三菱・シリウスDASH3×2
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三菱・シリウスDASH3X2とは三菱自動車工業が開発した可変バルブ機構を搭載したエンジンの名称である。のちにサイクロンDash3x2に改名。
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[編集] 概要
シリウスDASH3X2は三菱自動車工業が、1984年に発売した日本初の可変バルブ機構(タイミング・リフト共に可変)を搭載したエンジンであり、従来から有るG63B直列4気筒を、SOHC3バルブ(吸気2、排気1)可変バルブ機構に改良し、電子制御可変過給圧ターボとインタークーラーを装備したエンジンである。
低回転では、吸気バルブ径29mmをバルブ開度角232度のローカムで駆動し、排気バルブをバルブ開度角272度のカムで駆動する2バルブで動作する。
高回転では、吸気バルブ径29mmをバルブ開度角232度のローカムで駆動し、吸気バルブ径37mmをバルブ開度角288度のハイカムで駆動し、排気バルブをバルブ開度角272度のカムで駆動する3バルブ動作する。
これは、高回転側吸気バルブに従来から三菱が持っている、気筒休止エンジンのMDエンジンで使われてるロッカーアーム技術を使い、回転数により作動-停止を切り替える、この切り替えは、約2500rpmで行われる。
これにより、低回転では小径バルブからの強いスワール渦をシリンダー内に発生する事ができ、さらにインテークマニホールド内の吸気流速を高め慣性過給による充填効率が高まる、それとオーバーラップが30度と少なく、吸気の吹き抜けやインテークマニホールド内えの排気ガスの吹き返しが無くなるので、アイドリング時などは安定する、高回転では、大径バルブと小径バルブ両バルブから吸入でき吸気抵抗が少なくでき、バルブ開角度288度のハイカムで充填効率が高まり高出力が得られる。
可変バルブ機構のVTECとの違いは吸気、排気両側がカムが切り替わり、常に吸気2バルブで作動し(一部片側閉じ有り)、高回転でも2バルブ共ハイカムで駆動されるが、このエンジンでは、高回転側吸気バルブだけが作動-停止に切り替わるだけで、高回転時も低回転側バルブはローカムのまま駆動されるが、バルブ径を変えて有り同一バルブ径より影響が少く、逆に低回転では強いスワール効果などが得られる。
[編集] エンジンスペック
型式:シリウスG63B Dash3x2(インタークーラーターボ)
- 弁機構、気筒数 SOHC直列4気筒
- 内径X行程 85.0X88.0
- 排気量 1997cc
- 圧縮比 7. 5
- 最高出力(グロス表示) 200ps/6000rpm
- 最大トルク(グロス表示) 28.5kgm/3500rpm
- カムプロファイル
- 吸気低回転用カム 開弁:上死点前10度 閉弁:下死点後42度 カム作用角232度 Loバルブリフト
- 吸気高回転用カム 開弁:上死点前34度 閉弁:下死点後74度 カム作用角288度 Hiバルブリフト
- 排気用カム 開弁:下死点前72度 閉弁:上死点後20度 カム作用角272度
- オーバーラップ 低回転時 30度 高回転時 54度
- 高回転カム作動回転数 2500rpm以上で作動
[編集] 名前の由来
シリウスDASH3x2は、シリウスは、エンジンのシリーズ名称で60シリーズに付けられた名称で、1986年より順次10・30・60シリーズがサイクロンに改名さていった、DASHは、Dual・Action・Supar・Head(デュアル・アクション・スーパー・ヘッド)の略で、3X2は、高回転で3バルブ(ハイカム駆動の大径吸気バルブ、ローカム駆動の小径吸気バルブ、排気バルブ)で作動し、低回転では2バルブ(ローカム駆動の小径吸気バルブ、排気バルブ)で可変駆動される事から命名された。
[編集] 関連綱目
搭載車種
参考文献
- 兼坂弘著「究極のエンジンを求めて」