リュウゼツラン
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リュウゼツラン | ||||||||||||||||
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リュウゼツラン(竜舌蘭、Agave)は、リュウゼツラン科リュウゼツラン属の単子葉植物の総称。100種以上が知られている。メキシコを中心に米国南西部と中南米の熱帯域に自生するほか、食用・繊維作物、あるいは観葉植物として広く栽培されている。
リュウゼツランや、これらから取れる繊維のことをマゲイ (maguey) ともいう。
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[編集] 性質
先が鋭く尖り、縁にトゲをもつ厚い多肉質の葉からなる大きなロゼットを形成する。茎はふつう短く太いため、根から直に葉が生えているようにも見える。
気候や土壌にもよるが一般に成長は遅く、花を咲かせるまでに数十年を要するものも多く、あまりの成長の遅さに、1世紀に1度開花すると言う間違った認識から、センチュリー・プラント(century plant)という英語別名がつけられている。花はロゼットの中心から「マスト」と呼ばれる背の高い花茎が伸び、その先に短い筒状のものがたくさんつく。ごく少数の例外を除いて、基本的には開花後に植物は枯れる一回結実性植物である。種子による繁殖以外にも、球芽を形成したり、茎の根元から蘖(ひこばえ)を密生することによって、新しい個体を増殖する。
ある種のリュウゼツランの汁に触れると皮膚がかぶれることがあり、症状は1-2週間ほど続く。外見上治癒した後も1年間ほどは痒みが再発することがある。 しかし乾燥したリュウゼツランの葉であれば、素手で扱ってもこれらの症状はほとんど現れない。
[編集] 用途
リュウゼツランの仲間では、開花期になるとそれまでの栄養成長で蓄えたデンプンの糖化が起き、大量の糖分を含んだ液体として花茎に転流が起こる。そのため、メキシコでは先史時代から若い花茎を切り取って切り口を掘りくぼめることでこの液体を集め、そのまま調味料としたり、多くは発酵させて国民的な酒であるプルケを作ってきた。こうした糖液は師管から流出しているわけであるが、切断された師管が閉塞せずに内部の糖液を流出させる事例は珍しいが、同様の現象はヤシ科植物の花茎でもみられ、プルケと同様のヤシ酒製造が東南アジアなどで行われている。プルケを蒸留するとメスカルという蒸留酒になる。テキラリュウゼツランから製造される蒸留酒はテキーラとして世界的に飲まれているが、これは製造方法が多少異なり、花茎を伸ばす前のリュウゼツランを収穫してから葉を除き、デンプンを蓄えた茎の部分を蒸し焼きにすることで糖化を引き起こし、これを搾って得た糖液を醗酵、蒸留したものである。
リュウゼツランのいくつかの種では葉から繊維をとることができ、サイザルアサやアロー繊維(ピタ)、ヘネケンなどが知られる。
リュウゼツランは観葉植物としても広く栽培されている。様々な斑入りの変種があり、縁が白や黄色になったもの、葉の中心に根元から先端まで斑が入ったものなどがある。ヨーロッパにはじめに持ち込んだのはスペインやポルトガルの探検家であると予想されるが、人気がではじめたのは19世紀になって蒐集家が様々な種を輸入するようになってからである。大型のものは温暖な地域では庭で栽培される。小型種は多肉植物として温室栽培される。この場合、属名を仮名書き化したアガベの方が通りがよい。
他にもリュウゼツランは多様な使われかたをしている。乾燥して薄く切った花茎は剃刀の革砥にされ、葉を絞った液は泡立つため石鹸のように使われる。メキシコのネイティブ・アメリカンはリュウゼツランからペンや釘、針、縫い物や織物につかう糸などを作っていた。また、乾燥された葉は燃料として使用されたり、日本の茅葺のように屋根材にして葺かれたりするほか、乾燥された花茎は柱などの建築材としても使用された。インドでは線路沿いに生垣として植えられている。
なお、リュウゼツランから作った縄などは水を吸うと非常に収縮する。そのため推理小説では、殺したい人物の自由を奪ってその首にリュウゼツランの縄を巻き、数時間後に雨が降ることを予測して屋外に放置し、アリバイを造るというトリックがまれに用いられる。
[編集] 分類
リュウゼツランは以前はユリ科に分類されていたが、現在ではリュウゼツラン科とすることが多い。研究者によってはヒガンバナ科に含めることもある。
リュウゼツランの仲間は同一種内での個体変異が大きく、また系統の不明なものや野生種の変種も多いため、分類は難しい。ヨーロッパで栽培されている種の中には自然と異なる環境で何代も無性生殖を繰り返したため、天然のいかなる種とも似ていないものが存在する。
[編集] 代表的な種
- アオノリュウゼツラン A. americana - 英名 century plant あるいは american aloe 。最も一般的な種のひとつ。
- (狭義の)リュウゼツラン A. americana ’Marginata’- アオノリュウゼツランの斑入りの品種。単に「リュウゼツラン」といった場合、本品種のこともある。
- テキラリュウゼツラン A. tequilana - 英名 tequila agave または blue agave 。テキーラの原料。
- サイザルアサ A. sisalana - 英名 sisal。繊維作物として栽培される。
- ヘネケン A. fourcroydes - 英名 henequen。サイザルアサと似た性質の繊維がとれる。
- 雷神 A. verschaffeltii - 多肉植物として栽培される代表種。
- 笹の雪 A. victoriae-reginae - 同上