ムルタ・アズラエル
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ムルタ・アズラエル(Multa Azrail)は、アニメ『機動戦士ガンダムSEED』に登場する、架空の人物(声:檜山修之)。コズミック・イラ41年生まれ、71年9月27日没。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
[編集] 略歴
反コーディネイターの政治団体「ブルーコスモス」の盟主。彼の家系自体が古くから反コーディネイター運動に最大の出資をしてきたアズラエル財閥であり、その御曹司である。また、晩年は国防産業連合理事の任にあり、デトロイトに本社をおく大手軍需企業の経営者でもあった。大西洋連邦政府及び同国軍に対して強い発言力を持ち、現場指揮官に直接「命令」を下すことすらあった。
家系の影響に加え、幼少期に同年代のコーディネイターの子供たちにいじめられたことから、彼らを強く憎むようになり、また自らをコーディネイターにしてくれなかった母親にも憎悪に似た感情を抱いていたようである(実際は虐められたのではなく同年代のコーディネイターの少年を逆に虐めようとして逆襲にあったようだが)。
地球連合軍がパナマのマスドライバーを失った後、宇宙への橋頭堡確保のためマスドライバーを持つオーブ連合首長国への侵攻を提案、自ら指揮した。オーブへの侵攻とマスドライバーの奪取はオーブ側のマスドライバーを含む軍関連施設およびモルゲンレーテ社の自爆により失敗に終わったが、新型機のレイダー、フォビドゥン、カラミティを実戦投入するというもう一つの目的は大きな戦果とともに達成された。
フリーダム、ジャスティスに核エンジンが搭載されている事を見抜く等、知識や洞察力は並みのナチュラルよりも優れているのだが、器量は狭く性格も自己中心的。周囲にイヤミと大事を言い、ねじ伏せて自分の思い通りになる私物とさせる。普段は冷静な皮肉屋を気取っているものの、追い詰められると感情が剥き出しになるという精神的な脆さを持つ。
宇宙に上がってからはドミニオンに乗り込み、民間人でありながら実質的な指揮官の座にあった。その後ザフトから解放されたフレイ・アルスターの「戦争を終わらせる鍵を持っている」という言葉に関心を持ち彼女を救助、ニュートロンジャマーキャンセラーのデータを手に入れ、狂喜する。地球軍上層部を説き伏せこれを利用した核ミサイル搭載モビルアーマー部隊「ピースメーカー」を編成。ザフトの宇宙要塞ボアズを核攻撃で沈めた後、プラントに対しても核攻撃を行おうとする。
しかし、最終決戦において投入された核ミサイルはキラ・ヤマト達によって全弾撃墜され、また兼ねてよりアズラエルの行動に疑問を抱いていたナタル・バジルールが反旗を翻し、フレイを初めとする全クルーに対し、対峙していたアークエンジェルへの投降を命じる。これに激昂したアズラエルは自分用の端末でローエングリンを起動、アークエンジェルに向けてローエングリンを発射する。が、身を挺したムウ・ラ・フラガのストライクガンダムによって阻止され、これによりマリュー・ラミアスの怒りと悲しみは高まり、直後にアークエンジェルから放たれたローエングリンにより彼はナタルと共に命を落とした。彼の死後は、ロード・ジブリールがブルーコスモスの盟主を務めている。
[編集] その他
ASTRAYシリーズでは、コーディネイターであるロンド姉弟と密接な関係があり、ソキウス(ロボトミー処置済み)や後期型GATシリーズの派生機を提供していることから、コーディネイター根絶原理主義者とは一線を画しているという視聴者の意見もある。
STARGAZERではスウェンの回想に登場しており、当時訓練生であったスウェンに関係して彼の教官と対立があったようである。
実は妻子を持つ一児の父である。[要出典]
なお彼はカルト的な人気があり一部のファンサイトでは声優ネタで熱血系キャラクターに変わったりする(これはアズラエル役の檜山修之の演じる役に熱いキャラクターが多いためである)。代表的な例として、スーパーロボット大戦ファンの間では、「僕らの盟主王」と称されることが多い(「勇者王ガオガイガー」主人公・獅子王凱との声優ネタ)。ちなみに、『第3次スーパーロボット大戦α 終焉の銀河へ』では戦闘用の専用ボイスとして獅子王凱が駆るジェネシックガオガイガーに対して「あのライオンロボが気に入らない」という理由で強い敵対心を見せたり、ゲーム中断後の小話では頑なに勇気を否定したり、ナタルに呆れられる一幕がある(逆に『スーパーロボット大戦J』ではナタルが同じく桑島法子が声優を務める『機動戦艦ナデシコ』のミスマル・ユリカに強い対抗心を見せてアズラエルにツッコミを入れられるパターンとなっている)。
「SDガンダム GGENERATION DS」では、一度死んだもののなんとDG細胞を植えつけられて復活するというイベントがある。
『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』に登場するロゴスメンバー、ブルーノ・アズラエルは、彼と同姓であることと、風貌に共通する面があることから、彼の血縁関係であることが推測されるが、関連は劇中いかなるメディアにおいても明らかにされていない。
名前の「アズラエル」は、イスラム教における死を司る天使アズラーイールに由来すると思われる。