人面犬
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人面犬(じんめんけん)とは、都市伝説に登場する人間の顔を持ち言葉を喋る犬である。
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[編集] 概説
1989年から1990年にかけて、小学生や中学生の間で雑誌・テレビ等のマスメディアを介して、人面犬の噂は広まった。ただし、人間の顔を持つ犬の都市伝説や民間伝承そのものは、これ以前からも存在する。
また、人面の生物に関連する都市伝説として、他に件(くだん)や人面魚がある。ヘイケガニなど、実際に人間の顔のような模様を持った生物もいる。伝説上の生物の中にも、人面獅子のマンティコア、ギリシア神話にあらわれる女面鳥身のハーピー、ヨハネ黙示録に登場する蝗(イナゴという名だが、馬のような体に人間の顔を持つとされる)などが存在し、人間の顔と動物の体という組み合わせの怪物のイメージは古くから存在した。
人面犬の目撃例は、大別して以下の2種類に分かれる。
- 深夜の高速道路で、走っている車に時速100kmのスピードで追いすがり、追い抜かれた車は事故を起こす
- 繁華街でゴミ箱を漁っており、不審に思った店員や通行人が声を掛けると、「ほっといてくれ」と言い返して立ち去る
[編集] 人面犬ブームの発祥
- 1970年代に漫画『うしろの百太郎』や『SF/ボディ・スナッチャー』に人面の犬が登場。
- ジャーナリストの石丸元章は、彼がポップティーン誌編集部と結託して、読者投稿にあった人面犬の話に創作を加えて誌上で広めたのが、人面犬ブームの発祥であると、クイック・ジャパン創刊準備号のレポートにおいて報告している。また、その流れを受けて、1990年に『THE 人面犬』というビデオ作品が製作されている。この作品には石丸元章も出演している。
- 俳優の的場浩司は、仲間との会話での野良犬をネタにした冗談が、知り合いのDJを通じた放送で全国に広まり、人面犬の噂になったのだと、ダウンタウンDXで主張している。
- 爆笑問題の田中裕二がラジオ番組爆笑問題カーボーイにて語ったところによると、同番組の放送作家YAS5000が昔組んでいたお笑いコンビの相方、ニシムラ君の実験が発端。白衣を着て放課後の小学生らに「研究所から人間の顔を持った犬が逃げたんだが、見なかったか?」と聞くのを繰り返したところ、1年後には人面犬の都市伝説が大流行していたという。元々、小学生の「塾」を介した「噂伝播」のネットワークの検証が目的であったらしい。
複数の説があることからもわかるように、「人面犬発祥説」自体がすでに都市伝説化している。
[編集] 人面犬が登場する作品
- 漫画『うしろの百太郎』(1973年~1976年)
- つのだじろうの作品。霊犬ゼロという霊感能力を持つ人面の犬が登場する。
- アメリカ映画『SF/ボディ・スナッチャー』(1978年)
- 映画『学校の怪談2』『学校の怪談3』
- 「2」ではきたろうが、「3」では林家こぶ平(現・林家正蔵 (9代目))が人面犬役で出演。
- ビデオ『THE 人面犬』(1990年)
- 人面犬ブームの頃に製作された、人面犬の謎にせまる内容の作品。
- 漫画『ザ・人面犬』あすかあきお(コロコロコミック1990年2月号)
- 漫画『人面犬太』竹村よしひこ(コロコロコミック1990年10月号)