階級
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階級(かいきゅう)とは、度合いに応じて区分された段階や等級のこと。統計学ではデータをある一定の範囲に分ける(度数分布)時の各区間を、生物学では動植物の分類の各階層のことをいう。また、スポーツではしばしば体重別の区分のことを階級と呼んでいる(階級 (スポーツ)を参照)。
社会的には、特定の社会、組織の内部において存在する順位等級のことである。特に、特定の身分・職業・学歴・財産などの条件によって集合し形成された社会集団のことも階級と言っている。また、組織の内部における職務上の等級のことは職階、社会の内部で形成された序列の等級のことは階層ともいう。
職階と社会的な階級は別ではあるが、歴史的経緯や慣習としてその境界が時として曖昧になるため、ここでは並列に述べる。なお、社会学、歴史学などの分野では「階級」と「階層」は対自的な階級意識の有無により明確に区別されて使用されるが、ここでは特に区別しない。
目次 |
[編集] 社会階級
[編集] 概況
世界中のほとんどの社会では、社会の発展に伴う貧富の差や権力の分化により、歴史的に何らかの階級(階層)制度が存在してきた。戦前までの日本においても、法律によって認められた階級(階層)制度があったし、現在も社会的な慣習や、経済的な格差などに起因する階層意識は存在する。
社会的な階級のほとんどは、人の出自した人種や門地、所属する宗教や信奉する思想など、様々な指標に基づいて振り分けられるもので、他者に認められることによって成立する。歴史的にみれば、階級は、生まれや家柄によって固定され、一生涯の間には大きく変動することが少ないものが多かったが、現代の社会では一代の社会に対する貢献や、比較的自由に行われるようになった階級をまたぐ婚姻、改宗などによって変動しうるものである。
また、近代以降、資産による階級格差は世界的な資本主義経済の発展の中で拡大を続けてきたが、経済の発展は同時に、貴族のような歴史的な階級であっても資産の裏付けがなくしては優位の階級としての地位を保てず、新たに企業家や、高級官僚のような新興階級に交代してきた。近代の社会では、経済界や官界において高位を得るには出自のみならず高い教育を受けることが望まれるようになり、世襲の財産や地位それ自体よりも、高い教育を施す資力を持つという意味において、資産階級の実質的世襲が実現しているとの指摘もある(階層再生産論)。
[編集] 社会階級による区別と差別
階級による区別・差別は、主に次のとおり分けられる。これらは、法律により定められている場合と、社会に受け入れられた慣習としてに行われているものに分けることができる。
職業上得られ、職階に基づいて受ける階級的な扱いは、本来は職業、職務に基づき、職業、職務の範囲の中でしか認められないものであるが、実際には(1)のような名望を伴い、さらには(3)のような威信さえも伴う階層上の特典となることもある。
世界的に見て、(2)による区別・差別は職階に起因する待遇・権限上の格差を除いて撤廃される傾向があるが、(1)については名誉に伴うものとして歓迎されることが多く、また(3)は根強く残る傾向にある。もっとも(1)については、従来は世襲によって継承されるものであったが、現在は世襲されないことがかえって好ましいと考えられることもある。
[編集] 各国の状況
[編集] イギリス
イギリスは歴史的に階級社会であるとされる。
地主・貴族・金融を中心とする上流階級、実業家・専門職などの中流階級、そしていわゆる労働者階級に大別されるが、個々の階級内においても上層・下層の区別が存在すると言われる。
王室と世襲貴族を頂点に、爵位に基づく称号と栄典上の階級が大規模に存続しているのもイギリスの大きな特徴である。歴史的には上流階級の代表者であった世襲貴族は、特権が撤廃されつつあるが、社会の様々な分野で活躍・貢献した者は一代貴族や勲爵士として叙せられ、社会的な名誉を与えられる。勲爵士の称号は国外では単なるイギリス王室から与えられた勲章に過ぎないが、イギリス国内では「Sir」の称号など、ある程度の特権を受ける事ができる。
一方で、イギリスにおける階級は、世襲大貴族の階級的権威が彼らがもつ広大な荘園などの世襲財産とそれに基づいた生活習慣にあったように、文化、職業、生活スタイル、そして本人と周囲による認識によって規定されるものである。従って、叙勲を受けたからといって上流階級の一員とみなされないのが普通である。さらに現在では階級は必ずしも経済力を反映してはいない現状があり、特に下層上流と上層中流、下層中流と上層労働者において、しばしば経済状態の逆転が見られる。
[編集] ドイツ
ドイツは、マイスター制に示されるように、職業により階層と職階が分けられている。
かつて、それらの階層間での差別は少なく、かえって他の階層を尊敬する風潮もみられていた。これらの階層は、学校もカリキュラムも別々であったが、教育の共通化が計られるようになると、日本のような学校の序列が出来上がり、これが職業階層の差別と繋がるような風潮も出て来てはいる。
なお、階層の直接世襲は無いものの、移動は少なくかなり固定されている。また、旧東西ドイツが統一した後、その経済力の差により旧東西ドイツ国民の間での新たな階層が生まれることとなった。更には、単純作業者として国外の労働者を招き入れた結果、これが新たな階層と化している。
[編集] インド
インドでは、法律上すでに階級は存在しないが、四大文明当時からの、一般にカースト制として知られる独自の身分制度が存在している。
カーストはバラモン・クシャトリア・ヴァイシャ・シュードラの四身分に大別されるといわれるが、実際には、各身分内においても世襲職業などに応じて無数の区分が行われている。さらに、四身分に含まれる事すら許されない“不可触民”とよばれる人々が存在している。これらの身分制度は宗教・生活と不可分に結びついており、インド全体の近代化において大きな妨げと指摘されるところであるが、インド人の間に現在も強く根付いており、問題視しない人も多いとされる。
[編集] タイ
タイは、爵位制度が存在する社会である。ラーチャウォン(王族)と呼ばれる人々がこの爵位制度によって階級分けされており、全部で5つ存在する。ラーチャウォンと呼ばれる人々には階級に応じて年金などの特権が存在する一方で、階級によっては政治関与などに制約がかかっている場合もある。(詳しくはラーチャウォンを参照。)
一方、アユタヤ王朝時代に作られたクンナーンと呼ばれる官僚にはバンダーサックと呼ばれる階級が存在した。バンダーサックは元々貸し与えられる耕作面積に応じて階級分けがなされたが、チャクリー王朝期には徐々に名誉的な階級に変化し、その人がどれだけ有力かと言うことを示す階級となった。これは、立憲革命時に新たなバンダーサックの下賜は廃止されたが、国王に剥奪されない限り名乗ることができたため、20世紀中期まで、バンダーサックを有する官僚らが活躍した。仮にバンダーサックを立憲革命以前に下賜された人が居たとして現に生存している場合、そのバンダーサックは公式にも使われるため、見方によっては現存の階級制度と見なすこともできる。
また警察や軍隊も階級(大将、軍曹など)を保持しており、公式な場では必ずこの階級が利用される。これを保持している場合、平民の敬称であるナーイ、ナーンなどは使われない。これは一度保有すると昇級や剥奪されない限りそのまま使い続けることができ、退職してもそのまま使い続ける事ができる。たとえば過去のタイの総理大臣であるプレーク・ピブーンソンクラームは元帥から退いた後も元帥の階級を保持しており、現在でも元帥という階級と共に呼ばれる。
[編集] アメリカ合衆国
アメリカ南部州では、かつては人種差別が立法されていた。60年代の公民権運動以来、差別法は廃止となっていった。一方、資産による区別は激しくなる傾向にあり、資産階級は犯罪時の対応や住宅街へ通じる道路の補修といった形での様々な恩恵を受けることもある。
実情では、資産階級になる早道として高報酬の職業、高いポストの職階に就くためには、実績、高い学歴や試験資格を得る必要がある。その教育に金をかけるという意味で貧民層(マイノリティーに多い)はその職業に就くことは困難である。またマイノリティーは、例え実績や学歴を積んでも、ある職階で出世が閉ざされる(ガラスの天井)ことが多い。一方で、ベンチャー企業の立ち上げによる資産形成や、スポーツ選手や芸能人として名士になる方法もあるが、一部のマイノリティーのベンチャー企業への投資には、見えない形で制限がかけられている場合が多い。また名士になれる可能性は、実力も飛び抜けて必要であり、また他の資産階級になる方法と比べ、確率が非常に小さいことにより、新たな形のマイノリティー差別との指摘もある。
[編集] オーストラリア
オーストラリアは、アメリカと同様に、かつては白豪主義と呼ばれる人種差別が行われていたが、この制度は撤廃された。また、近年アジアとの経済的結びつきが大切であることが認識され、人種による階層差別は姿を消しつつある。しかしながら、先住民族であるアボリジニの問題も残されている。
[編集] 日本の社会階級
[編集] 現況
日本では、憲法第14条が法の下の平等を規定しており、国民の間には階級は存在しないとされている。そのため、例外として皇族は存在するが、それ以外には法律で定められた身分としての階級は存在しない。
しかしながら、現在では廃止されている被差別部落や旧華族といった歴史的な階級も、慣習として一部社会に残っている。さらには、国内の民族的マイノリティ(アイヌ、海外からの移住者等)が1990年代頃まで長らく少数民族としては公に認識されてこなかった歴史があり、事実上、階級化されているとの指摘もある(1992年まで外務省は、国内の少数民族を認めていなかった)。
このほか、医者、弁護士の職業資格保持者、博士の学位取得者、首長や議員などの政治家、学校長や税務署長といった公職者、武道、囲碁、将棋、華道などの技能称号、宗派内の高位の位階にある僧侶、芸能、スポーツ、叙勲などの各種の賞の受賞者、および人間国宝などの公的な認定制度を受けた者が広く社会の尊敬の対象とされる傾向があり、これが一種の階級として慣例的に通用する場合がある。ただし、これは名士としての扱いであり、席順、挨拶の順番、敬称や組織内部での発言力の序列程度で普遍的な区別・差別とは繋がらなく、直接的な世襲は行われない。しかし、家元や大学といった閉鎖された組織内においては、称号(または職名)が絶対的となる場合もあり、一部の人間は外部に対しても権威を振りかざす場合も存在する(これは本人の人格によるものであるが、制度・組織の脆弱性とも言える)。
また、主に企業などでは、職務の度合いに応じて責任を示す職階、役職(課長、部長、役員など)が、職務上の指揮命令の権限だけでなく、組織内での様々な待遇(食堂の別、運転手や個室オフィスの有無など)の格差に及んでいる。
こうした職階の制度は職務に対する責任と報酬の度合いをはかるのに必要なものであるが、日本の組織内の階級制度はしばしば法的根拠を欠く業務外での待遇格差と指揮権限(いわゆる職権濫用)に及んでおり、商法に違反した重大な人権問題行為であるとも指摘されている(いわゆるパワーハラスメント)。例えば、就業規則に上位役職の業務命令を遵守するように規定される一方で、その業務命令の範囲と遵守違反に対する懲戒が明確でないケースがあり、遵守違反者に対する免職は裁判で会社側が勝った判決例が存在する。また、人事や給料の査定は上位役職の権限であり、職位によっては関連会社への発注権限もあるため、従業員や関連会社の従業員もしくはその家族は上位役職者の感情を害さないように業務外でも役職に従わざるを得ない場合もありえる。
こうした日本企業の特徴は、企業が株主でなく経営者のための経営と化し外部監査が機能していないことによる現象とも指摘される。実際に、上位役職者とその家族が、役職の権限を私物化して、裁判や社会問題になったこともある。
さらに、組織やその直接的利害関係者の外においてみても、個人の所属組織名や役職名が、銀行ローンの上限、ゴルフクラブの会員権やクレジットカードの種類に影響を及ぼしたり、その家族の結婚や就職などにまで影響することは珍しくない。このため、所属組織の権威・実力や、役職の肯定が、実質的な社会階級と化していることもある。もっとも、こうした傾向は政治家などの「名士」とされる人々においてもみられるし、必ずしも日本の民間企業に限った現象ではない。
これまで見てきたとおり、日本においては社会的・慣習的な階級・階層は確実に存在すると言える。第二次世界大戦後の日本は世界各国と比較して、階級による差別および資産の差は小さいとみなされてきた。しかしながら近年、国民の正当な権利である生活保護受給の行政による拒絶や、主にパートタイマーやアルバイトで生計を立てる人々が生活保護以下の水準の収入しか得られない、いわゆるワーキングプア層が出現。経済的な意味において新たに階級が作られることが危惧される。
[編集] 歴史
[編集] 明治以前
8世紀に完成した律令制の下では、朝廷に仕える公民については、個々人は班田制に基づいて国家から平等に田が与えられることとされた一方、朝廷に仕えるものや国家に勲功があったものには一代限りの位階が与えられることとなり、実質上の貴族制度が維持された。
貴族は、厳密には五位以上の官位、即ち位階と官職に叙せられたものをいう。平安時代には貴族の家格の固定化が進み、鎌倉時代に至って朝廷にあって公卿として天皇を輔弼した公家と呼ばれる集団が形成された。一方、班田制の早期の崩壊によって社会の分化が進み、その中から武芸を家職とした武士と呼ばれる人々が力をもつようになった。鎌倉時代以降、武家と言って公家と並ぶ支配階層になる集団である。もっとも、武家の諸家系の間で社会階層は一定していたわけではなく、戦国時代までの間に浮沈が見られた。
江戸時代になると、公家と武家の間の階層は最終的な形が定着する。公家は摂家・清華家・大臣家・羽林家・名家・半家といった家格があり、またその下には地下と呼ばれる下級の公家がおり、同じ血筋における直系と傍系の差や代々授けられた官位に基づいて階層化された。一方、武家は将軍を頂点にその直臣は大名、旗本、御家人に大別され、また大名以下の家臣(陪臣)にも様々な家格が形成された。武家は血筋もさることながら、功績によって認められた領地や勢力、特別な格式など複合的な事由が家格を決定する要素となった。また、武家は家格の上昇、下降が存在した。
また、江戸時代には公家、武家の下に農民、職人、商人が身分として認められ、かつそのそれぞれが生業や資産、社会的な地位などによって階層化されていた。
[編集] 明治時代以降の身分構造
明治時代以降、それまでの封建的身分社会における階級は天皇の一族である皇族、公家大名などを中心とした華族、武士階級を中心とした士族、農民や町人を中心とした平民に分けられた。これらの分類の呼び名を族称という。四つの族称に分類された各階級の人々は明治新政府の発した四民平等の方針の下でそれぞれの階級間の通婚を許され、基本的には天皇の前に平等とされた。
これは近代国家として世界に通用する日本を建設する上で不合理な身分制の残る国というイメージを払拭する狙いがあり、また天皇を中心とした富国強兵を押し進める上では階級間の差別等を是正する効果があった一方、封建的要素も色濃く残した。
特に華族については、それまでの支配階級として既得権を奪うことで世情が混乱するおそれが考慮されたり、天皇を中心とした国家建設に向けて皇室の藩屏を担う存在が必要とされたため、それまでの支配階級を特別な身分として遇したものである。家族は、貴族院議員への選出や官僚への登用、学習院への修学などで、様々な特権を享受した。
中間的な階級である士族に関しては、髷の禁止や廃刀令による刀を佩くことの禁止、無礼討ちや仇討ちの禁止、俸禄の廃止といった既得権を奪う施策が段階的に実施され、最終的にはほとんど平民とかわるところがなくなった。
平民は厳しい身分社会から解き放たれて他身分との通婚なども可能になったことに加えて、学業優秀な者は大学へ進学して学位を得て官僚に登用されたり、軍人になるなどの手段を通じて立身出世する道が開かれた。また、高額納税者であれば貴族院議員への選出も可能であった。
士族や平民で、官僚や軍人となった者は、位階勲等をはじめ、官吏としての地位、称号、特権を享受し、また軍人であれば軍功によって功級を与えられる栄誉も受けた。また、国家に対する功績が絶大と認められれば、新たに華族として受爵する可能性すらもあった。
しかしこの一方で、家柄という江戸時代以来の価値観は厳然と残り、明治以降の社会構造は身分社会を厳格なものから多少緩やかなものとしたに過ぎないという向きもある。さらには江戸時代以前の被差別民は平民に編入されたものの、彼らへの差別は厳然として残されていた。
[編集] 階級呼称
階級呼称は、職階としての階級に与えられた呼称である。
職階としての階級は様々な組織の中に存在する。特に、警察や自衛隊のような強い統制力を要請されている機関では、法律により「階級」が厳格に定められていることが普通である。警察や自衛隊に限らずとも、国や地方公共団体などの公的機関では、戦前の官吏・吏員制度の名残や、戦後公務員制度の職階制の原則が終身雇用による採用種別ごとの待遇格差や採用年次ごとの横並び昇進で変則的に実施されてきた結果、事実上の階級制度が形成されているといえる。
また、民間の組織でも職務の度合いに応じて責任を示す肩書きを用いるが、特に歴史のある企業や特殊法人などの公的機関の影響が強い組織では、職層を示す階級(主事、主幹、参事、理事など)を持ち、これに応じた役職に就けるという人事制度を有していることがある。
以下では、日本社会においてみられる組織内の階級、職階や、歴史的・慣習的な階級、技能の階級等を例示する。これは必ずしもすべては網羅したものではなく、また並列しておかれている階級は必ずしも同質のものではない。
[編集] 日本の公務員の階級
日本における公務員の階級制度は、自衛隊や警察などの社会の安定維持に関わる公務員においてとくにきわめて厳格である。これらの組織では、法令に基づいて「階級」が定められており、昇進・昇級・役職など全てが階級によって決められる。現在の日本社会の中でも、自衛官、警察官、消防吏員、海上保安官の階級はもっとも法律的・組織的効力が大きいと言える。
また、法令に基づく階級を持たない公務員でも、裁判官や検察官、自衛官以外の防衛省職員(いわゆる「背広組」)などは、職務の重さに応じて官名が改まることになっており、これが実質的な階級呼称となっている。地方公共団体の一部でみられる職層別の職員の職の呼称なども、こうした階級的呼称の一種とみなすことができるだろう。
さらに、一般には事務官とか技官、事務吏員とか技術吏員といった官名・職務名のみしか与えられていない多くの公務員も、俸給表によって給与の額と担うべき職責の重さに関する基準が存在しており、先に述べた職層階級に応じた係員、主任、係長、主査、課長補佐、室長、課長、次長、局長、特別職といったような事実上の階級的な区分を有していることが普通である。
[編集] 階級・階級的呼称が存在する国家公務員
以下には、法令上「階級」とはされていないが、職責の上下を示す階層別の呼称として用いられ、実質的に階級とみなしうるものを含む。
- 自衛官(自衛隊)
- 自衛官以外の防衛省内局職員 - 事務系の場合を例示する。防衛事務次官、防衛参事官、防衛書記官、防衛部員、防衛事務官
- 警察官(警察庁の警察官及び警視庁・道府県警察本部の地方警務官)
- 皇宮護衛官(警察庁皇宮警察本部)
- 海上保安官(海上保安庁)
- 法務省職員
- 税関職員(財務省)
- 検疫職員(厚生労働省)
- 裁判官(裁判所) - 最高裁判所長官・最高裁判所判事・高等裁判所長官・判事・判事補・簡易裁判所判事
- 検察官(検察庁) - 検事総長・次長検事・検事長・検事・副検事
- 外務職員(外務省) - 法令上の官名・階級名ではなく、「外務職員の公の名称に関する省令」に基づく呼称である。
- 国会職員
[編集] 階級・階級的呼称が存在する地方公務員
- 警察官(警視庁・道府県警察本部(地方警務官は除く))
- 消防吏員(東京消防庁はじめ各消防本部)
- 消防団員(東京消防庁はじめ各消防本部の所管する消防団)
- 水防団員(国土交通省の所管する水防団)
- 海防団員(香川県観音寺市の海防団)
- 地方公共団体事務系・技術系職員の職層
- 地方公共団体には職員に職層別のなんらかの呼称を与えているものが多くみられるが、その呼称自体の呼び方も「職名」「職務名」「職層名」「補職名」など様々である。特に最近では、職名等は単に職員あるいは事務吏員、技術吏員などと称し、室課長以上の職制として部長、課長、参事や副参事、課内の職制として主幹、副主幹、主査、主任、主事・技師などを置いているケースも多い。
- 東京都の例
- 東京都は、「職員の職名に関する規則」に基づき、職員の職名は職層名及び職務名によるとしており、職層名が階級的呼称に該当する。
- 理事、専門理事
- 参事、専門参事
- 副参事、専門副参事
- 主事
- 東京都のように参事、副参事等を職層名として置いている場合は、局長・部長・課長等のラインを外れて置かれるスタッフ職の職名に職層名をそのまま用いる。
[編集] 現存しない公務員・官吏の階級呼称
戦前には、武官である軍人及び文官のうちの公安職員に階級が存在したほか、武官及び文官のすべての官吏が親任官、勅任官(一等・二等)、奏任官(一等から六等)、判任官(一等から四等)に等級付けされていた。なお、判任官の下には天皇の任命大権ではなく、官公庁との私契約に基づいて勤務する雇用人と呼ばれる下級の職員がおり、これらも階級の一部をなしていた。
また、公務員制度の過渡期であった戦後の短い時期には、旧勅任官が一級官、旧奏任官が二級官、旧判任官が三級官と呼ばれて存続したことがある。昭和22年制定の議院事務局法・国会職員法が制定当初、国会職員に参事(一級官相当)、副参事(二級官相当)、主事(三級官相当)、主事補(雇用人相当)の職階を設けていたり、現在も検事が一級、二級などと呼び分けられているのはこの名残である。
以下には、戦前・戦後に存在したが、現在は消滅している、階級呼称を有する官吏・公務員を列挙する。
[編集] 附表
[編集] 現在の日本の公的機関における主要な階級の比較表
日本の自衛隊、警察等の階級 | ||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
陸上、海上、航空自衛官(略称) | 警察官(略称:皇宮護衛官を含む) | 消防官(消防吏員) | 海上保安官 | 備考 | ||||
陸幕長・海幕長・空幕長 | 警視総監 | 消防総監 | 海上保安庁長官 | 組織の長(消防官に限り地方機関の長) | ||||
将 | 警視監 | 消防司監 | 一等海上保安監(甲) | 地方機関の長 | ||||
将補 | 警視監 | 消防正監 | 一等海上保安監(乙) | 地方機関の長 | ||||
1佐 | 警視長 | 消防監 | 二等海上保安監 | 連隊長、管区機動隊連隊長、大型艦船の長 | ||||
2佐 | 警視正 | 消防司令長 | 三等海上保安監 | 大隊長、機動隊大隊長、艦船の長 | ||||
3佐 | 警視 | 消防司令 | 一等海上保安正 | 中隊長、機動隊中隊長、小型艦船の長 | ||||
1尉 | 警部 | 消防司令 | 二等海上保安正 | 中隊長、小隊長(一部) | ||||
2尉・3尉 | 警部補 | 消防司令補 | 三等海上保安正 | 小隊長、機動隊小隊長、消防小隊長 | ||||
准尉・曹長・1曹・2曹・3曹 | 巡査部長 | 消防士長 | 一等海上保安士 | 分隊長、機動隊分隊長。自衛隊警務官、警察官、海上保安官にあってはこの階級以上が司法警察員 | ||||
士長 | (巡査長) | 消防副士長 | 二等海上保安士 | この階級以下が司法巡査、指導隊員等 | ||||
1士・2士 | 巡査 | 消防士 | 三等海上保安士 | 隊員等 |
[編集] 日本の教育機関における階級的呼称と学術上の階級的称号
幼稚園・小学校・中学校・高等学校などの教員には、教諭・助教諭・講師・実習助手などの職業上の階級がある。しかし、実際には多くの教員が同一の職階(教諭)である
また、高等教育が行われる学校(大学など)の教育職には、教授・助教授を始めとする階級的な呼称を有し、しばしば階級の上下によって学内・講座内・研究室内での権限に格差が設けられている。これの階級呼称は長い歴史を持つもので、日本一国のみならず世界中の各国でも通用する。
このほか、学校教育法に定められている学位と称号も学術的な階級として見ることができるので、ここで取り上げる。
[編集] 就学前教育・初等教育・中等教育での教員の職階
[編集] 高等教育での教員の職階
[編集] 学位と称号
現在の日本の学位は、「博士の学位」、「修士の学位」並びに「専門職学位」(「法務博士」およびその他の「修士(専門職)」)、「学士の学位」と主に三段階となっている。また、最近では学校教育法を改正し、学士の下に短期大学卒業者を対象とした「短期大学士の学位」を創設する動きもある。その他、学位に準ずる称号として短期大学卒業者・高等専門学校卒業者に授与する「準学士の称号」、並びに要件を満たす専修学校の専門課程の修了者に付与する「専門士の称号」がある。「準学士の称号」と「専門士の称号」は、一般的にほぼ同列の扱いが行われることが多いが、準学士の方が優遇される場合もある。
[編集] 日本の伝統宗教における聖職者の階級
[編集] 神道の神職の階位等
- 宗教法人神社本庁の認定する神職身分
- 特級
- 一級
- 二級上
- 二級
- 三級
- 四級
[編集] 仏教僧の僧綱
[編集] 技能における階級(段位・級位と称号)
近代以降、剣道や柔道などの武道をはじめ、将棋、囲碁といった伝統的な卓上の遊戯、書道などの社会教育分野、珠算や暗算などの計算技能に至るまで、日本の各分野における技能に応じてそれぞれの競技・技能の指導的役割を果たす法人などによって十級から一級までの級位、初段~十段までの段位といった技能上の等級を授与する制度が定められてきた。通常、各機関から授与された段位については剣道や柔道などの武道や計算技能については社会的に通用する評価とされているが、いわゆる履歴書に記載する場合としては国家資格や公的資格によるものではないため、あくまで特技として記す場合が多い。場合によっては民間資格として記す場合もある。
[編集] 武道における称号の等級
[編集] 各流派伝位
- 免許皆伝
- 中伝
- 初伝
[編集] 相撲力士の番付
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- 「社会階層・意識に関する研究会」報告書(財務省)