伊藤仁斎
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伊藤 仁斎(いとう じんさい、寛永4年7月20日(1627年8月30日) - 宝永2年3月12日(1705年4月5日))は、江戸時代の前期に活躍した儒学者・思想家。日常生活のなかからあるべき倫理と人間像を探求して提示した。
諱は、はじめ維貞、のち維禎。仮名 (通称)は、源吉、源佐、源七。屋号は、鶴屋七右衛門。仁斎は号であり、諡号は古学先生。
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[編集] 生涯
[編集] 学説と思想
主著として、『論語古義』『孟子古義』『語孟字義』『中庸発揮』『童子問』『古学先生文集』などが挙げられるが、生前は講義と著述の整理・推敲に尽力し、著作を公刊することはなかった。 古義学を提唱。
仁斎の学問手法は、当時支配的だった朱子学的経典解釈を廃し、直接テクストを検討するというものである。朱子学は学問体系としては非常に整ってはいたが、その成立過程に流入した禅学や老荘思想といった非儒教的な思想のために経書の解釈において偏りがあった。仁斎はそのような要素を儒学にとって不順なものとみなし、いわば実証主義的な方法を用いた。このような傾向は同時代の儒学研究に共通にみられるものである。
[編集] 著作
- 『論語古義』(関儀一郎編『日本名家四書注釈全書』論語部壱、東洋図書、1922年4月)
- 『孟子古義』(関儀一郎編『日本名家四書注釈全書』孟子部壱、東洋図書、1924年10月)
[編集] 関連項目
[編集] 参考文献
- 子安宣邦『伊藤仁斎-人倫的世界の思想』、東京大学出版会、1982年5月。
- 尾藤正英「伊藤仁斎における学問と実践」、『思想』第524号、1968年2月。
- 丸谷晃一「伊藤仁齋の「情」的道徳実践論の構造」、『思想』第820号、1992年10月。
- 吉川幸次郎『仁斎・徂徠・宣長』、岩波書店、1975年6月。
- 渡辺浩「伊藤仁斎・東涯-宋学批判と「古義学」」、相良亨・松本三之介・源了圓編『江戸の思想家たち』上巻、研究社出版、1979年11月。