メタルマックス
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メタルマックス(METAL MAX)は、Crea-Tech企画のRPGシリーズ。名称は異なるが、本シリーズの流れを汲むメタルサーガ(METAL SAGA)シリーズも本項目で扱う。
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[編集] シリーズ概要
このゲームは戦車に搭乗して戦闘を進めていく。物語はフリーに近く、戦車に搭乗して賞金稼ぎをしていく以外に、これといった物語がない。メタルマックスが発売された当初は、物語重視のRPGが既に流行となっていた時期であり、メタルマックスはその流れに対抗する意思を持っていた。キャッチコピーは「竜退治はもう飽きた」であり、これは『ドラゴンクエスト』に対するアンチテーゼを意味している(ただし、ゲームデザインを担当した宮岡 寛は、ドラゴンクエスト1~3の製作スタッフである)。
第一作目は、1991年にデータイーストからファミリーコンピュータで制作/発売された。CMでは、キャッチコピーの後に「~戦車と人間のRPG、メタルマックス!」と声優、たてかべ和也氏の声であてがわれ、ファンタジーや魔法で占められていた当時のRPG事情もあって、かなりインパクトがあった。
二作目はファミリーコンピュータからスーパーファミコンへと移行し人気を博したが、制作/発売元のデータイーストの経営悪化で続編発売が滞る。ドリームキャストで『メタルマックスワイルドアイズ』の発売が予定されたものの、今度は新たに発売元となったアスキーが経営悪化になり無期延期となる。その後アスキーがゲーム業界から撤退したため、これまで開発してきた体系での続編発売はなくなってしまった。
その後、ゲームボーイアドバンスのソフトとしてナウプロダクションより移植作『メタルマックス2改』が発売されたが、あまりのバグの多さと隠しアイテムの一部が削除されたなどといった、SFC版の完全移植が十分でなかったことから、ネット上を中心にユーザーからの酷評が目立った。それに続いて発売される予定だった『メタルマックスリターンズ改』はデータイーストの破産による権利関係トラブルの懸念から発売中止となってしまった。
他にも様々な問題でもめ事が続いていたタイトルだったが、2005年サクセスより『メタルサーガ~砂塵の鎖~』がプレイステーション2で発売されることが発表され、ファンを驚かせた。同年6月9日に発売。商標の関係上"メタルマックス"の名ではない(現在"メタルマックス"は"新宿エクスプレス"の登録商標となっている)が、製作に同シリーズの一部の開発スタッフが関わっている(なお、過去の作品の著作権の内データイースト保有分については既にサクセスに渡っている)。
2006年6月15日にはニンテンドーDSで『メタルサーガ ~鋼の季節~』が発売され、同年に携帯端末のアプリケーションゲーム化が予定されている。
[編集] シリーズ作品
- メタルマックス(ファミリーコンピュータ用、1991年5月24日発売)
- メタルマックス2(スーパーファミコン用、1993年3月5日発売)
- メタルマックスワイルドアイズ(ドリームキャスト用、発売中止)
- メタルサーガ~砂塵の鎖~(プレイステーション2用、2005年6月9日発売)
- メタルサーガ~鋼の季節~(ニンテンドーDS 2006年6月15日発売)
[編集] 主要スタッフ
[編集] シリーズの世界背景
『メタルマックス』(およびそのリメイクの『リターンズ』)、『メタルマックス2』(およびその移植版『2改』)は、同じ世界設定(どちらも日本と思われる)を有している。
突如起こった"大破壊"と呼ばれる災厄で都市文明が荒廃し、砂漠化や環境汚染が進んだ近未来の地球が舞台である。奇形化・凶暴化した怪生物、暴走する前時代の自律兵器、跋扈する犯罪者などが"モンスター"である。これらを退治するのが"モンスターハンター"と呼ばれる職業であり、プレイヤーはモンスターハンターを目指す一人の青年となって冒険する。このゲームのシンボルとも言える"戦車"は、魔法や超能力など何一つ持たない人間がモンスターに対抗しうる強力な手段である。
なお、発売中止となった『ワイルドアイズ』は、アメリカ大陸を舞台にすることになっていた。
[編集] 主な登場キャラ
以下のキャラは発売されたシリーズのほとんどに登場する。基本的な設定もあまり変わらない。
[編集] プレイヤーキャラ
- ハンター:本ゲームの主人公。シリーズ通してデフォルトの名前は存在しない(名前を付けないとはんたになる)。戦車での戦いを得意とする。肉弾戦もソルジャーの次に得意。
- メカニック:破損した戦車のパーツを修理できる。レベルが上がると大破状態も修理できる。肉弾戦は苦手だが、戦車戦はハンターに次ぐ活躍をみせる。
- ソルジャー:戦車の操縦はハンターやメカニックより劣るが、もっとも肉弾戦を得意とする。
- ドッグ:生物兵器(バイオニック)として改造された犬。なぜか「ポチ」という名前が多い。
- 「2」「砂塵の鎖」「鋼の季節」に味方として登場。1とRではバイオニックポチとして敵キャラで登場。
- 肉弾戦が中々に強力だが、戦車に乗れず戦闘も完全にAI制御となるため死に易い。しかし「わんわんグルメ」と言うアイテムでドーピング可能。
- 「2」では普通の犬も仲間になるが、レベルアップしない上に一度死ぬと復活できない。
- 近作ではポスターでの看板キャラとして知られ、人気も高い。
- 料理人:メタルサーガ~鋼の季節~から登場。前作までに登場したネタ(酒場で売ることが出来るアイテム)を材料に、料理を作ることが可能。ソルジャーのように戦車より肉弾戦の方が得意。
- 作った料理はアイテムとして使用することができ、様々な効果が現れる。
- ハッカー:メタルサーガ~鋼の季節~から登場。コンピュータに侵入してパスワード等を調べることができる。
[編集] その他
- ウルフ:『赤い悪魔』の異名を持ち、赤い戦車「レッドウルフ」を駆るモンスターハンター。「2」および「2改」には戦車のみが登場。
- ドクター・ミンチ:戦闘で死亡した主人公たちを生き返らせるマッドサイエンティスト。
- 本シリーズでは、他にも様々なマッドサイエンティスト達が登場する。大抵は戦車にアイテムに大きく関わる。
[編集] 基本システム
先にも述べたように、基本的には戦車に乗ってフィールドやダンジョンを進み、出会ったモンスターを倒しながら話を進めていく。ただし序盤は戦車を持っておらず生身の状態で進むことになる。また、ダンジョンによっては戦車で進入することができず生身での行動を強いられることもある。そのため、武器屋や道具屋は人間向けのものと戦車向けのものが存在する。
[編集] 戦車について
戦車はその車体であるシャシーと動力源のエンジン、移動や戦闘時に制御を行うCユニットが主体となり、これに以下の3種類の武器を3系統(主砲・副砲・S-E(Special Equipment))まで装備することができる。
- 大砲 - 主砲。攻撃力が高いが弾数の制限がある。満タンサービスで1発5Gで補給できる他、砲弾屋で購入した特殊砲弾を装填し発射することもできる。
- 機銃 - バルカンやマシンガンなど。弾数の制限がない代わりに攻撃力が低い。グループ攻撃が可能な物も存在するので、ザコの一掃には最適。
- 特殊砲 - 通称「S-E」と呼ばれる、特殊な効果を持った兵器。ミサイルや火炎放射機など。弾数が少ない、弾薬が高価、一度使うとしばらく次の弾を撃つことができない等のデメリットが設定されていることが多いが威力は絶大で、効果範囲もグループ攻撃や全体攻撃の物が存在する。
シャシーを含む全てのパーツには重量が設定されており、その合計がエンジンの能力を超えているとその戦車は走ることができない(これを"自走不能"と呼ぶ)。重量に余裕がある場合にはその残りを装甲タイルに割り当てることができ、これが残っている限りはダメージを受けてもパーツに被害が及ぶことはない(一部の攻撃を除く)。 ただし、『メタルサーガ ~鋼の季節~』では装甲タイルが存在せず、各パーツごとに耐久値が設定されている。
パーツの被害は"破損"と"大破"の2段階があり、"大破"になるとそのパーツは機能しなくなる。シャシーが大破した場合は中にいたパイロットは強制的に外に出され生身の状態で戦うことになる。エンジンやCユニットが大破してもその戦闘では影響がないが、その戦車は自走不能に陥るためパイロットはそれ以降生身での戦闘を余儀なくされることになる。
誰か一人が戦車に乗っていれば1台だけ牽引して運ぶことが可能であるため、予備の戦車を用意して乗り換えたり、予備戦車に交換用のパーツを積んで破損したパーツと交換することで対処するも可能である。街には戦闘時のダメージで破損したパーツを修理してくれる修理屋があるほか、メカニックは修理キットやメカニックキットを使用してパーツの破損を直すことが可能(パラメータの修理レベルが上がればメカニック以外による修理や、メカニックによる大破パーツの修理も可能)。
[編集] 戦車の改造
街によっては修理屋の他にシャシーやパーツの改造を受け持つ改造屋があることがあり、改造屋では以下の改造が可能である。ただし、1作目ではシャシーとエンジンしか改造できない。
- 武器パーツの改造
- 攻撃力 - 攻撃力を上げることができる。
- 弾倉 - 弾数を増やすことができる。
- 守備力 - ダメージを受けたときに破損する確率が下がる。
- エンジンの改造
- 積載量 - 出力を上げることで限界重量が増える。名前が上位のものに変わる。
- 守備力 - ダメージを受けたときに破損する確率が下がる。
- Cユニットの改造※
- 命中率 - 攻撃の命中率(≒攻撃力)を上げることができる。
- 回避率 - 敵の攻撃からの回避率(≒守備力)を上がることができる。
- 守備力 - ダメージを受けたときに破損する確率が下がる。
※『メタルサーガ ~砂塵の鎖~』では守備力のみの改造となる。
- シャシーの改造
- 守備力 - ダメージを受けたときに破損する確率が下がる。
- 弾倉 - 特殊砲弾を多く持てるようになる。
- 穴 - 武器パーツを装備するマウントを、大砲・機銃・特殊砲の3種類から選んで最高3系統まで設置できる
-
- 「穴を開ける」と表記されているが、その言葉のイメージとは逆に開いてない状態と比べて重量は増えるので、設置箇所を製作する、というニュアンス。マウントの種類の変更も可能。
基本的に、改造によって強化すると重量が増える。逆に、弱体化と引き替えに軽量化する事も可能(1作目では不可)。
また、街によっては戦車のレンタルを行う店もある。レンタル料金自体は無料だが、以下の制約が存在する。
- 戦闘で獲得したゴールドから一定の割合がレンタルタンク屋の取り分となり即座にプレイヤーの獲得ゴールドから差し引かれる。
- パーツが1カ所破損するだけで強制的に外に出され戦車は自動的に店に戻る。
[編集] モンスターについて
モンスターは、ゲーム内では大まかに5つに分類される。
- バイオニック:生物系。人間を含む。
- サイバネテイック:機械化された生物。
- マシーン:機械系。
- タンク:戦車系。
- 識別不能:上記4つ以外のもの。
- 1作目では「マシーン」「識別不能」は存在しない。タンクやバイオニックとして見なされる。
モンスターの中には"賞金首"と呼ばれる強力なものがおり、これを倒せばハンターオフィスから多額の賞金が支払われる。"賞金首"は一般のロールプレイングゲームで言う"ボス"に当たるが、基本的にはシナリオ上遭遇するボスとは異なる配置がされており、倒さなくてもシナリオの進行は可能である。
- ただし、2ではシナリオ進行上の重要なポイントに配置されている賞金首モンスター(U-シャーク、グラップラー四天王)が存在する。
また、スーパーファミコン版の「2」以降からは、"今週のターゲット"としてランダムに指定される雑魚モンスターを倒せば、撃破数に応じた賞金が得られるようになった。
[編集] 登場する戦車
- シリーズに登場する戦車は基本的に実在する戦車がモデルになっているが、「2」に登場する戦車は実在のモデルとは姿形が違う物も何台か存在する。
- 全体的に見て、ドイツ戦車が多いのが特徴。
- なお、注釈が無い限りは、過去シリーズと同じモデルである事を明記しておく。
[編集] メタルマックス(メタルマックスリターンズ)
- モスキート
- モデルとなったのはヴィーゼル空挺戦闘車。
- ワイルドバギー
- 戦車ではないが大砲や機銃を積み込んであり戦闘が可能。リターンズでは、車内から一部の人間用射撃武器で攻撃する事が可能。
- バン
- パンサー
- モデルはドイツの5号戦車パンター(パンサーと言う名称は、パンターの英語読みである)。地面に埋まっている所を発見すると言う特殊な入手方法である。
- タイガー(ティーガー)
- モデルはドイツのティーガーI(タイガーは1で登場した際の名称で、ティーガーの英語読みである)。タイガーは1のみに登場。大金を払って購入すると言う特殊な入手方法である。リターンズで登場するティーガーは、1のパンサーと同じ位置付けになる。
- 1のタイガーはティーガーIであるが、リターンズのティーガーはケーニヒスティーガーである。
- 装甲車
- モデルはオランダのYPR765だと思われる。
- エイブラムス
- リターンズのみに登場。モデルはアメリカのM1エイブラムス。1のタイガーと同じ位置付けで登場する。
- Rウルフ
- イスラエルのメルカバをモデルにした、オリジナルデザインの戦車。『赤い悪魔』レッドウルフの愛車であり、入手する際のイベントの印象、全シャシー中最強クラスの性能、そして真紅に染まった外観から、絶大な人気を誇る戦車である。
- Kタイガー
- 1のみに登場する。モデルはドイツのケーニヒスティーガー。
- ホワイトタイガー
- リターンズのみに登場する。オリジナルのデザインであると思われる。
- 主砲1門、副砲2基、SE2基と、最大の武装数を持ち、防御力も全車中最大を誇る最強のシャシー。だが重量も最大のため、性能の調整にはセンスを問われる事になる。
- ゲーム中では文字数の関係上、名前が「ホワイトムウ」になっている。
以下のシャシーは、リターンズのレンタルタンクとして登場する。
- ハーフトラック
- モデルはドイツの小型装甲車Sd kfz 231。バギーと同じく、車内から一部の人間用射撃武器で攻撃する事が可能。
- シャーマン
- モデルはアメリカのM4A3E8シャーマン中戦車。
- ゲパルト
- モデルはドイツのゲパルト対空自走砲。
- ヘッツァー
- モデルはドイツの38式軽駆逐戦車ヘッツァー。
- パンツァー
- モデルはドイツのIII号突撃砲G型。
- トラクター
- モデルは農作業機のトラクターで、戦車ではない。バギーと同じく、車内から一部の人間用射撃武器で攻撃する事が可能。
[編集] メタルマックス2(2改)
- バギー
- 装甲車
- モデルはフランスのAMX-10RCと思われる。
- 野バス
- 大破壊前に運行していた無人バスが野生化し、走行を始めたと言う設定で、戦車ではない。非戦闘車両でありながら他の戦車と同等の働きを見せる姿から、メタルマックスの世界を体現したシャシーとして、多くのユーザーから根強い支持を受けている。
- ウルフ
- Rウルフと同じ戦車と思われがちだが、キャラクターデザインの山本貴嗣氏によるとオリジナルデザインとの事。
- ゲーム中の企業、ブラドコーポレーション製。
- ゲパルト
- モデルはドイツのゲパルト自走対空砲だが、通常とはまったく異なる位置に主砲を装備するのが大きな特徴。
- マンムート
- モデルはドイツの重駆逐戦車フェルディナント。
- エレファント
- ドイツ戦車の物ではない、オリジナルデザインであると思われる。
- アビシニアン
- ストラディバリ
- バトー博士に作ってもらえる戦車の一台。モデルはドイツのVI号突撃臼砲シュトルムティーガーと思われる。
- 弦楽器制作者のアントニオ・ストラディバリが名前の由来だろう。
- ティーガー
- バトー博士に作ってもらえる戦車の一台。他のシリーズに登場するドイツ戦車がモデルの物と違い、オリジナルのデザインである。
- レオパルド
- バトー博士に作ってもらえる戦車の一台。モデルはドイツのレオパルド2(レオパルド2A5,A6ではなく、A4以前の型)
- 以下のシャシーは、2改のレンタルタンクとして登場する。
- 38式
- 2改で追加されたオリジナルの戦車。登場時期と比較すると異常な威力の装備をしている事から、ゲームバランスを崩す要因と言われている。
- ガントン
- 2改オリジナルの戦車。
[編集] メタルサーガ~砂塵の鎖~
メタルサーガ ~砂塵の鎖~を参照。
[編集] メタルサーガ~鋼の季節~
メタルサーガ ~鋼の季節~を参照。