ミッタル・スチール
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ミッタル・スチール(Mittal Steel Company, ミタルスチールとも)は、オランダロッテルダムに本社を置く、世界最大の鉄鋼メーカー。鉄鋼生産量は世界一、売上高はルクセンブルクのアルセロールについで世界二位である。インドの実業家ラクシュミー・ミッタルが1989年に創業し、その後世界の鉄鋼メーカーを次々と買収することによって世界最大の鉄鋼メーカーとなった。なお、ミッタルは2006年6月現在も会長兼CEOの地位にあり、株式の88%はミッタル及びその家族が保有している。
本社はロッテルダムにあるが、経営はロンドン在住のミッタルと、息子であり社長兼CFOのアディティヤ・ミッタルの主導で行なわれている。
[編集] 事業
従業員数は約179,000人。2005年の決算では、生産量約49,178キロトン、経常利益約47億ドル、売上高約281億ドル、一株あたりの利益4.9ドルであった。生産量はアルセロール、新日鉄を抑え一位だが、単価の低い製品が多く、売上高ではアルセロール(2004年に約370億ドル)についで二位であった。
上述の通り、ミッタル・スチールの製品は建材用などの低価格の製品が主力で、自動車用などの高級鋼ではアルセロール、新日鉄などに遅れをとっている。これは、経営難に陥った鉄鋼メーカーを買収し再生させる、という手法で拡大してきたミッタル・スチールにとって必然の帰着と言える。
この弱点を克服するため、2006年にアルセロールの買収を提案したが、アルセロール経営陣の強い抵抗に遭い、買収は困難と見られていたが、アルセロールは2006年6月25日の臨時取締役会で一転して、受け入れる事を決めた。合併後の会社名はアルセロール・ミッタルとなり、本社はルクセンブルクに置く予定。合併が実現すれば、生産量が約1億1000万トン(新日鉄の3倍以上)、売上高は約719億ドルという巨大企業となる。
[編集] 沿革
- 1989 トリニダード・トバゴのアイアン・アンド・スチールを買収
- 1992 メキシコのシバルサを、メキシコでの鉄鋼業民営化に伴いメキシコ政府から買収
- 1994 カナダのシドベック・ドスコを買収
- 1995 ドイツのハンブルガー・シュタルヴェルケを買収。イスパット・インターナショナルを設立。カザフスタンのカルメトを買収
- 1997 イスパット・インターナショナル、ニューヨークとアムステルダムで株式公開。
- 1998 アメリカのインランド・スチールを買収
- 1999 フランスのユニメタルを買収
- 2001 アルジェリアのアルファシドを買収。ルーマニアのシデックスを買収。
- 2002 南アフリカ政府との協定により、イスコルの経営権を取得。
- 2003 チェコのノヴァ・フットを買収。
- 2004 ポーランドのポルスキー・フティ・スタリを買収。ボスニア・ヘルツェゴビナのBHスチールを買収。バルカン・スチールからマケドニア国内の設備を買収。LNMホールディングスとイスパット・インターナショナルが合併、さらにインターナショナル・スチール・グループ(旧ベスレヘム・スチール、リパブリック・スチール、LTVスチールが合併したもの)を買収し、ミッタル・スチールが誕生。
- 2005 ウクライナのクリボリシスタリを買収。
- 2005 インドのジャールカンド州に対して、9億ドルの投資を表明
- 2006 アルセロールの買収を提案。