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鉄道模型 - Wikipedia

鉄道模型

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

鉄道模型(HOゲージ)
鉄道模型(HOゲージ)
鉄道模型(Oナローゲージ)
鉄道模型(Oナローゲージ)

鉄道模型(てつどうもけい)は、一定の縮尺軌間による鉄道車輌・線路の模型をいう。その初期においては、ブリキ製の玩具との境界はあいまいであるが、次第に決められた縮尺・軌間によって製作して、コレクションしたり線路上を走行させて鉄道の情景を楽しむための規格が定められるようになった。イギリスアメリカドイツ各地域でそれぞれに統一規格と呼べるものが存在する。

鉄道模型を走行させるための運転設備をレイアウト(Layout)と言うが、詳細についてはレイアウト (鉄道模型)の項を参照。

目次

[編集] 概要

指先でつまめるようなサイズのものから、実物の数分の一で、乗用台車を牽引して跨って乗れる程度のものまでを一般的に鉄道模型と呼び、高価な趣味から一般に普及するにつれて、庶民の住宅事情を反映して、小縮尺の模型がより普及する傾向にある。 遊戯施設などで標準的な鉄道の1/3サイズで製作され、客車の内部に乗車できるもの(英国:ロムニー鉄道、日本:伊豆修善寺虹の郷)や、車輌の実物大試作モックアップなども模型的ではあるが、一般的にはこれらを鉄道模型とは言わない。

規格の遵守と、より精密に忠実に模型化する面での制約から、どのような縮尺で製作するべきかという、ゲージ・スケール論争という議論もひんぱんに繰り返され、宗教の教学論争に近い様相を呈する場合もある。 海外では標準軌の鉄道が一般的であるのに対し、日本の鉄道では狭軌が一般的であるので、同一の縮尺で模型化するとレールの幅と車輪の幅が異なってしまい、海外の鉄道模型と日本の鉄道模型を同じゲージのレールの上で混在させて走らせることができない。同一国内でも、日本の新幹線(と一部私鉄線)や在来線のように異なる軌幅の鉄道が存在する場合には同じ問題が生じる。これは鉄道模型の愛好者にとって非常に大きな問題であった。

これを解決するために、車輪の幅が同一になるように、縮尺を少しづつ変えて模型化することが行なわれている。 しかし、この解決方法は、標準軌の模型列車に対する狭軌の模型列車の大きさの比が、実際の鉄道に比べて大きくなり、リアルさを損なうという欠点がある。

すなわちゲージの違いには目をつぶり、縮尺を調整して車体の見かけ上の大きさをそろえるという方法は、経済的に貧しい状況ではそれなりの説得力があったが、現在のようにスケール通りに各種のナローゲージが成立できるようになると愛好者の全員を満足させられなくなるのは当然である。

この問題については業界を巻き込んでの大論争に発展したが、結局のところ「趣味の違い」でしかなく、諸外国の実例とは異なる次元の論争に過ぎない。日本ではもっぱら車両コレクターが多いので、例えば1/80、16.5mmのコレクターが1/87,12mm車両を集め始めてもさほどの問題を生じない。必要に応じて、模型鉄道クラブあるいはクラブの連合体を単位に規格の統一を図っているのが実情である。

[編集] 規格

[編集] 鉄道模型のゲージ

現代では鉄道線路を構成する2本のレールの頭部の内側の距離を表す。当初はレール中心を考えていた。一部のライブスチームでは、この問題は深刻である。例えば、日本の5インチゲージとアメリカの5インチゲージは軌間が異なる。

実物を縮尺するとゲージは好きなように決められるはずだが、実際にはある程度の数の軌間に集約される。それはなるべく既存のゲージを採用すれば、車輪、線路が既製品より流用できるからである。

日本での採用が多いものでは、軌間が広いものから1番ゲージ(45mm)、Oゲージ(32mm)、HOゲージ(16.5mm)、Nゲージ(9mm)、Zゲージ(6.5mm)がある。さらに各ナローゲージが複数ある。他にライブスチームでは1番(45mm)、5インチ(127mm)、3インチ半(89mm)が盛んである。

  • 45mmゲージ
    • 1番ゲージ
      1/32・1/30.5、45mm(実際には44.5mm)ゲージで専ら観賞用や、ライブスチームに用いられる。
    • Gゲージ
      ドイツのレーマンの製品を端緒とする庭園鉄道向けのゲージ、1番ゲージと軌間は同じだが、こちらは(現)2番ゲージのナローゲージであり、スケールは1/22.5、1/24を主に用いる。(各社によって異なる。)現在では市場の将来性に気づいたBachmanやAristCraft等も製品を供給している。全体的にデフォルメされており(ショーティー)やや玩具的だが、根強い愛好家がいて活動は近年、盛んになりつつある。
  • 35mmゲージ
    • 戦前、日本型を再現する為に採用されていた。戦後、モータの小型化、0番、16番の普及により衰退する。戦前、山北氏が秀作EF53を作った。現在では幻のゲージ。縮尺は1/30を用い、規格的には1番ゲージの国鉄(JR)軌間に相当する。
  • 32mmゲージ
    • Oゲージ
      欧州型は1/45、米国型は1/48、日本型は1/45、蒸気機関車は1/43
  • 24mmゲージ
    • OJゲージ
      1938年、湯山一郎は日本型鉄道模型を1/45,32mmゲージ(零番と称された)で作ることを提唱した。しかしそれには例外規定もあった。蒸気機関車のシリンダ間は32ミリを採用すると再現不可能になった。仕方なく蒸気機関車だけは1/43ということになった。単独の模型を見ているときはそれでよいが列車として見るとそれは不可思議な様相を呈した。
      戦後、列車全体を1/45サイズとして製作し、国鉄の狭軌感を再現するには24ミリゲージを採用しようという動きがもちあがった。当初市販のOゲージ用車輪を利用し、車軸だけを縮めたので太い車輪が目立ち、それを嫌がる人たちも出始めた。1970年頃から、より細い車輪を用いた「ファイン」なOJゲージが始まり、いくつかの曲折を経て現在に至る。
  • 22mmゲージ
    • Sゲージ
      22mm、1/64 戦後、朝日屋が日本型として22mm 1/50を提唱した。
    • Om
  • 19mmゲージ
    • On3
  • 14.3mmゲージ
    • Sn3
  • 13mmゲージ
    • 1/80国鉄(JR)軌間
  • 12mmゲージ
  • 10.5mmゲージ
    • HOn3
  • 9mmゲージ
    • Nゲージ
    • TT9(TTゲージの狭軌版 TTn3 1/2)
    • H0e(HOn30,HOn2 1/2)
    • OO9
      OOスケール(1/76)のナローゲージ、著名なスパイ小説・映画のOO7のもじりから命名された。
  • 7mmゲージ
    • HOn2
  • 4.5mmゲージ

[編集] ナローゲージ

  • 国鉄(JR)のゲージの扱い
    • 標準軌をこれらのゲージに当てはめると、旧国鉄(現JR)や地方交通線のような狭軌鉄道はそれより狭い軌道でなければならない。Oゲージでは1/45で24mmになる。これは日本では標準的軌間であるので、ナローゲージの範疇に入れたくない人が多い。その結果OJゲージとして独立した分野が確立されている。
      一方1/80で13mm、1/87では12mmというようにそれぞれの縮尺により複数の解釈がなされている。当然これらもナローゲージの中には入れない。
  • 日本におけるナローゲージ
    • さらに狭い狭軌鉄道として914mm(3ft)ゲージ、762mm(2-1/2ftすなわち30インチ)ゲージ、610mm(2ft)ゲージがあるからそれらを模型化すると1/48でOn3の19mmゲージ、On30の16.5mmゲージ、さらに1/87ではHOn3の10.5mmゲージ、H0e(HOn30,HOn2 1/2)の9mmゲージ、HOn2の7mmゲージ、H0i(H0f)と乙n2の6.5mmゲージなどがある。他のゲージも可能でありNゲージやZゲージでのナローも出現している。
  • H0e鉄道模型の例

[編集] ファインとコース

  • ファイン
    ファインとは「細かい」という意味のfineである。車輪、線路特にポイントのフログを実物に近づけるあるいは同等にした鉄道模型のことであり、どのゲージについても使う用語である。Oゲージ以上では盛んであるが、HOゲージ以下ではなかなか難しく採用者はかなり少ないが、Proto87などのグループが研究している。対する用語はコース(後述)である。
    • プロト48
      Oスケールでは、1/4インチスケール、1/48が主流になったが、線路幅が32mmであった。実物の1435mmを1/48にすると29.9mmとなり2mmほど広いというのが我慢できない人たちも存在した。Qゲージといって29.9ミリゲージを採用した人たちもいたが極めて少数にとどまった。それはただ線路幅を狭くしただけでタイヤ厚さを変更しなかったため、蒸気機関車での動輪間隔、ロッドの収まり等の不都合の解消につながらなかったからである。1980年代に入り車輪形状をAARの規格の1/48とし、すなわち実物を正確に1/48とした模型を作ろうという動きが出てきた。提唱者達はProto48、PROTO:48と自らのグループを呼び、一部の業者は29.9ミリゲージの車輌の供給を開始したので社会的認知を得たというべきであろう。しかし、実物より遥かに急な曲線を通すので、ディーゼル機は良いが大型蒸機は困難であり、一大勢力になったとはいえないのが現状である。
  • コース
    コースとは粗いという意味のcoarseである。鉄道模型は玩具から発達してきたので、脱線しにくいというのがその不可欠な条件の一つであった。そのためには、実物と比べて高いフランジ、厚いタイヤ、幅の広いフランジウェイを持つ分岐器のフログが必要であった。その後「ファイン」な模型を欲する人たちも出てきたので、そのような模型の一群をファインゲージと呼ぶ。「コース」であればおもちゃ的かということはない。現行のOゲージ、HOゲージ、Nゲージはどちらかというと「コース」であるが、十分にスケール感があり、それをおもちゃ的なティンプレートとは誰も思わない。要するに「ファイン」はやや特殊であり、「コース」は標準であると考えてよい。

[編集] 鉄道模型のスケール

スケールはものさしのことであり、サイズは寸法である。日本ではメートル法が採用されているので分数表示が主流であるが、ヤード・ポンド法が採用されていた国では1フート(304.8ミリ)が何インチになるかという表示法が用いられてきた。 例えば、1フートが1インチになればそれは1/12サイズであり、1/2インチになれば24分の1サイズである。このように3/8、1/4、3/16、1/8とくれば、それぞれ1/32サイズ、1/48サイズ、1/64サイズ、1/96サイズとなる。 ヨーロッパではさらにメートル法と組み合わせて1フートが3.5ミリ、7ミリというスケールも採用され、それぞれ1/43.5、1/87サイズである。ちなみにHOスケールは3.5ミリスケールである。Oゲージでは17/64インチスケールというのもあった。これは1/45サイズであったが、事実上消滅した。

アメリカではOスケールHOスケールという名のものさしが市販されている。これを用いると、図面や模型に当てることにより、実物の寸法が直ちにわかる。ただしそれはフィートの単位で、である。

    • Oスケール
    • 1/4インチスケール
      実物の1フートを1/4インチに縮小すると1/48となる。主として建築図面に用いられたが、M.クロンカイトにより1930年代後半に鉄道模型の縮尺としての市民権を与えられた。Oスケールまたはクォーター・インチ・スケールとも呼ばれる。
    • Sスケール
    • HOスケール
    • Nスケール

[編集] ティンプレート

アメリカで発生した鉄道模型の一分野。もともとは高級な模型であったが、クリスマスプレゼント用の大量消費時代が到来した1936年頃ライオネルが発展可能なシステムを提示してから一挙にアメリカの標準模型として大衆化された。 文字通りtinplateでブリキ製の鉄道模型を指す言葉であり、ハイレール(hi-rail)という言葉と同義である。背の高い中空レールを用いる玩具的鉄道模型であって、スケールモデルに対する用語である。ハイ・フランジ車輌が走るように作られている。中央三線式の集電方式を採用している。 年少ファンのみならず大人の趣味としても認知され、アメリカでは大規模な交換市が数日にわたって開かれる。春先にペンシルバニア州ヨークで開かれる交換市が最大で、数軒のホテルを貸切り、野外の会場を含めて数万人の人出があるという。

Oゲージの場合、縮尺はおおむね1/64~1/48であり一定しない。小さく作れば大型機でも小半径を走らせることができるので、最近の製品は1/58サイズと謳っているものがある。

Oゲージが多いがアメリカンフライヤーのSゲージ(22mmゲージ)もある。これは当初より二線式を採用していた。

[編集] 鉄道模型の制御方式

[編集] 交流方式

メルクリンやライオネルに代表される方式で、中央三線式を採用している。1930年代には効率のよい整流器や強力な永久磁石が民生用にはなかったので、直巻電動機電磁石による方向転換装置との組み合わせが採用された。 最近電子工学の進歩に伴い、多重制御方式(後述)を好む人が増えてきたため、交流とは言えども正弦波ではない交流駆動の模型が増えている。

[編集] 直流方式

直流を得るには蓄電池あるいは小型の整流器を必要とした。自動車産業の発達したアメリカでは、セレン整流器が民生用として市販され始めたので、これを流用してDC12Vという規格が成立した。 直流方式の利点は、機械的な逆転装置なくして自由に前進後退を選べることであった。交流方式の直巻電動機界磁を車載整流器で一定方向磁界とすれば(これをpolarizedという)手元のスイッチひとつで進行方向を切り替えることができた。第二次世界大戦後は永久磁石界磁となり、これは分巻電動機の一種であって模型機関車の駆動用電動機として最も適するとは言えないが、広く用いられるようになった。機械工学に通じる鉄道模型人は現在でも直巻電動機を好む。その理由はなぜかというと二つあって、

  1. 機関車などの動力車の起動時には電流の二乗に比例してトルクが発生し、実物の発車状況を再現しやすいこと。また、巡航時には電流値が減少し、登り坂では回転が落ちて電流値が上昇し牽引力が増すこと。
  2. 永久磁石による界磁を持つモータでは、磁石が電機子を吸引することにより、車輪を廻した時ギヤを介してモーターが回転しない。すなわち、電源を切った瞬間に動力車は急停止する。すなわち、実物の鉄道車両が惰行する様子を再現できない。

である。現在のもっとも進んだ駆動方式では電子制御でモータの回転数を実物を模した加減速曲線で駆動し、Bemf(逆起電力)を測定して回転数を一定に保つ方式をとっている。また、永久磁石に吸着されない無鉄心型モータを採用し、特殊なウォームギヤとの組み合わせで押して動く(free-rolling mechanism)動力車が実用化されている。

12vという電圧は上述のように自動車産業から派生したものであったが、線路が長くなると電気抵抗が無視できなくなり、電流値を減らして電圧降下を小さくすることができる高電圧化の論議が1980年代に始まった。24v化という動きもあったが効率のよいモータの採用とともにその声は聞こえなくなった。OゲージGゲージの世界ではレイアウトの規模が大きいので、人により16~18vを採用することもある。

[編集] 多重制御方式

同一の線路上の複数の車両を個別に制御する方式の総称。車両の運転のみならず、警笛、前照灯の点滅などもこの概念に含まれる。古くは交流を混ぜて流し周波数によって識別する方式(ライオネルのアストラック)や交流と直流を同時に流す方式などがあったが、アナログ方式ではせいぜい数台が限度であった。 現在ではデジタルコマンドコントロール(DCC)が世界的な標準になり、欧米ではDCCが搭載された車両を発売するのが標準となっている。DCCでは理論上、同時に1024台に指令を出すことができる(8bit)。

[編集] 鉄道模型の駆動方式

鉄道模型発祥の頃は、当然手で押すものであった。時代の進歩とともに、ぜんまい駆動であったり、蒸気による自力走行できるものになり、最終的に電気による外部からのコントロールが可能になった。

それは、乗ってコントロールする必要があったり、あるいは動き始めたら放置せねばならない蒸気駆動より、室内で楽しめるより小さな電動模型への進化であった。もちろん蒸気駆動はライヴスティームとして特化した進化をしたが、電動模型はより小さなサイズへと向かった。

[編集] 蒸気によるもの

当初は簡易なボイラーと単動首振りエンジンとの組み合わせの、動き出したら水または燃料がなくなるまで走り続ける物が多かった。そのうちに実物と全く同等なつくりで、人間をのせた車両を牽いて走る模型が主流となった。これは給水、焚火、運転が実物どおりでタービン発電機やインジェクタまで装備するものが現れた。また米国で実用化された関節式機関車を、実物どおりのボールジョイントの給排気管で結ぶ模型も出現している。また、蒸気タービンで発電して電動モータで走る模型も試作されている。

手軽に運転できる電動式模型の普及により一時期廃れていたが、1970年代半ば頃から一部の熱心な愛好家と彼らに支えられた新たな生産者の参入により以前に比べより敷居が低くなってきている。また、近年、各地で愛好家が集う運転会が開かれ、徐々に愛好家が増えつつある。 海外のメルクリン等のメーカーも新製品を出しつつある。電子工学の進歩により、小型模型をラジオ・コントロールすることが可能になり、一番ゲージでは多くの人たちが楽しむようになった。また、16番ゲージでは近年、英国のホーンビィから電熱蒸気機関車も可能になり、外部から汽笛吹鳴までコントロールできる完成品も発売されている。 現在はライブスチームと呼ばれる、庭園鉄道の一分野として楽しまれている。

[編集] 電気モータによるもの

電動模型は、家庭への配電と同時に始まった。当時の電池は高価で性能が悪かったからである。

当初採用されていた蒸気あるいはぜんまい式の2線式軌道に集電用の第三軌条を付け加えることにより電動化が実現された。2線式を採用するには車輪を絶縁しなければならないので、それまでに売った車両の改造をしなければならなかったが、実物に習い中央の第三軌条から集電すればそれまでの製品との不整合がなくなる。日本では実物に中央三線式の鉄道が存在しなかったため、このタイプの集電方式は玩具的であると嫌われたが、逆に欧米では本物と同じであるとして受け入れられてきた。

当初は直巻電動機を自作し変圧器または抵抗器で制御していた。抵抗器は食塩水を用いたものもあった。小型の電動機が模型用として発売されるようになると、それを納める動力車の大きさが決まってしまう。すなわち模型のサイズの小型化はモータのサイズの小型化の歴史であった。 界磁コイルを軸の延長上に移したり、両軸モータを作り車軸間に納めたり、この時期の工夫はめざましい。 直巻電動機は、実物同様、機関車、電車の駆動には適する特性を持っていた。起動時に電流の2乗に比例して起動トルクが発生し、回転が上がると同時に電流が減少する。速度に応じて徐々に電圧を上げれば実感的な運転ができるわけである。 しかし、逆転には界磁の極性を反転させねばならなかった。ライオネルメルクリンらは、電流を瞬間的に遮断する事により作動する逆転リレーなどを開発し市販した。しかし分岐機を通過する際、誤動作する事があり、モータの回転による遠心力を用いた誤動作防止装置が一部の愛好家によって開発された。

1930年代になると、直流駆動への試みが始まる。米国ではモータリゼイションにより自動車用の小型の整流器が民生用として発売されたのを受け、界磁電流を整流して走行電流の極性を反転して逆行させる工夫がなされた。また電圧は自動車の12Vを標準電圧として採用した。また、40年代になると永久磁石を界磁にしたマグネット・モータが市販されるようになった。これは、小型軽量で消費電力も少なかったが、分巻特性を持ち、与えられた電圧と回転数が正比例するものであった。すると、抵抗による電流制御よりも電子機器による電圧制御によるコントロールが望ましくなる。これはトランジスタ・コントローラの発達を促し、レオスタットを駆逐した。 マグネット・モータは、停止時に界磁が電機子を吸着して動きにくくするコッギング(英語ではteethingという)が避けられず、機関車は手で押して動かすことは不可能であった。マグネット・モータの軸を手で廻すとあたかもサイコロを転がすごとく、特定の位置で引っかかりを感じるが、直巻電動機を採用していたライオネルメルクリンの機関車は、レールに手で押し付けて押せばモータが回転する。 また、最近ではコッギングが無くスムーズな走行でより大きなトルクが出せるコアレス・モータやコッギングはあるが、より大きなトルクが出せるブラシレスモータも普及しつつある。

モータから車輪までの動力伝達にはウォームギヤが多用される。スパーギヤ、ベベルギヤの使用は少ないが、一部高級機種ではコースティング・ギヤの使用も認められる。それは前者では一段で大きなギヤ比を実現でき、また、モータ軸と駆動軸が直交するのがモータの配置上大変便利な位置関係だからである。しかし通常のウォームギヤは逆駆動ができない。つまり、動力車を押してモータが廻るということがありえないと信じられてきた。したがって、特殊なクラッチを用いて歯車の自動切り離しをする工夫が現れたが、いずれも一過性のもので、製品に反映される性格のものではなかった。一方、コースティング・ギヤを使用した機種ではこの問題が解決されている。

マグネット・モータの一種のコアレス・モータは鉄心を持たないムービング・コイル型モータでそれをスパーギヤで減速すると押して動く動力車ができる。しかし限られた空間に収められるギヤはギヤ比が1:4程度のものであり、あまりにも牽引力が小さく、最高速が大きすぎるものであった。 1985年、コアレス・モータと逆駆動可能な3条ウォームギヤと、スラスト・ボール・ベアリングを組み合わせた適当なギヤ比を持つ蒸気機関車用駆動装置が開発され、高効率と静粛性を併せ持つ動力車の実現が可能になった。この駆動装置は開発者が特許を取らず開放したため多くのメーカーにより採用され、コースティング・ギヤ(Coasting Gear)として高性能機関車に装備され市販されている。

これらの電動模型は同一線路上ではすべての動力車が同一の動きをするが、それでは不満足な愛好者は多重制御方式へと向かい、それはDCCとして実現された。

[編集] 主な鉄道模型メーカー

[編集] 関連項目

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