乗ったで降りたで
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乗ったで降りたで(のったでおりたで)とは、鉄道駅の乗降そのものを主目的とした旅、あるいは乗降行為を意味する用語である。さらにそこから「全鉄道駅乗降」も内包する使い方をしている場合もある。
[編集] 趣味として認知されるまでの経緯
もともとは1979年に神戸大学鉄道研究会で鉄道駅に乗降したことを「乗ったで降りたで」と称して記録しあったのがはじまり、その後、その創始者と高校時代の友人が1980年に京都大学に伝播させたもの。京大鉄研では「乗ったで降りたで台帳(国鉄編・私鉄編)」を作り鉄研会員同士でその数を競い合い、乗り潰しと同等にブームとなった。その背景には「独占駅(京大鉄研の中である一名のみが乗ったで降りたでをしている駅)」を作りやすかったことが大きい。
その後、1983年冬に北海道を旅行中であった種村直樹が、車中で出会った京大鉄研の某会員から「乗ったで降りたで」を知ることとなる。種村直樹はこの用語を語呂の良さから自らの著作で多用し、同年には「乗ったで降りたで完乗列車」という著作まで発売したため、鉄道駅の乗降を目的とした旅や乗降行為を意味する用語としてこの行為をする者の間に広まった。なお、同書は売り上げとしては鉄道ファンの間のみに留まり、鉄道趣味を持たない人々には読まれなかったため、この語句が日本人全員が知っているというほどの語句にはならなかった。なお、種村直樹は京都大学出身ではあるが、学生時代は鉄道研究会に在籍しておらず「鉄研があること自体全く知らなかった」とのことである。
[編集] 備考
似たような用語として「トトロ」「N&O」「完降」などといった用語もある。いずれも「乗ったで降りたで」同様に特定の団体で限定的に利用されているにすぎない。これは乗降を目的とした旅を指し示す一般用語がないためで、例えば「駅利用」は、広義では駅ビルショッピングやツーリング途中の立ち寄りも含んでしまう。また「駅下車」では「乗車」を含まない。「駅乗降」は概念としては最も近いだろうが、「乗降自体を目的として」との意味が入らない。つまりこれらの用語は「駅利用」の部分集合で、それだけ特異な概念でもある。文化的意味合いについては完乗も参照。
2003年10月19日に横浜市の会社員、杉原巨久が、2005年2月20日にはトラベルライターの横見浩彦が、日本の鉄道駅全駅完全乗降を達成した。杉原は横見のJR全駅乗降の著書を読んで全駅乗降を目指したそうだが、日本の鉄道全体については杉原が追い抜いた。
[編集] 関連項目
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