修二会
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
修二会(しゅにえ)は、仏教寺院で行われる法会のひとつで、 旧暦2月に行われることからこの名がある。迎春行事のひとつであって、旧暦1月に行われる場合は修正会(しゅしょうえ)という。奈良地方の古寺で行われるものが著名で、特に東大寺二月堂の修二会は「お水取り」の通称で全国的に知られている。また薬師寺の修二会は「花会式」の通称で知られている。他に法隆寺西円堂のものが有名。
目次 |
[編集] 東大寺修二会(お水取り)
東大寺の修二会は、東大寺二月堂の本尊十一面観音に、過去の罪障を懺悔し、天下泰平や五穀豊穣、そして人々の幸せを祈る行事である。正式には十一面悔過法要(じゅういちめんけかほうよう)という。
練行衆(れんぎょうしゅう)と呼ばれる特に選ばれ精進潔斎した僧侶たちが、国家安泰や人々の幸福を祈願して声明(しょうみょう)を唱えたり、板に身を叩きつけるなどして懺悔供養をする。二月堂の欄干からお松明で火を振り回す光景はテレビのニュースなどでしばしば取り上げられ、古都奈良の春の風物詩となっている。
かつては旧暦2月に行われていたが、今日では3月1日から3月14日までの本行とそれに関連して行われる儀式および所作の総体を修二会という。このうち3月12日深夜(正確には13日午前1時半ごろ)行われる本尊の十一面観音に献ずる水を若狭井から汲む儀式を「お水取り」といい、東大寺修二会の通称ともなっている。
起源は752年(天平勝宝4年)、良弁(ろうべん)の高弟実忠(じっちゅう)によって創められたとされ、以来、一度も途絶えることなく今日まで伝えられている。1667年(寛文7年)に二月堂が火災で失われたときも三月堂で行われているし、物資難から諸々の行事が中止せざるを得なかった太平洋戦争の戦中戦後も続けられた。2007年の3月に行われたものを含むと現在まで1255年、1255回を数える。
[編集] 修二会と音楽
- ドイツの作曲家シュトックハウゼンの電子音楽「テレムジーク」は、作曲者によって採集された世界各地の音を電子音と融合させた作品であるが、日本を代表する音として雅楽とお水取りの声明が選ばれている。実際、シュトックハウゼンは1966年に奈良を訪れお水取りに立ち会っている。
- 日本の作曲家、柴田南雄は1978年、「修二會讃」を作曲した。東大寺の修二会の声明のほかに、華厳経の一部や小林一茶、大島蓼太、松尾芭蕉の俳句をテクストに用いたシアターピースで、委嘱した東京混声合唱団によって同年に初演された。
- 日本のシンガーソングライター、さだまさしは1993年、この行事をテーマにした楽曲「修二会」を製作している(作詩・作曲:さだまさし アルバム『逢ひみての』収録)。さだは日本の古典的、民族的、仏教的なモチーフの作品を数多く作っているが、この曲もその1曲である。また、さだは元々東大寺の管長らとも親交があり、大仏殿の昭和の大修理の際、落慶法要コンサートを行っている。
[編集] 薬師寺修二会(花会式)
通称「花会式(はなえしき)」。例年、3月30日から4月5日にかけて行われる。4月5日は結願法要として、「鬼追い式」が行われている。薬師寺の修二会は、花会式と称されるように、十種の造花が本尊薬師如来にささげられる。
[編集] 外部リンク
カテゴリ: 仏教行事 | 仏教関連のスタブ項目