∀ガンダム
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∀ガンダム | |
---|---|
ジャンル | ロボットアニメ |
テレビアニメ | |
監督 | 富野由悠季 |
アニメーション制作 | サンライズ |
製作 | フジテレビ サンライズ |
放送局 | フジテレビ |
放送期間 | 1999年4月9日 - 2000年4月14日 |
話数 | 全50話 |
映画: 劇場版∀ガンダムI 地球光 | |
監督 | 富野由悠季 |
制作 | サンライズ |
封切日 | 2002年2月9日 |
上映時間 | 128分 |
映画: 劇場版∀ガンダムII 月光蝶 | |
監督 | 富野由悠季 |
制作 | サンライズ |
封切日 | 2002年2月10日 |
上映時間 | 128分 |
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『∀ガンダム』(ターンエーガンダム、Turn A Gundam)はサンライズ製作のテレビアニメで、「ガンダムシリーズ」の一作。1999年(平成11年)4月9日から2000年(平成12年)4月14日までフジテレビ系列の一部で全50話が放送された。2002年にはアニメーション映画として『地球光』『月光蝶』の2本にまとめられ、劇場公開されている。2007年にDVDメモリアルボックスⅠ、Ⅱの発売が決定した。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
目次 |
[編集] 物語
正暦2343年、月の民(ムーンレィス)の少年ロラン・セアックは、「地球帰還作戦」の潜入調査員として北アメリア大陸に降下した。旅の途中、川で溺れているところをキエルとソシエのハイム姉妹に助けられた。鉱山を経営するハイム家は新興富裕階級[1]に属し、当主の長女キエルはロランが憧れる月の女王ディアナ・ソレルにそっくりだった。ロランは姉妹の力添えでハイム家に雇われ、のちに機械好きを買われて自家用車の運転手に起用されるなど、地球人として平穏な日々を重ねた。
2年後、ロランとソシエは、マウンテンサイクルでの成人の儀式に参加していた。同じ頃、地球と月との2年間にわたる秘密交渉が決裂し、月の女王の軍隊(ディアナ・カウンター)が「地球帰還作戦」を開始。巨大なモビルスーツで威圧するようなディアナ・カウンターに対し、地球のアメリア市民軍(ミリシャ)は複葉機や高射砲などの旧式装備で、果敢に郷土防衛戦をはじめた。この戦力差を理解していないミリシャの攻撃にいらだつディアナ・カウンターの一機(ポウ少尉)は、発砲を禁じられていたにもかかわらず、対艦ビーム砲を発射し、マウンテンサイクルに封印されている“黒歴史”の遺物「∀ガンダム」を目覚めさせてしまう。ロランはなりゆきから∀ガンダムのパイロットになり、地球と月の共存のために活躍する。
[編集] 作品解説
[編集] シリーズ内での位置づけ
本作品は、ガンダム誕生20周年企画の一環として製作された。1997年4月頃から企画が動きはじめるものの、『ブレンパワード』の制作(準備)期間と重なったこともあり、放送までに2年ほどの時間を要した。
過去のガンダムシリーズ諸作品を黒歴史の中に位置づけるという新機軸で、シリーズに新たな観点を加えた。また、黒歴史のような雄大な構想だけではなく、忘れ去られていたモビルスーツや宇宙船が発掘されるなど、大胆な発想も見られる。こうした点もあり、物語は過去作品との類似性が低い。また、ロラン(「人命尊重ゆえに戦い、かつ殺傷を避ける」ガンダム・パイロット)など、新しいタイプの主人公を登場させ、シリーズの可能性を広げている。
タイトルにある「∀」(Allの頭文字を逆さにしたもので、数学基礎論などではオールと発音する)は、数学や論理学で用いられる全称記号であり、「全ての~」を意味する。この記号を用いることで、「全てを含む・包括する」という意味を作品に与えている。つまり、タイトルの『∀ガンダム』[2]には、シリーズそのものを総括したいという思いが込められているのである。さらに、この作品での∀の読み方、ターン・エーには、「A(最初)に戻る」という思いも込められた。同時に作中では、∀に「歴史を戻す」という意味合いを持たせている(対照的に敵側の機体ターンXにはXをひっくり返してもX、つまり「歴史を戻せない」という意味合いもある)。なお、いまのところ本作品が富野監督最新のTV版ガンダムである。
[編集] 特徴(シリーズ他作品との共通点・相違点など)
これまでのシリーズ作品に比べると、19世紀ないし20世紀初頭のような時代設定(世界観)、戦乱が起こる2年前から物語を始めていること、因縁のある敵キャラクターが登場しないこと、富野作品なのにニュータイプが登場しないことなど、独自色が強い。とりわけ、上述のとおりシリーズの総括を意図しながら、ニュータイプ等の超能力的なものを採り上げていない点が注目される。また、非情な設定と残酷なシーンがあまり見られず、むしろ世界名作劇場シリーズのような[3]、牧歌的で穏やかな印象さえ受ける。とくに、シビアな描写を多用した『機動戦士Zガンダム』、『機動戦士Vガンダム』と一線を画しており、富野監督の心理状態なども反映されている。さらに、『機動戦士ガンダム第08MS小隊』のような局地戦ではなく、戦乱の全体像を描きながら、コロニー落とし等による大量殺戮(さつりく)を黒歴史の中だけにとどめて否定したことも[4]、最後まで牧歌的な雰囲気を保てた一因である。
オープニング・エンディング映像[5]から読み取れるように、物語の中では、ロランとともに、月の女王ディアナとその瓜二つのキエルが重要な位置を占めている[6]。モビルスーツのパイロットでも、ニュータイプのような異能者でもない(政治的)女性が物語の中心にいる点も、特徴の一つである。ちなみに物語では、傾向として女性を能動的に、男性を受動的に描いており、戦後は女性リーダーが月だけでなく、アメリアをも率いて行きそうな伏線を張っている。また、中性的な人物を登場させ、カミングアウトしない理由まで語らせた点は、ガンダムシリーズとして異色である[7]。中性的という点では、月側に正体をさとられないため、女性に扮していた頃のロランも挙げられる[8]。
このように独自性がある反面、第一作『機動戦士ガンダム』以来となる主役機の乗り換えがなく、戦闘シーンも第二作『Zガンダム』以降の派手な演出を抑え、1対1などの小規模戦闘が多く[9]なっている。こうした点は、ターン・エーの読み方(最初に戻る)からも、第一作を意識して作られた感じがする。ただし、第一話で主役機∀ガンダムが登場しないこと、この機体に搭載された月光蝶システム(究極の戦略兵器)などの設定を踏まえれば、原点回帰とまではいえない。
また、『機動戦士ガンダム』のように、キャラクターの一部が本音と建前を使い分けたり、嘘をついたりする[10]シーンがあることに加え、キャラクターの本当の気持ちは、必ずしも明確に表現(説明)されていない。このため視聴者の立場からすると、表面には出ないキャラクターの真意について推察する余地が大きく、それだけ解釈が分かれやすい作品である[11]。さらに、舞い上がるシャボン玉一つ一つに歓喜の姿を映したり、またロランとディアナの間に入り込めないソシエが立ち去る場面で、二人とソシエの間に心理的な線を引くかのようにオートバイを横切らせたりする(いずれも21話)など、こった演出が多い[12]。
もっとも、このような表現スタイルに付いて行けない視聴者がいた。というより、ディアナとキエルの入れ替わる「物語」そのものが複雑化する要素を内包しており、その上、わかりやすい表現で説明されなければ、視聴者が混乱してもおかしくない。説明をひかえて視聴者に考えさせようとする手法に、魅力を感じる人もいれば、魅力を感じない人もいるだろう。ちなみに『機動戦士ガンダム』も、予備知識のない視聴者、とくに低年齢層が簡単に理解できるような作品ではない。見方を変えれば、物語の諸設定と展開やキャラクターや兵器等について、あれこれ考える楽しみを視聴者に与えているのである。この意味で、再視聴時に新たな発見をしたり、過去と異なる感想を持ったりする可能性が高い作品といえる。
[編集] その他
スポンサーがローカルセールス扱いであったため、放送していた系列局(フジテレビを除く)が27局中10局と半分以上の系列局が放送しておらず、しかも未放送の局に基幹局が含まれていたこと、他に放送時間が従来のアニメ作品の放送時間枠から外れた中途半端な時間だったことなどから、注目を集めることが難しく大きな話題性を得るには至らなかった。しかし全体的に作画や動画の質は高水準でまとまっており、ガンダムシリーズとしても富野監督作品としても傑作として評する声は少なくない。
なお、主役の朴璐美とヒロイン役の高橋理恵子と共に月刊ニュータイプでのインタビューに出演した富野由悠季は、2005年に放映された劇場版機動戦士Zガンダムと同じく、20年後(おそらく2019年)に新訳の∀ガンダムを創りたいと述べていた。そして、朴と高橋もその時には同じ役で出たいとコメントしている。
[編集] スタッフ概要
総監督にガンダムの生みの親である富野由悠季が就き、メカニックデザインに映画『ブレードランナー』『スタートレック』のシド・ミード、キャラクター原案にゲーム『ストリートファイター』などを手がけたカプコン(当時)の安田朗が参加した。
シド・ミードは、人体の可動性と機械の合理性をもとにした革新的なデザインを行い、マンネリが常態化していたガンダムシリーズ(延いては、日本のロボットアニメ自体)のメカニックデザインに新風を吹き込んだといえる。主役機・∀ガンダムは従来のガンダムタイプとは大きく異なる外観を持ち、特に額のブレードアンテナに替わるチークガード(頬当て)に当たる「髭」が話題を呼んだ。しかし、そのデザインや世界観が話題となり、ファンからは「説得力のあるデザイン」などとして評価されたものの、後に制作された新シリーズ『機動戦士ガンダムSEED』以降にはそれらの要素が受け継がれず、旧来のデザインを踏襲している様子をみると、日本のロボットアニメ(及び視聴者)に十分に受け入れられたとは言い難い[13]。
なお、ガンダムシリーズで初めて、女性の声優が男性の主人公を演じた作品でもある。
[編集] 主要登場人物
詳細は各項目および∀ガンダムの登場人物を参照。
- ロラン・セアック:朴璐美
- キエル・ハイム/ディアナ・ソレル:高橋理恵子
- ソシエ・ハイム:村田秋乃
- グエン・サード・ラインフォード:青羽剛
- ハリー・オード:稲田徹
- キース・レジェ:福山潤
- フラン・ドール:渡辺久美子
- シド・ムンザ:野島昭生
- リリ・ボルジャーノ:小林愛
- ギャバン・グーニー:大塚芳忠
- フィル・アッカマン:小山剛志
- ヤーニ・オビュス:桐本琢也
- ミハエル・ゲルン:金尾哲夫
- ポゥ・エイジ:中西裕美子
- ジョゼフ・ヨット:佐藤せつじ
- ミラン・レックス:曽我部和恭
- アジ大佐:仲野裕
- コレン・ナンダー:川津泰彦
- サム/ヤコップ:宇垣秀成
- ジェシカ:秋元千賀子
- ハイム夫妻(ディラン・ハイム:長克巳、ハイム夫人:北條文栄)
- メシェー・クン:鬼頭典子
- ラダラム・クン:沢木郁也
- キャンサー・カフカ:高乃麗
- ムロン・ムロン:立木文彦
- ギム・ギンガナム:子安武人
- メリーベル・ガジェット:夏樹リオ
- マリガン中佐/アグリッパ・メンテナー:石丸博也
- スエッソン・ステロ:ウガンダ・トラ
- テテス・ハレ/リンダ・ハレ:冬馬由美
[編集] スタッフ
[編集] シリーズスタッフ
- 企画:サンライズ
- 原作:矢立肇、富野由悠季
- 総監督: 富野由悠季
- キャラクター原案:安田朗
- キャラクター設定:菱沼義仁
- メカニックデザイン:大河原邦男、シド・ミード、重田敦司、沙倉拓実
- 美術監督:池田繁美
- 色彩設計:笠森美代子
- 撮影監督:大神洋一
- 編集:山森重之
- 音響監督:鶴岡陽太
- 音楽:菅野よう子
- 制作協力:ASATSU-DK、創通エージェンシー
- プロデューサー:鈴木吉弘、富岡秀行
- 制作:フジテレビ、サンライズ
[編集] 各話スタッフ
- 脚本
- 絵コンテ
- 演出
- 作画監督
[編集] 主題歌
- 前期オープニングテーマ『ターン A ターン』(2話~38話)
- 後期オープニングテーマ『CENTURY COLOR』(39話~50話)
- 作詞:井荻麟・浜口祐夢 作曲:浜口祐夢 編曲:RAY-GUNS 唄:RAY-GUNS
- 前期エンディングテーマ『AURA』(1話~15話、17話~40話)
- 後期エンディングテーマ「月の繭」[14](41話~49話)
- 作詞:井荻麟 作曲・編曲:菅野よう子 唄:奥井亜紀
- 『限りなき旅路』(最終話のみ)
- 作詞:菅野よう子 作曲:C.Piece 編曲:菅野よう子 唄:奥井亜紀
[編集] サウンドトラック
[編集] 放送リスト
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[編集] 関連作品
[編集] 映画
- 『劇場版∀ガンダムI 地球光』
- 『劇場版∀ガンダムII 月光蝶』
2001年に制作され、2002年2月~3月に全国一斉公開された。2部作を日替わりで上映する「サイマル・ロードショー」方式が話題となった。
- エンディングテーマ『AFTER ALL』
- 作詞:Chris Mosdell 作曲・編曲:菅野よう子 唄:Donna Burke
[編集] 小説
- ターンエーガンダム(著:佐藤茂、発行:角川書店[角川スニーカー文庫]、1999年-2000年)
- 1巻「初動」
- 2巻「騒乱」
- 3巻「百年の恋」
- 4巻「火と月」
- 5巻「月光蝶」
- 「Episodes」
- ターンエーガンダム(上・下)(著:福井晴敏、発行:角川春樹事務所[ハルキ・ノベルス]、2000年)
- ※2001年に『月に繭 地には果実』(上・中・下巻)(幻冬舎)に改題され文庫版で出版された。また2005年には『月に繭 地には果実 From Called "∀" Gundam』(幻冬舎)としてハードカバーで出版されている。いずれも写実コスプレ風、戦国合戦絵巻風、そしてアニメ版のキャラクター原案を担当した安田朗入魂のイラストと、それぞれ出版ごとに装丁の方向が全く異なっており、一見の価値がある。
- その内容は初期プロットに沿っているため、中盤以降のその内容はアニメ版とは大きくストーリーが異なり、アニメ版の世界名作劇場的な穏やかな雰囲気とは反対に、かつての富野監督自らの執筆による宇宙世紀シリーズ・ガンダムのノベライズを思い起こさせるようなハードな作風となっている。また、「GUSOH」など福井作品でおなじみの兵器が登場したり、アニメ版では詳細に語られなかった熱核反応炉に代わるモビルスーツの主機関縮退炉の描写やニュータイプの概念、(アニメ版では敢えて映像を引用するだけに留めていた)過去のガンダムシリーズの各シーンにも直結する黒歴史の描写を細密に描くなど、作風の違いには賛否両論がある。
- 初版当時は江戸川乱歩賞受賞の作家が敢えてアニメ作品のノベライズに取り組むという事でも話題を呼んだ。文庫化に際し「ガンダム」のタイトルを外した改題が行われたのは、幻冬舎の意向により、本作以降『亡国のイージス』等で世間に人気作家として認知されていた福井のオリジナル作品として、一般的な市場に売り出そうという思惑によるものだという。ただし、タイトルそのものは福井自身考案によるもの。佐藤茂版の挿絵を担当した萩尾望都の作品をイメージしてつけられたものだという。内容に関して変更はなく、作中では「ガンダム」等の固有名詞や設定もそのままである。
[編集] 漫画
- コミックボンボン版 ときた洸一画 講談社ボンボンコミックス・全2巻
- 原作のアニメ版に準じた内容になっているが、月刊誌という事もあり、省略されているエピソードも多い。発掘されるモビルスーツの機種に関してもアニメ版とは多少異なり、ムットゥーに代わりバウンドドック、コレン専用カプルに代わりガンダムアスクレプオスが登場する。これはアニメとコミックの製作スケジュールの関係で、詳細が決定する前のシナリオを基に作画が行われているからだと思われる。
- マガジンZ版 曽我篤士画 講談社マガジンZコミックス・全5巻
- ボンボン版と同じく月刊誌での連載だが、ボンボン版よりも連載期間が長く、アニメ版が放送を終了した後も連載が続けられた。アニメ版に無いオリジナルエピソードが挿入されている他、アニメ版では死亡するキャラが生存していたり、逆に生存しているキャラが死亡するなど、独自の展開を見せ、ラストに至る一連の展開もアニメ版とは違っている。
- 月の風(著:安田朗)
[編集] 脚注
- ^ ハイム家のある北アメリア大陸イングレッサは、領主(ラインフォード家)により統治されているので、「階級」と表現。また、産業革命を意識した設定が多く、ハイム家は「産業資本家」(注:ブルジョワジーへ)のイメージに近い。
- ^ シリーズ他作品と異なり、「機動戦士」や「新機動戦記」などの修飾語がないタイトルからも、『∀ガンダム』は特別な存在といえる。
- ^ この点は、富野監督から意見を求められたという星山博之へのインタビュー記事が興味ぶかい。『∀ガンダムVol.2』、78頁。また、おそらく余談ではあるが、後に『機動警察パトレイバー』等で有名になるゆうきまさみがアマチュア当時月刊OUTにパロディ漫画「イデは燃えているか」(「ぱろでぃわぁるど」収録)で「監督は巨大ロボット路線で名作劇場に迫ろうとしているのだ」と描いたのも、卓見であったと言えるのではないか。
- ^ 核兵器の軍事使用、月面都市と冬の宮殿(大勢が人工睡眠中のドームを含む)の破壊、月光蝶システム稼働による文明滅亡などの危機は、すべて回避されており、またキャラクターの死などに結びつける等、否定的観点が強調されている。
- ^ エンディング曲「月の繭」が使われた二番目の映像は、ディアナを思わせる女性だけが登場して蝶に変身した。このようにシリーズ他作品と異なり、キャラクターの姿をそのまま現していない点は、特筆に値する。
- ^ 物語は、ロランの地球降下(ディアナ下命の帰還作戦の一段階)で幕を開け、24話でディアナが「戦争の暴走を止める」ために月にもどる決意を語るまでが前半に、「戦争の暴走が止まる」までが後半になっている。最終話は、存亡の危機を脱し、ロランの無事にも安堵するディアナの姿で一段落(フェードアウト)しており、最後に二人の関係を間接的に表現して全50話の幕を閉じている。
- ^ アメリアの統治を口にするリリと、女性ではリーダーシップを発揮できないとするグエンが対照的であり(最終話)、両者の違いは、戦場での指揮ぶりを通しても表現された(49話)。なお戦後、グエンは追われるように故郷から離れている。
- ^ この頃のロランは、ミリシャの一員として∀ガンダムの操縦を任されているが、周囲にムーンレィスであることを明かしておらず、こうした「嘘」にまつわる伏線は8話のラスト・シーンにつながる。なお、「嘘」への着目は、すでに初期の構想段階から表れている(『∀ガンダムVol.2』、68頁)。
- ^ この点は作意に基づくと、富野監督が述べている。実際、主役機の∀ガンダムが登場すると、ほぼ毎回戦闘シーンが盛り込まれ、単機で縦横無尽の活躍を見せている。 (「∀の癒し」より)
- ^ 上記注のとおり、構想を練っていた段階から「嘘」がテーマの一つになっている。そして物語では、ムーンレィスそれも「地球帰還作戦」の潜入調査員であったことを伏せるロラン(武力衝突の起こった日に任務が完了)、立場を入れ替わる女王ディアナとキエルの中心人物三人がいずれも周りに嘘をついてしまうことになる。
- ^ 放送終了後、とくに最終話(「黄金の秋」)後日談の解釈をめぐり、インターネット上でファン同士がぶつかることもあった。後日談は、脚本(最終版)に基づく絵コンテの段階でも大幅に変更されたため、それまでの伏線との整合性が問われただけではなく、曖昧で多義的な、ときには思わせぶりな表現(たとえば指輪)により、ファン心理を刺激した。ちなみに『∀ガンダムVol.2』には、当初の粗筋から、「黄金の秋」の脚本(最終版)まで収録されている。
- ^ ほかにも、たとえば「地球帰還作戦」を悔やみ、女王としての自信を失いかけたディアナがロランに救われるシーンが挙げられる(24話)。まず、このシーンの直前では、∀ガンダムの握るヒゲ(三日月型)が太陽とともに描かれ、これから起こることを示唆。次に、このシーンで光に注目すると、暗いところを明るくするような普通の演出ではなく、逆になっている。つまり、太陽にさらされる傷心の女王ディアナは、彼女をはげますロランが日光をさえぎる盾になり、陰になったのである(ちなみに熟語の「光陰」は、「光」が太陽で昼、「陰」が月で夜の意味)。
- ^ SEEDシリーズはプラモデル展開を前提としたデザインであること、対象の低年齢化により「説得力よりもスーパーロボット的な派手さ」が重視されたであろうことも考慮される。また、2000年以降ロボットアニメにおいてもCGを多用した作品が多くなり、それに伴いロボットデザインへの情報量が多くなっている等、シド・ミードのデザインコンセプトの影響は少なからず拡大している。
- ^ エンディング曲「月の繭」は、インストルメンタル(インスト版)と英語版を含め、挿入歌としても7回使われている(ただし見落としの可能性あり)。以下のとおり、英語版はロランかディアナの心境が大きく変わるという物語の転換点で使われ、また「月の繭」はディアナに重点を置いて使われた(そもそもディアナをイメージした歌詞)。
- 1話-ロランが月に向かって叫ぶシーン(インスト版)
- 3話-前日の軍事衝突を踏まえ、任務完了により自由になったロランとキースが身の振り方を話題にするシーン(インスト版)
- 8話-ロランが身元と態度を明らかにするシーン(英語版)
- 13話-ウィル邸でディアナが感慨にふけるシーン(インスト版)
- 24話-ロランに励まされたディアナが「戦争の暴走を止める」決意を語るシーン(英語版)。ちなみに物語の構成上、24話は中間点になっている。
- 41話-エンディング曲が「月の繭」に代わる。
- 48話-ディアナが反乱軍を掌握するシーン(インスト版)
- 50話-後日談(「月の繭」)。この直前はディアナの姿でフェードアウト。つづいて後日談の始まり(ディアナとキエルが再び入れ替わることで合意)とともに「月の繭」が流れはじめ、曲が終わって最後に描かれたのはディアナとロランの関係
[編集] 参考文献
- ニュータイプ100%コレクション ∀ガンダム Vol.1・2 - 角川書店、2001年
- ∀の癒し - 富野監督によるエッセイ集
- ∀ガンダム 全記録集1・2
- ∀ガンダム フィルムブック1~5
- ∀ガンダム DVD付属解説書
- MEAD GUNDAM - シド・ミードによるメカニックデザインのラフイラスト
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
[編集] 前後番組の変遷
フジテレビ 金曜17時台前半 | ||
---|---|---|
前番組 | ∀ガンダム(1~49話) (1999.04 - 2000.03) |
次番組 |
(不明) | 夕方の新習慣 スーパーニュース ※枠拡大 |
※フジテレビでの最終話(50話)放映は、単発の枠を設けて行った(本来は2000年3月31日放送予定であったが、有珠山噴火に関する報道特番により、放送が中止されたため)。
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