ベル・フックス
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ベル・フックス(bell hooks、本名:Gloria Jean Watkins、1952年9月25日 - )は、アフリカ系アメリカ人の知識人であり社会活動家、フェミニストでもある女性である。
フックスは、人種、階級、ジェンダーの相互関連性、及びそれらが抑圧と支配のシステムをつくりだし、永続化させてしまう力を持っているということに焦点を当てて研究している。30冊以上の著書や多数の著名な学術論説やメインストリーム(mainstream、障害者にも健常者と同じ生活や暮らしのリズムをと訴えるノーマライゼーションのアメリカでの呼び名。ちなみにアメリカでのノーマライゼーションは白人とアフリカ系アメリカ人の対等の権利や機会のこと)に関する記事を執筆している。ドキュメント映画にも出演、様々な講演も行う。また、数本のドキュメンタリー映画に出演し、多くの講演も行っている。黒人女性という観点を基底としながら、教育、芸術、歴史、セクシャリティ、マスメディア、フェミニズム等における人種、社会的階層、ジェンダー問題に取り組んでいる。
[編集] ペンネーム
フックスは母親と祖母の名前を使っている。名前と苗字の両方の頭文字を小文字にしているが、それは彼女の仕事の中で大切なものは、本人曰く「私がどんな人物であるかということよりも、本の内容」ということを示すものである。
[編集] 誕生から大学時代まで
1952年9月25日にケンタッキー州ホプキンズヴィルに生まれる。本名グロリア・ジーン・ワトキンズ。労働者階級の家に5人の姉妹と1人の兄弟とともに育つ。父親のヴェオディス・ワトキンズは守衛、母親のローザ・ベル・ワトキンズは専業主婦。
フックスは黒人コミュニティーの日常的に虐待のある家庭で育った。貧しい黒人の女性として育った経験は彼女自身に深い影響を与え、執筆や運動を豊かにしている。
フックスは、当初、人種分離の公立高校に通っていた。その後、白人、黒人共学の高校に移ってからは、彼女はかなり厳しいストレスに見舞われた。教師も生徒も圧倒的に白人が占めていたからである。彼女は、ホプキンスヴィルのクリスパス・アタック高校を卒業した。その後1973年、スタンフォード大学から英語学で修士号を取得している。同じ英語学で1976年にもウィスコンシン大からも修士号を取得する。1983年、長年教育と著述に携わってきた後、フックスは、カリフォルニア州立大学サンタ・クララ校の文学部で博士論文を書き上げる。テーマはアフリカ系アメリカ人作家トニ・モリスンについてである。
[編集] 著書
- Feminist Theory: From Margin to Center 1984年 - 『ブラック・フェミニストの主張-周縁から中心へ』勁草書房 1997年
- Teaching to Transgress 1994 - 『とびこえよ、その囲いを-自由の実践としてのフェミニズム教育』新水社 2006年
- Feminism is for Everybody: Passionate Politics 2000 - 『フェミニズムはみんなのもの-情熱の政治学』新水社 2000年
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