ランドネット
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ランドネット(Randnet)は64DDを接続したNINTENDO64による、インターネットを使用したネットワークサービスである。
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[編集] 概要
運営は任天堂とリクルートの合弁会社である株式会社ランドネットディディ。 1999年12月の本体発売と同時にサービスを開始する予定だったが、『ランドネットディスク』の完成が遅れたため64DD本体と一部ソフトの配布のみが先行して行われた。 実際にサービスが利用できた期間は2000年2月からであり、一年後の2001年2月28日でサービスは打ち切られた。
ネットワークにつなぐことが出来たのは、64DD用ソフトのうち『ランドネットディスク』と『マリオアーティスト コミュニケーションキット』の二つのみである。
- コミュニケーションキットは『マリオアーティストシリーズ』の作品のやりとりをするための専用サイトしか利用できなかったので、『ランドネットディスク』で利用できるサービスが全体のほとんどを占めていた。
- NINTENDO64専用モデムの通信速度が28.8kbpsと貧弱でアクセスポイントも東京を初め全国に数ヶ所しか増えなかったため通信料金が嵩んでしまう事や、ランドネットディスクの通常の使用にも支障が出るほど低い漢字変換能力など、技術・インフラ面のユーザー評価は低い。
- インターネット接続機能を備えた他のゲーム機やパソコンではランドネットに接続できず、会員専用ページを見る事はできない。
また、一時期「エンターネットサービス」という名称で広報活動が行われたことがあるが、あまりに誤解と不信を招きやすい名称だったため広報としては逆効果だったことは想像に難くない。さらにランドネットの名称が決まるまでのあいだ、開始時期や課金方法などさまざまな点で二転三転、なんらかの発表をした後それを修正する発表を行うことはもはや茶飯事で、いつ開始されるのかすら不透明になっていった。結果、結局NINTENDO64発売から遠くなく開始されるとみられていたサービスはNINTENDO64末期の2000年まで先延ばしされることになってしまい、サービスそのものもわずか1年で終了することになる。
しかしこのランドネットと64DDの構想は、サービス終了から年月を経てニンテンドーWi-FiコネクションやWiiのWiiConnect24に引き継がれようとしている。
[編集] ランドネットディスクで利用できるサービス
ランドネットを起動するとメンバー選択の後、ランドネットFAN、NETザブ~ン、GETモール、メール、ニュース、ヘルプのそれぞれにつながるトップページが表示される。
文字入力はコントローラの3Dスティックから可能で、『どうぶつの森』の文字入力はこのシステムを受け継いだものとなっている。 文字入力には別売りのキーボードを使用することも可能で、これは他に対応ソフトが出なかったためランドネットディスク専用の周辺機器となった。
[編集] ランドネットFAN
64DDのソフトやランドネットのサービスを楽しむためのファンサイト的なもの、投稿や投票、クイズ等の参加形式のコーナー、コミュニケーションキットで利用できる「ネットスタジオ」の作品紹介やイベントの案内のサイト等があった、ランドネット会員専用のサイト。
- ネットスタジオ
- コミュニケーションキットで利用できる作品の交換サービス、「ネットスタジオ」についての情報を扱うコーナー。毎週ランドネットが選定するおすすめのユーザー作品「イチオシ」の画像が展示されており、マリオアーティストを使用したイベントの紹介、作品募集も行われていた。
- マリオアーティスト道場
- マリオアーティストのテクニックを紹介するコーナー。内容としては、それほど深く突っ込んだものではなかった。ポリゴンスタジオ配布前に更新停止。
- みんなの掲示板
- お題を決めて書き込む掲示板と話題フリーの掲示板、チャットの三つが存在した。お題の掲示板は途中でネットスタジオ掲示板へと変更。また、チャットはマナーの悪い利用者の存在により、後に閉鎖された。
- ヘンポ畑
- 『巨人のドシン1』について、特に決まりも無くユーザーが投稿し、開発者が応えるというコーナー。
[編集] NETザブ~ン
ここからエキサイトの検索が利用でき、インターネット全体への入り口となっていた。 少数のオススメサイトへのリンク集もあった。
ネット全体に対しては、子供が悪質なサイトにアクセスしないためのアクセス制限もかけられていた。 これは「閲覧が推奨できないサイトについてアクセスを制限する」というものではなく、「全体に対して制限がかかっており、推奨できるもののみアクセスを許可する」というもので、アクセス制限をかけるとほとんどのサイトを見ることが出来なかった。
[編集] GETモール
ネット通販のページ。『ランドネットディスク』と『マリオアーティスト ポリゴンスタジオ』を除く64DD用ソフトや、NINTENDO64や64DDソフトに関連する書籍やCD等のグッズが売られていた。
支払いは「ランド」という単位のサイト専用通貨でも可能であり、これを親が管理することで子供の無駄づかいを防ぐこともできた。 ただし子供の会員がどの程度いたのかを考えると、制度が実際に役立ったかどうかは疑わしい。
[編集] メール
電子メールサービスで、ドメインは「@**.randnet.ne.jp」。 添付ファイルをつけることは不可能だが、ランドネットユーザー同士のメールの場合、独自のアイコン画像を添付できた。 このアイコンを使った「スタキャラ」という企画もあった。
[編集] コミュニケーションキットで利用できるサービス
マリオアーティストシリーズのコミュニケーションキットの項を参照。
[編集] ランドネットユーザー
このサービスから本格的にネットサーフィンを開始した者の中には、『ランドネットディスク』の制約(フォント及び文字サイズが固定、Flash非対応、PCとかけ離れたウェブ表示、低速かつ高価な通信環境など)を乗り越え、ジオシティーズなどでウェブサイトを開設、NINTENDO64コントローラを用いたソフトウェアキーボードによる手間のかかる文字入力によってサイト更新やタグ打ちを行う"強者"も存在した。
[編集] その他
- 会員には、新聞形式の紙、ドシンとマリオのクリスマスカード(マリオのカードの裏には宮本茂のメッセージ付)等が無料で郵送された。また、申し込めば有料で紙版「巨人のド新聞」を購読することもできた。
- 当初ランドネットではファミリーコンピュータやスーパーファミコンのゲームソフトを配信する計画が存在し、会員へ対しては配信希望タイトルなどのアンケート調査も実施された。しかしこのゲーム配信サービスは実現されないままランドネットは終了した。後にこの構想はバーチャルコンソールという名でWii上で実施され実現した。