フレキシブルプリント基板
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フレキシブルプリント基板(フレキシブルプリントきばん)は、柔軟性があり大きく変形させることが可能なプリント基板。略語はフレキシブル基板あるいはFPC(Flexible printed circuits)。電子機器業界では略してフレキと呼ぶこともある。フレキシブルケーブルは、柔軟性があり大きく変形させることが可能な配線。フレキシブルエレクトロニクス(Flexible electronics)は、変形可能な電子部品に関する技術の総称。
[編集] 性質及び材質
一般的なフレキシブル基板及びフレキシブル配線の構造、性質及び材質は以下の通り。
- 厚み30μmから150μmのフィルム状の絶縁体(ベースフィルム)の上に接着層を形成し、さらにその上に厚み20μmから50μm程度の導体箔を形成した構造であり、一般的なリジッド基板の総厚み0.3mmから1.6mmと比較して薄い。端子部やはんだ付け部以外には絶縁体を被せて保護している。
- 小さい力で繰り返し変形させることが可能であり、変形した場合にもその電気的特性を維持する。
- 絶縁体としてカバーレイと呼ばれるポリイミド膜、導体としては銅が一般的に用いられる。
[編集] 用途
- 可動部品への配線、例えばシリアルプリンターのヘッドに電気信号を伝える配線や、折りたたみ型携帯電話の蝶番を通る配線、カメラのレンズ内配線など。
- 立体的な配線あるいはプリント基板、例えば主基板から離れた液晶ディスプレイなどの部品に電気信号を伝達する配線や、空間的制約のために配線や基板を曲げる必要がある箇所など。
[編集] 歴史
変形可能な配線部品としてフラットケーブルが古くから使われてきたが、特に小型軽量化が望まれる宇宙開発や航空機などにおいては1960年代からフレキシブルケーブルが使われ始めた。1966年、フレキシブルケーブルに適する素材ポリイミドがデュポンによって開発され、広く利用されるようになった。一般的な製品としては1972年に発売されたヤシカ製一眼レフカメラエレクトロAXの内部配線や、1975年に発売されたシャープ製コンパクト型電卓EL-8009の蝶番部に採用された例がある。現在ではほとんどの携帯機器に使用されている。