ロコモデル
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ロコモデルとは、HOゲージ・鉄道模型のペーパー製品を扱っていたメーカー・模型店。1999年9月15日に閉店・廃業した。プロ企画・エムズコレクションはその別ブランド名。
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[編集] 概要
1970年代に、東京都台東区東浅草に開店している。その後、東京都荒川区日暮里に店舗を移転した。一時期京都にも店舗があったが、のちに閉店している。日暮里の店舗は2カ所で、日暮里駅に近い支店を「国鉄館」、本店を「私鉄館」としていた。ここで製作された車両は、デパート等の模型売場でも多く販売されていた。1980年代にNゲージ製品が台頭してくる前は、HOゲージが鉄道模型の主流だったこともあって、もっとも多忙だったという話である。
1985年以降は、プロ企画のブランド名で鉄道ビデオも始めている。
1995年に、それまで日暮里にあった私鉄館と国鉄館を統合し、神田(東京地下鉄銀座線末広町駅から近く、秋葉原の電気街とも近かった)へ移転した。なお、移転からまもなく、模型雑誌『RM MODELS』の取材を受け、ペーパー車体の特集号として掲載された。
また、1996年からは別ブランド「エムズコレクション」として、ストラクチャーキット、トレインマークの発売も始めた。
店舗では、自社製品の他、他社製品(HOゲージのみ、真鍮製品も含む)や部品も販売していた。
1999年9月15日をもって閉店・廃業となったが、「エムズコレクション」ブランドは現在も継続されている。
[編集] 製品
HOゲージの車両として、ペーパーを素材とした製品を発売していた。
ペーパーを素材に、屋根板と床板、補強用角材が木製という一般的な構造。ペーパー製の側板と妻板は、2枚張り合わせ済みとなっているのが特徴だった。ペーパーは、ノン・スチールペーパーと呼んでいる白い紙で、また、窓等の切り抜きには革靴などを抜くのに使うような工具を使ってハンマーで叩いて切り抜いていた。
製品は、完成品が主で、旧型国電や客車、私鉄車両などを中心に特注での車両も多く扱っていた。その後、ペーパーキットも発売されるようになった。キットは2枚張り合わせ済みの状態で、窓も抜いてあり、単に組み立てられる状態だった。しかし、前面や妻板の折り曲げ、屋根板や床板は長さや幅を合わせる必要があった。
完成品の塗装では、プラスチック用塗料を吹き付けて塗装していた。下地塗料にはサーフェーサーは使わず、グレーのラッカーを使っていたことが特徴である。また、旧型車両などの屋根の表現が独特であった。
完成品で特徴的なのは、車両番号の表記で、手書きレタリングとなっている。これは、社長遠藤氏の技術で出来た技であり、先代社長が故人となった為、その後の製品はインスタントレタリングになっている。
[編集] 特記事項
1999年に閉店・廃業となった時、多くの来店があり、ほとんど売りきれとなった程だったが、設計図等の資料もすべて放出されたので、何らかの形で保存出来れば、文化遺産として残せたのではないかと惜しむ声もあったが、2006年に書籍物が刊行された。
2006年8月にこれまでの製品を収録した集大成とも言えるロコモデル伝説が発売された。
屋根の実感を増す表現の為に「ある素材」が上張りされていたが、長年、それは企業秘密とされてきた。しかし、一部の愛好家の間では公然の秘密だった。その素材はトイレットペーパーだった。
[編集] エムズコレクション
ロコモデルの廃業後、継続されているのがエムズコレクション/展望舎で、トレインマーク・ストラクチャーキットなどを発売している。
[編集] 外部リンク
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