不信任決議
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
不信任決議(ふしんにんけつぎ)は、議会が首長の不信任を決議することである。日本の国会においては、衆参両院の役員(議長・副議長・委員長・事務総長等)及び政治任用職にある者(国務大臣・副大臣等)に対して用いられる場合もある。
[編集] 日本
日本の地方自治体の議会においては、地方自治法第178条の規定により、議員数の3分の2以上が出席する都道府県または市町村の議会の本会議において4分の3以上の賛成により成立する。
不信任決議を受けた首長は、10日以内に議会を解散することができる。解散しなければ10日が経過した時点で失職する。議会を解散した場合は選挙後に開かれた議会において再び不信任決議案が提出された場合は出席議員の過半数の賛成で成立し、首長は直ちに失職する。
都道府県知事に対する不信任決議が成立した事例は過去に4件ある。
- 1976年12月14日、汚職事件で書類送検された岐阜県知事平野三郎に対する不信任決議。不信任決議可決した当日に知事は辞職した。
- 2002年7月5日、長野県知事田中康夫に対する不信任決議。賛成44票反対5票で可決後、田中康夫は議会を解散せず失職を選択し、長野県知事選挙に立候補し再度当選した。
- 2003年3月20日、徳島県知事大田正に対する不信任決議。賛成33票反対9票で可決後、大田は議会を解散せず失職を選択し、徳島県知事選挙に立候補したものの落選した。
- 2006年12月1日,宮崎県知事安藤忠恕に対する不信任決議。賛成40票反対なし欠席2人で可決。知事は当初は失職を選択し知事選に出馬する方針だったが、12月3日に県政混乱の責任をとり辞職を表明し,12月4日議会に辞職が許可された。
市町村長に対する不信任決議について。
- 2005年6月23日、奈良市議会において、公職選挙法違反容疑で書類送検された奈良市長(当時)鍵田忠兵衛に対する不信任決議が可決された例がある。可決後、鍵田は市議会を解散した上で自らも市長を辞職したが、落選した。
- 2006年8月18日宮城県七ケ宿町において、町有林問題で混乱を招いたとして、町長(当時)高橋国雄に対する不信任決議が可決された。8月28日、高橋は議会を解散し自らも辞職したのち、選挙に立候補するも落選した。
- 2007年3月29日兵庫県加西市において、職員採用及び市長の公用車の単独使用について不正があったとして市長中川暢三に対する不信任決議が可決された。中川暢三は2007年4月5日に議会を解散した。
首長に対する不信任決議は成立要件が非常に厳しく、議員にとっても首長からの解散による失職のリスクを伴うため提出には慎重になり、拘束力のない辞職勧告決議になることも多い。
[編集] 地方自治法 第178条
普通地方公共団体の議会において、当該普通地方公共団体の長の不信任の議決をしたときは、直ちに議長からその旨を当該普通地方公共団体の長に通知しなければならない。この場合においては、普通地方公共団体の長は、その通知を受けた日から10日以内に議会を解散することができる。
2 議会において当該普通地方公共団体の長の不信任の議決をした場合において、前項の期間内に議会を解散しないとき、又はその解散後初めて招集された議会において再び不信任の議決があり、議長から当該普通地方公共団体の長に対しその旨の通知があつたときは、普通地方公共団体の長は、同項の期間が経過した日又は議長から通知があつた日においてその職を失う。
3 前2項の規定による不信任の議決については、議員数の3分の2以上の者が出席し、第1項の場合においてはその4分の3以上の者の、前項の場合においてはその過半数の者の同意がなければならない。
[編集] 関連項目
カテゴリ: 日本の政治 | 政治関連のスタブ項目