上代日本語
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上代日本語(じょうだいにほんご)とは、奈良時代以前に使用されていた日本語古語。
上代日本語がどういうものであったかを知るには、当時の文献の写本を調べる以外の手段は今のところない。そして文献として適当であるとされているものは、『古事記』、『日本書紀』、『万葉集』、各国の風土記のうち成立が古いもの、という僅かな量しかない。しかし本居宣長に端を発する先人の研究者達の努力によってその姿はかなり明らかになっている。
上代日本語の大きな特徴の一つは語彙の構成である。現代日本語では漢語が和語より圧倒的に多いという比率になっているが、まだ中国の文化の流入が少なかった上代では外来語として取り込んだ漢語、「からことば」は少なく、和語、「やまとことば」がほとんどを占めていた。
また、発音の面でも違いが見受けられる。上代特殊仮名遣で表される母音の数の違いもそうであるが、子音も当時から現在にかけて少しずつ弱化しているため、上代日本語の子音は現代日本語より強い音になっている傾向がある。(例:「母」は上代にはpapaと発音したが弱化して中世にはfafaになり、やがてhawaあるいはhahaと言うようになった)
方言については、当時標準語扱いされていたであろう中央(現在の関西)の方言と、万葉集などで「あずまことば」と呼ばれていた関東の方言とで、少なくとも2種類はあったことが確認できる。
[編集] 関連項目
[編集] 関連書
- 『上代日本語表現と訓詁』内田 賢徳 塙書房 ISBN 4-8273-0096-8