ブレンパワード
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『ブレンパワード』(BRAIN POWERD)は富野由悠季監督により制作され、1998年WOWOWで放送されたアニメ作品。全26話。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
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[編集] 作品内容
『ブレンパワード』の舞台は自然災害で荒廃した近未来の地球。海底から浮上した謎の遺跡オルファンを巡る人々の物語である。
[編集] 作品概要
本作は『機動戦士Vガンダム』以降、精神的な疲労により一線を退いていた富野由悠季が五年ぶりに制作したTVアニメシリーズである。めったに自作を褒めることのなかった富野由悠季が自ら「第二のデビュー作」と語る自信を見せた。富野作品はこれから『∀ガンダム』、『キングゲイナー』へと続いていく。本作を「リハビリ」と公言する通り、監督自身の再生の過程でもある。
しかし作品としてはまとまりが悪く、難解と言われる富野作品の中でもさらに理解の難しい部類に入る。全話を通した後に二度三度と視聴することで初めて感覚的に見えてくるものが多い風変わりな作品である。その一方で、それまでの富野作品に見られたような、殺伐とした雰囲気や残酷な描写は極力抑えられており、どこか暖かみを感じさせる作風は、本作の特徴の一つとなっている。
また作品内容と並んでしばしば語られるのが、オープニングの映像である。ロボットアニメのOPにも関わらず機体はほとんど登場せず、作品に登場する女性キャラが全裸の姿という映像は、視聴者に強烈なインパクトを与えた。機体や登場人物が踊る『キングゲイナー』OPと並び、富野のセンスが伺える映像である。
一方で、エンディングは写真家荒木経惟による植物の写真を流す、アニメのエンディングらしからぬ構成となっている。富野由悠季が荒木経惟の作品や撮影スタイルに感銘を受けた上で、氏に会いたいという願望もあり採用を行った経緯がある。
声優陣についても意欲的な配置がされており、主要メンバーを演じる白鳥哲、村田秋乃、朴璐美、青羽剛らは全員舞台俳優からの抜擢である。同時に川村万梨阿、渡辺久美子、塩屋翼といった富野作品と関係の深いメンバーも配されている。
キャッチコピーは「頼まれなくたって生きてやる」。当時社会現象になっていた『新世紀エヴァンゲリオン』のキャッチコピー「だからみんな死んでしまえばいいのに」や、本放送時に公開されていた劇場用アニメ『もののけ姫』のキャッチコピー「生きろ。」に対する、富野監督の返答にも感じられて興味深い。
[編集] ブレンパワードとは
「ブレンパワード」とは、作中に登場する人型の存在「アンチボディ(オーガニックマシンともいう)」の内の一つで、リクレイマーの使用する「グランチャー」とは対立している。劇中では大抵ブレンと略して呼ばれる。一見いわゆる「巨大ロボット」だが、傷が治ったり、意思を持っていたりと生体のような特徴を持っている。「アンチボディ」とは、本来「抗体」を指す医学用語である。
アンチボディはオルファンから生まれるプレートから「リバイバル(再生)」することにより生まれる。ごく稀ではあるが双子も誕生する。 誕生してから、リバイバルに立ち会った人間をコクピット(人間の子宮の場所に当たる部分)に搭乗させる。基本的に初めて搭乗した者の名を取って「ユウブレン」「ヒメブレン」のように個人の名前をつけて呼ばれている。 リバイバル時、ブレンバー(グランチャーはソードエクステンション)という武器も一緒にリバイバルする。
アンチボディはオーガニックエナジーで動く。オーガニックエナジーとは簡単に言えば動植物の生体エネルギー。世界に存在しているこれを使って動いたり、攻撃したりする。
ブレンパワードはグランチャーに比べて穏やか、グランチャーは気性が激しいと言われている。また、グランチャーが突然変異したものに「バロンズゥ」がある。
ユウブレンは青色で勇猛、ナンガブレンは薄緑色で臆病など、個体差がある。意志を持って自立行動をとり、時にはパイロットに逆らって行動する。逆に、デッキブラシで擦られ、手入れされて喜ぶという一面も見せた。
多少の怪我なら自己修復機能が働くが、足や腕を失うなどの大怪我を負った場合、元には戻らない。その場合義足や義腕をつけて運用されている。人間で筋肉に相当する部分は、多層積層の板ばねのようになっており、弾性力を蓄勢させて行動する。
[編集] アンチボディ一覧
[編集] ブレンパワード
- ユウブレン
- 体色は青色で雄々しい。勇がオルファンを脱出する際に搭乗して以降、彼の愛機となる。後にネリーブレンと融合し、以後はネリーブレンと呼ばれる。
- ヒメブレン
- 体色は肌色。リバイバルに立ち会った比瑪をそのままパートナーとする。おとなしい性格。
- ラッセブレン(初代)
- 体色は紺色。物語中盤でオルファンに特攻。その際、ラッセにオーガニックエネルギーを分け与えた。
- ナンガブレン
- 体色は白。ナンガからはブレン・シルバレーと呼ばれたこともある。臆病な性格。
- ブレンチャイルド(カナンブレン)
- ヒギンズブレンの双子(同じプレートからリバイバルしたため)。体色はピンク。外観はグランチャーに似ている。
- ブレンチャイルド(ヒギンズブレン)
- カナンブレンの双子。体色は黄色。カナンとヒギンズはそれぞれ自分のブレンの方が兄だと思っている。
- ネリーブレン
- 勇が北欧で出会った新種のブレンパワード。作中では氷の張った湖の上をスケートしていた。ネリー・キム曰く『不完全な状態』らしく再リバイバルを必要としていた。再リバイバルの再にユウブレンと融合、以後ユウの乗機となる。
- ナッキィブレン
- ナッキィがグランチャーと共にノヴィス・ノアに持ち込んだ3体のうち1体。体色は黄色+赤。当初は無人で動いていたが、ナッキィがグランチャーを失った後、愛機とする。他の2体はラッセ機とカント機になった。
- ラッセブレン(2代目)
- ナッキィの連れてきた3体の内の1体。体色は黄+青。ラッセをパートナーと認め、ナッキィから譲られた。
- カントブレン
- 元はナッキィのブレン。体色は黄色+水色。
[編集] グランチャー
- グランチャー(ジョナサン・グレーン)
- 体色は黄土色。左腕をユウブレンに斬られ、鉤状の義手をつける。
- グランチャー(クインシィ・イッサー)
- 体色は赤。作中、左足を失い義足をつける。他のグランチャーと比べて自立的で、クインシィが搭乗することなしに行動することも出来るようになる。爪を伸ばしてノヴィス・ノア艦内を破壊したりもした。後に再リバイバルしてバロンズゥになる。
- グランチャー(シラー・グラス)
- 体色は灰色。
- グランチャー(カナン・ギモス)
- カナンがオルファンを脱走する際にシラー・グラスに撃墜される
- グランチャー(エッガ・ブランガン)
- 体色は黒。ブレンチャイルドのチャクラエクステンションで撃墜される。漫画版では登場しなかった。
- グランチャー(ケイディ・ディン)
- 一般的な種類らしく。同色の機体が多数搭乗した。
- グランチャー(伊佐未勇)
- 勇がリクレイマー時代に使用していた。体色は青。
- グランチャー(ナッキィ・ガイズ)
- グランチャーで唯一オルファンに敵対した。クインシィ・イッサーに撃墜された。
- アーミィグランチャー(米軍パイロット)
- 戦車の塗装にあるような濃緑色が特徴。
[編集] バロンズゥ
- バロンズゥ
- 体色は白。肩のフィン(ひれ)が伸縮自在で、これを使って攻撃することができる。搭乗者はジョナサン・グレーン。バロンがバロンズゥに乗った際巨大化した姿は同じ富野作品である『聖戦士ダンバイン』のハイパー化を髣髴とさせ、「ハイパーバロンズゥ」と呼ばれる(但し、アニメ・漫画ともに巨大化したものの名称については作中には一切出てきておず、ハイパーバロンズゥの呼称は『スーパーロボット大戦J』が初出)。
- クインシィ・バロンズゥ(『スーパーロボット大戦J』で依衣子が味方になった後は「イイコ・バロンズゥ」と表記)
- クインシィのグランチャーが再リバイバルしたもの。体色は赤
[編集] スタッフ
- 原作: 矢立肇、富野由悠季
- 総監督: 富野由悠季
- キャラクターデザイン※: いのまたむつみ
- メカニックデザイン※: 永野護
- メカニックデザインサポート:沙倉拓実
- アニメーションデザイン: 重田敦司
- 美術監督:佐藤勝
- 音楽: 菅野よう子
- 音響監督:浦上靖夫
- メインロゴデザイン:熊川明久
- エンディングスチール:荒木経惟
- アニメーション制作:サンライズ
※本作ではキャラクターデザイン、メカニックデザインではなく両者を合わせてメインデザインとされている。
[編集] 主題歌
- オープニングテーマ「IN MY DREAM」
- 作詞・作曲・歌:真行寺恵里 編曲:伊藤真太郎
- エンディングテーマ「愛の輪郭(フィールド)」
- 挿入歌「天神さんの子守唄」
- CMソング「LIGHT OF LOVE」
[編集] 主要登場人物
- 伊佐未勇(いさみ ゆう) 声優:白鳥哲
- 宇都宮比瑪(うつみや ひめ) 声優:村田秋乃
- カナン・ギモス 声優:朴璐美
- ジョナサン・グレーン 声優:青羽剛
- クインシィ・イッサー(伊佐未依衣子(いさみ いいこ))/クマゾー 声優:渡辺久美子
- ラッセ・ルンベルク 声優:三木眞一郎
- ナンガ・シルバレー 声優:辻親八
- コモド・マハマ/アカリ 声優:沙倉祥子
- シラー・グラス 声優:田中敦子
- ヒギンズ・サス 声優:川村万梨阿
- ウィンストン・ゲイブリッジ 声優:佐古正人
- 伊佐未直子 声優:杉本るみ
- ユキオ 声優:浅川美也
- レイト艦長/士官 声優:中村秀利
- ナッキィ・ガイズ 声優:冬馬由美
- カント・ケストナー 声優:佐々木るん
- アイリーン・キャリアー 声優:名越志保
- モハマド(マンガ版では『ムハマド』) 声優:塩屋翼
- ノヴィス・ノア副官/桑原博士/副官 声優:中嶋聡彦
- 源野三尾(みなもとの みつお) 声優:日高奈留美
- ネリー・キム 声優:高荻晴子
- ケイディ・ディン/リクレイマー 声優:千葉一伸
- ヌートリア艦長/キメリエス副官/士官 声優:中博史
- フィジシスト:中村大樹
- 伊佐未研作 声優:堀部隆一
- 伊佐未翠 声優:叶木翔子
- 伊佐未イサム
- 士官:松本大
- かえで先生
- オルファンの少女 声優:大谷育江
[編集] 放映リスト
- 深海を発して
- 運命の再会
- 勇の戦い
- 故郷の炎
- 敵か味方か
- ダブル・リバイバル
- 拒否反応
- 寄港地で
- ジョナサンの刃
- プレートの誘惑
- 姉と弟
- 単独行
- 堂々たる浮上
- 魂は孤独?
- 一点突破
- 招かれざる客
- カーテンの向こうで
- 愛の淵
- 動く山脈
- ガバナーの野望
- 幻視錯綜
- 乾坤一擲
- スイート・メモリーズ
- 記憶のいたずら
- オルファンのためらい
- 飛翔
[編集] メディア展開
- 小説版(ハルキ文庫)
- 深海より発して 著・面出明美
- カーテンの向こうで 著・面出明美
- 記憶への旅立ち 著・斧谷稔
- 漫画版(角川書店) 全4巻 画・杉崎ゆきる
[編集] 関連事項
『機動戦士Vガンダム』以来、実に5年ぶりとなった富野作品だったが、WOWOWという媒体のせいもあってか、いまひとつ話題に上らなかった。しかし、声優の朴璐美はこの作品での演技力を認められ、次回作の『∀ガンダム』では、富野ガンダムにおいて、初めて女性が主人公を演ずることとなった。
また、WOWOWに於ける実質的な最初の有料アニメ(スクランブル放送)でもある。
この作品は同時期に大ヒットしたアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』に対する富野由悠季の解答と言われている。
この作品の企画は当初「20周年記念ガンダム=次作:∀ガンダム」としてスタート(イメージ)されていたようである。富野由悠季監督本人がイベント(1996年)中、リップサービスで「20周年記念でガンダムをやれないかという話はある。キャラクターデザインいのまたむつみ、メカデザイン永野護だったらみんな見たいでしょう」と発言している
[編集] 外部リンク
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