メタルサーガ ~砂塵の鎖~
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ジャンル | RPG |
対応機種 | プレイステーション2 |
開発元 | サクセス |
発売元 | サクセス |
人数 | 1人 |
メディア | DVD-ROM1枚 |
発売日 | 2005年6月9日 |
価格 | 7,329円(税込) |
対象年齢 | CERO:全年齢 |
売上本数 | 約8万本 |
『メタルサーガ ~砂塵の鎖~』(メタルサーガ ~さじんのくさり~)は2005年6月9日にサクセスから発売されたゲームソフト。ジャンルはRPG。データイーストから発売されていたメタルマックスシリーズの実質的後継作である。
目次 |
[編集] 概要
メタルマックス2以来、12年ぶりに発売されたメタルマックスシリーズの完全新作である。コンセプトは「全方位系(なんでもありあり)RPG」、キャッチコピーは「あんた、ハンターになるんだって?」。当初はメタルマックス2改同様、サクセスが独自にライセンスを取得して開発を進めていたが、後に権利関係を整理してクレアテックも参加した。
2006年3月2日に、プロモーションに使われた映像などを収録したベスト版が発売された。 2006年4月25日にはシリーズ初の海外版『METAL SAGA』が、北米にてAtlus USAより発売となった。
[編集] ゲームの特徴・システム
世界観は旧作に準じているが、サクセスが独自に企画・開発したため、システム面では大幅な変化があった。
[編集] 武器・戦闘
従来のターン性から順行動方式に変更された。隠しパラメータである『重さ』の軽い者から行動順が回ってくるようになり、こちらが軽装備なら一方的に攻撃できるが、重装備だといつまでたっても行動できないということもありうる。特に中盤以降、エンジンの積載量目一杯まで装甲タイルを積み込んだ場合には顕著である。
戦闘突入時や戦闘中に、相手が特殊な状態へ移行することがある。これは「ステルス」「シェルター」「範囲外」「空中」「高高度」「地中」「水中」の7種類あり、この状態にある相手に対しては通常兵器での攻撃はまず通用しない。撃退するには、こちらが戦車ならば特殊砲弾やSE、人間ならば効果のある武器か特殊手榴弾を用いなければならない。後述する特技の中には、これらの状態を解除できるものや直接攻撃できるものがある。
[編集] キャラクター・特技
今回は仲間の入れ替えができるようになった。メカニック2人、ソルジャー3人、犬4匹の中からそれぞれ一人を選んで連れて行ける。
特技も導入された。これはお金を消費することで特殊な能力を発揮できるものである。特技には、使用するときにお金のかかる「使用型」、戦闘ごとにお金のかかる「常駐型」がある。初期から覚えている特技のほか、「特技仙人」から教えてもらうこともできるが、キャラクターによって習得できる特技が異なるため、キャラクターの個性化にも寄与している。
今作はシリーズ最多の賞金首数を誇るが、その中にはワールドマップ全体を飛び回るものがある。文字どおり世界中を動き回る彼らを捕捉するのは困難を極める。また、一度遭遇・戦闘して敗北した場合、再戦できない賞金首が何体かいるので、準備を怠ることはできない。
[編集] アイテム合成
アイテム合成は、4つの素材を組み合わせて武器や道具を作るシステムである。戦車装備や人間装備なら町でも合成できるが、辺鄙なところにいる合成屋でなければ合成できないものもある。レンズ兵器、LOVEマシンも合成品扱いになった。
[編集] 登場人物
[編集] 仲間になるキャラクター
- 主人公
- ベテランハンター、キョウジの息子。幼い頃から父の活躍を目にして憧れており、同じ職業を目指す。
- ミカ
- ニューフォークの町に住む主人公の幼馴染。ピンクのツナギに眼鏡が特徴。いつもマイペースで、一人称は『ボク』。父は伝説のメカニック、タミオ。プロポーズすることで結婚エンディングを見ることが可能。
- キリヤ
- 同じくニューフォークの町に住むミカの兄。メカニックとしては天才的な才能を持つ。それゆえに人生を退屈なものと思っているが、他人に対しては優しい。主人公のパーティに仲間に加わってくれるのもそれゆえ。兄貴的存在。
- シャーリィ
- 傭兵団『ルージュ・フラッグ』に所属していた女ソルジャー。父はルージュ・フラッグの団長であった。賞金首『人狩り師団長』に団を滅ぼされて以来、その仇討ちを狙っている。銃器を専門に扱い、刀剣の類は装備できない。アリス・ワンの町にて、銃と剣、どちらが強いのかを主人公に見極めてもらうため仲間に加わる。
- ラシード
- アラビア風の服装が印象的なソルジャー。シャーリィとは逆に刀剣類を専門に扱い、銃器が装備不可。剣を極めるため旅をしていると言う。アリス・ワンの町にて、銃と剣、どちらが強いのかを主人公に見極めてもらうため仲間に加わる。
- アルファ
- 巨大地上戦艦ティアマットの中で眠っていた人造人間。装備品を身につけることは出来ないが、体そのものが強力な火器である。
- ポチ、タロウ、ベルナール、ラリー
- B.G.研究所内に封印されていた犬型生体兵器で、左記から順に柴犬、土佐犬、ボストン・テリア、セントバーナード。
犬ごとに覚えられる特技が異なる。
[編集] それ以外のキャラクター
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
- “探索者”キョウジ
- エクスプローラーと仇名されるベテランハンターであり、主人公の父親。旅先から主人公の元へちょくちょくメールを送ってくる。
- ニーナ
- 主人公の母親。ジャンクヤードで修理屋を営む。シリーズの伝統に則らず、例え実の息子であろうとも修理料金はきっちり請求する厳しき母。
- エミリ
- 主人公の妹。忙しい母を手伝って、編物、掃除、洗濯など甲斐甲斐しく家事をこなす出来た娘。
- ジャック
- ジャンクヤードで酒場を営む男。昔はキョウジやニーナと旅したソルジャーだった。自身の素性についてあることを隠している。
- レイチェル
- ジャックの一人娘。父と二人で酒場を切り盛りする。主人公とは見知った仲だからか会話は素っ気無いものの、態度の節々に大事に思っている内心を覗かせる。イベントの進め方によっては、プロポーズすることで結婚エンディングを見ることが可能。
- タミオ
- ミカとキリヤの父。見た目は冴えない中年男性だが、かつては凄腕のメカニックとして名を馳せていた。現在は現役を退きペイントサービスを営んでいる。なお、ニーナも昔はタミオに師事し修理を学んだ。
- アラン=ベルディア
- ハンターとして“最も成功した男”と言われる大富豪。稼いだ金を投資し、故郷ベルディアを東部随一の大都市へと変貌させた。今は豪邸で悠悠自適の引退生活を送っている。
- ローズ=ベルディア
- アランの娘。いわゆる令嬢だが、無類の戦車好きが高じてハンターになった。趣味は戦車のコレクションであり、駆る戦車は引退した父から譲られたもの。戦車のためならどこへでも出向くなど無茶なところもあるが、『金はあるが実力はない』という口だけのキャラクターではなく、実力も兼ね備えている。主人公のライバル的存在であり、旅先で何度も遭遇することになる。開発半ばだったのか、明らかに思わせぶりなイベントがありながら結婚エンディングは存在しない。
- カール=ベルディア
- アランの息子でローズの弟。メカニックとして姉をサポートする。実は彼にもインテリア類を贈れる。
- セバスチャン
- ベルディア家の執事である老人。お目付け役としてローズに同行する。作中では明言されないが、かつては『“狂拳”の龍造寺』と呼ばれた伝説のソルジャーであったらしく、いざ戦闘となれば素手で戦車を破壊するほどの超人的な能力をみせる。
- カエデ
- トリカミの町の、神主の娘。賞金首『オロチ』への人身御供にされかけるが、プレイヤーが助ける事で交流が可能。インテリアは贈れるものの、結婚は不可。
- マッキンリー
- 世界中を旅する冒険家。主人公たちにその町についての情報を教えてくれる。
- アレックス、ヘッケル、ジャッケル
- 大破壊前のテクノロジーを探している謎の黒服集団。現代生活に役立てるためとしているが、アレックスは「ノア」の意思を受け継ぐ端末の一つで本作のラスボス。二度目の戦いでは禍々しい姿に変貌する。
- ムラサメ
- かつて、ラシードと戦ったというサムライ。その際、刀が折れたため、新たな一振りを探している。
- レッドフォックス
- ジャンクヤードの酒場で主人公にハンターの基本を教えた女性。自らの背丈の倍近い銃や大剣を使いこなし、戦車を一撃で破壊するほどの実力者。その正体は、「赤い悪魔」「タンクバスター」などの異名を持つ最強の賞金首。
以上で、作品の核心的な内容についての記述は終わりです。
[編集] 研究者
- Dr.ミンチ
- シリーズおなじみ「死体を蘇らせる研究」をしている科学者。今作ではジャンクヤードの教会跡に住み着く。それに伴い恒例のテーマ曲も教会風のアレンジになっている。
- ソロモン博士
- モンスター研究者。いまでは外の世界に出ることはかなわないため、各地を旅する主人公にモンスターの写真集めを依頼する。
- レオン
- アリス・ワンの町で大破壊前のテクノロジーを研究している。キョウジや黒服集団ともかかわりがあるようだ。
- バトー博士
- 2にも登場した戦車博士。人を馬鹿にしたあだ名を付けるなど非常に口が悪い。しかし実は寂しがりやで、トモダチの為にオリジナルの戦車を作ってくれる。
- ヤミクモ博士
- 1・Rにも登場したレンズ兵器博士。今回はソルジャーに合わせて銃・剣のどちらかを作れる。
- グレイ博士
- アンドロイド・サイボーグ技術の専門家。アルファの修理を行える唯一の人物。LOVEマシンも作成できる。またインテリアも贈呈可能。
[編集] 登場する戦車
- バギー
- ジャンク山に放置されている戦車。実車でのモデルは無く、オリジナルである。2と同じくオフロードタイプのバギー。
- デマーグ
- ワールドマップ上に埋まっている戦車。あるトレーダーが場所のヒントをくれる。モデルはドイツのSd.Kfz.250/9装甲偵察車。
- モスキート
- 砂漠の廃ビル地帯で眠っている戦車。過去作品と同じく、モデルはドイツのヴィーゼル空挺戦闘車。主砲を取り付けるか否かでモデリング(20mm機関砲搭載型・TOW対戦車ミサイル搭載型)が変わる。
- ゲパルト
- ブルーベリーアーミーが所有する戦車。今作では「対空戦車」と言う特殊な位置づけである為、2のように無茶な大砲の取り付け方はされない。モデルはドイツのゲパルト自走対空砲。
- パンツァー
- 昔の大戦争で使用されていた戦車。ドイツのIII号突撃砲G型。
- バルバロッサ
- モデルはドイツのIV号戦車H型。
- 野バス
- 自動化された路線バスが、大破壊によって暴走したもの。今作では実在するバスがモデルになっている(いすゞ・BU10)。ペイントによってご当地バスのカラーリングにするプレイヤーも多い。
- ヴィルベルヴィント
- ネバーランドの「ハカセ」が整備していた戦車。ゲパルトと同じく対空戦車で、モデルはドイツのIV号対空戦車ヴィルベルヴィント。
- ティーガー
- 大きな破片の下敷きになっている戦車。ドイツのVI号戦車ティーガー1E型。
- ロジーナ
- 賞金首「アシュラベンケイ」がコレクションしていた戦車。モデルはロシア(旧ソ連)のT-34/76。
- ルルベル
- バトー博士に作ってもらえる戦車の一台。モデルはアメリカのM3中戦車リー。イギリス軍も採用しており、そちらの仕様はグラントと呼ばれている。
- ロンメル
- バトー博士に作ってもらえる戦車の一台。モデルはドイツのヤークトパンター。ロンメルという名前は、昔のプラモデルがこの名称で出ていた事から。
- エイブラムス
- バトー博士に作ってもらえる戦車の一台で、シャシー名の通りアメリカのM1エイブラムスである。
- 零式
- バトー博士に作ってもらえる戦車の一台。モデルは日本の90式戦車。このゲームでは90式そのままではなく、後の最新技術を取り入れて改良されたタイプ(オリジナル)という設定になっている。
- レオパルト
- バトー博士に作ってもらえる戦車の一台。モデルはドイツのレオパルト2A6。
- はしご車
- この戦車を入手するにはローズとの入札合戦に勝たなければならない。モデルは梯子消防車であり、戦車ではない。主砲は装備できないものの、3つのSEを同時発射できるため、マウスと並びゲーム中最高クラスの火力を持たせる事が可能。
- バルカン
- 沈んだ廃ビルに取り残された戦車。はしご車がないと入手できない。モデルはスウェーデンのStrv.103、通称Sタンク。ロンメルと同じく、プラモデルでの名前からバルカンとなっている。
- メルカバ
- 嵐の中で埋もれている戦車。モデルはイスラエルのメルカバMK.II。メルカバがモデルだったRウルフのように、ペイント機能で赤く染め上げるユーザーもいる。
- マウス
- キャタピラ要塞の長老が所有する戦車。モデルはドイツのマウス。現実には試作戦車で終わってしまっているが、メタルサーガでは問題無く使用が可能。通常の主砲を3門同時に装備可能なのはこのマウスのみである。
ゲパルトとヴィルベルヴィントは「対空戦車」と言う特別な位置付けとなっており、通常の大砲は装備できないが、空中・高高度の敵に対して有効な機関砲を複数門装備する事が可能。
[編集] 評価
本作は発売中止となってしまった『メタルマックス ワイルドアイズ』以来の完全新作であり、シリーズのファンにとってはまさしく待望のものだった。第一報から発売までに、ファンの間では一種のお祭り騒ぎともいえる程の熱狂振りを見せたが、発売後の実際のプレイでは多数の欠点が目に付くようになり、結果として本作の評価は下がらざるを得なかった。しかし、旧シリーズの雰囲気を残そうと努めている、何より続編が出たという点では一定の評価を獲得している。
[編集] 美点
- ペイントの自由度の高さ。戦車にほぼ思い通りの塗装を施すことが出来る。
- 過去作を彷彿とさせる小ネタが仕込まれている。(ただし欠点でもある)
[編集] 欠点
- 本作の舞台は東部と西部に大別できるが、東部に比べ西部では戦闘・アイテムの価格などバランス調整が明らかにおざなりである。
- 中途半端さが残る、もしくは淡白なイベントが多い。
- 本作では『バランスの良い戦い』というものが殆ど存在せず、戦闘の大半はレベル差によって『一方的に大ダメージをもらう/まったくダメージを受けない』のほぼ両極端に分かれる。これにより戦闘そのものが、対応に追われるか何も考えずに倒すかだけの単純作業と化した。
- 一般的なRPGで用いられる『素早さ』がない。装備品の合計によって隠しパラメーター(これを仮に『重さ』と称する)が決まり、重いほど行動が遅く回ってくる仕組となっている。戦車は装備品に加えSP(装甲タイル)が多いほど重さも増すため、装甲タイルを張らないほうが迅速に攻撃可能であり有利という、理解し難い仕様となっている。
- なお、装甲タイル自体の単価も旧作より値上がりしており、前述の通り戦闘では大ダメージを受けやすい。これらもタイルを敬遠させる傾向に拍車をかけている。
- 非常にローディングが長い。にも関わらず、商店、メモリーセンター(セーブ)等、重要な施設は軒並み屋内に設置されている。
- ショップ店員や街の住民などに、シリーズの特徴であった『個性的なセリフまわし』がほぼ消滅している。
- 美点と表裏一体だが、過去作を意識するあまりメタルサーガならではの個性が薄い。
- 有用・不要なアイテムや、合成に必要な材料となるジャンクパーツが多数登場するが、それに引き換えトランクルームに預けられるアイテム数の上限が少ない。