マグヌス・リンドベルイ
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マグヌス・リンドベルイ(Magnus Lindberg,1958年6月27日 - ,発音はマニュス・リンドベリと聞き取られることが多い)はフィンランドの現代音楽の作曲家、ピアニスト。1986年にユネスコ作曲家国際会議で第1位受賞後、国際的な委嘱に恵まれた活動を精力的に行っている。来日して武満徹作曲賞の審査員を務めてもいる。
[編集] 作風
1980年代にエレクトロニクスの経験を経た後才能が爆発的に開花し、倍音成分を計算しつくしたソフトウェアの開発とともにフィンランドのこの世代の同僚を完全に駆逐してしまった。アンサンブルのための「UR」、オーケストラのための「KINETICS」、アコーディオンソロのための「リードの遊び」などは書法の冴えに加えて血が吹き出たかのような眩い色彩感に溢れる傑作揃いである。スペクトル楽派からの影響を感じさせながらもそれのコピーにならなかったのは、単純な基音上の倍音に固執せず様々な音場を自由自在に駆け回る遊戯性にあったからである。このセンスはかつてのストラヴィンスキーを濃厚に想起させる。この才能をいち早く日本で評価したのが武満徹であり、まだ若いリンドベルイに東洋初の委嘱を授けた。リンドベルイも「武満さんは世界でもいち早く評価してもらった作曲家の一人なので、この恩を死ぬまで忘れない」と語っている。
スペクトル楽派の流行が終わると、「クラリネット五重奏曲」以後は現代音楽からの影響ではなく古典音楽からのイディオムの引き写しが顕著となり、遂には「ネオ・シベリウス楽派」などとあだ名されるような流麗な書法に取って代わった。「クラリネット協奏曲」、「ピアノ協奏曲」、「オーケストラのための協奏曲」では確かに安定した書法で作曲されているものの、往年の冴えは完全に消え去ってしまい評価されたときとは別人のような音楽性になっている。彼本人は「現代音楽の凶暴なノイズ性は大好きであり、たとえ自作がクラシックに傾斜しようともそのようなセンスは内包されているはずだ」と強調している。「ピアノ協奏曲」で見せた目覚まし時計の使用がそれであるらしい。しかし残念ながら近作のクラシック趣味はより強固なものになっており、現代音楽を忌み嫌う聴衆へのアピールが際立って目立っている。自作のピアノ協奏曲のピアノパートを担当するほどピアノの腕前には自信があるようだが、余技以上の代物にはなっていない。
現在は委嘱が大変有名な団体から何本も入る生活をしているが、それに伴って彼の作品の質が老朽化しないかどうか多くの現代音楽ファンを心配させている。すでに2006年現在、リンドベルイは「現代音楽の作曲家」とはあまり見なされなくなっている。
[編集] リズム法
ブルックナーリズムは「四分音符二つ、六分音符三つ」で形成されるのにあやかって、リンドベルイは「六分音符三つ、八分音符八つ」(大抵はこの二分の一の縮小)といったリズム・カデンツを多くのセクションで多用している。リンドベルイ・リズムといっても良い。
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