ヘキサン
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ヘキサン | |
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一般情報 | |
IUPAC名 | Hexane |
別名 | ノルマルヘキサン n-ヘキサン |
分子式 | C6H14 |
分子量 | 86.18 g/mol |
組成式 | |
式量 | g/mol |
形状 | 無色液体 |
CAS登録番号 | [110-54-3] |
SMILES | CCCCCC |
性質 | |
密度と相 | 0.6591 (20 ℃) g/cm3, 液体 |
相対蒸気密度 | (空気 = 1) |
水への溶解度 | |
への溶解度 | |
への溶解度 | |
融点 | −95.3 ℃ |
沸点 | 68.7 ℃ |
昇華点 | ℃ |
pKa | |
pKb | |
比旋光度 [α]D | |
比旋光度 [α]D | |
粘度 | 0.337 cP |
屈折率 | 1.375 (20 ℃) |
出典 | 国際化学物質安全性カード |
ヘキサン (hexane) は有機溶媒の一種で、示性式 CH3(CH2)4CH3 で表される直鎖状アルカンである。常温では無色透明で、灯油様の臭いがする液体。水溶性は非常に低い(20 ℃ で 13 mg/L)。
構造異性体、すなわち、分子式 C6H14 と表される枝分かれアルカンとして、2-メチルペンタン、3-メチルペンタン、2,2-ジメチルブタン、および 2,3-ジメチルブタンの4つが知られる。それらの異性体と区別するため、ヘキサンは特にノルマルヘキサン (n-hexane) と呼ばれることもある。また、これらの異性体を含めた炭素6個のアルカン群の呼称として、ヘキサン (hexanes:複数形) という言葉を使うこともある。
ヘキサンは灯油、ガソリンに多く含まれている。ベンジンの主成分である。
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[編集] 反応
600–700 ℃ で熱分解を起こし、水素、メタン、エチレンなどを生ずる。
[編集] 用途
極性の低い溶媒として、油脂の洗浄・抽出をはじめ様々な用途に用いられる。
ホームセンターや自動車用品販売店にて「ブレーキクリーナー」「パーツクリーナー」という名称でヘキサンのスプレーが販売されている。これらの商品はヘキサンの溶剤としての効力を、高圧ガスの噴射力でさらに高めている。油脂や金属粉による汚れを効果的に除去できるが、プラスチックやゴムを侵すため、噴射する際はこれらにかからないようにしなければならない。同じ理由で、シールを用いたチェーンには用いてはならない。シールが侵されてチェーンの破損につながる。
高熱を発する集積回路と冷却装置の間に塗布される熱伝導性ペースト(シリコングリス、放熱グリスと呼ばれる)を除去するときも上記のブレーキクリーナーを使うことができる。このほかにも、電子基板上の汚れを取るときにも利用できる。
[編集] 安全性
ヘキサンは、引火点が −22 ℃ の可燃性液体である。空気中の爆発限界濃度は 1.1–7.5 vol% であるので、使用する際は十分な換気が必要である。
ヒトに対する毒性は低いとされているが、換気の悪い所で取り扱うと頭痛を起こすことがある。