくなったが、軍隊においてはGキーが基本キーとして用いられていたことから、現在でも米国でのビューグルがGキーであることにつながっている。米国外でのビューグルはB♭またはE♭が基本キー(調)である。(これを通常B♭管、E♭管と表現する。)
コルネットがバルブ付ビューグルとして紹介されることがあるがこれは誤りである。コルネットはフランスの郵便ラッパ「cornet de poste:コルネ・ド・ポスト」に由来するものである。
19世紀にあったビューグルの変種としてはキー付ビューグルやバルブ付ビューグルがある。キー付ビューグルは19世紀初期に英国のジョゼフ・ホーリデイが1811年に特許を取得した特定の設計をさす発明品「ロイヤル・ケント・ビューグル」を指す。これは大変普及し1850年代まで非常に広く使われていた。のち米国陸軍士官学校の楽団のバンドマスターに就任することになるリチャード・ウィリス(Richard Willis)の作品はキー付ビューグルを用いた作品の代表例である。バルブ付コルネットの発明によりキー付ビューグルは衰退した。