先生 (ドラえもん)
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先生(せんせい)は藤子・F・不二雄の漫画作品「ドラえもん」に登場する架空の人物であり、主人公・野比のび太の担任。
- 声優:加藤修(現:治)→雨森雅司(以上、1973)→沢りつお(1979.4)→加藤治(1979)→不明(1979)→井上和彦(-1981.10)→田中亮一(1981.10-2005.3)→高木渉(2005.4-)
[編集] 人物像
小学校教員。のび太達の学級を受け持つ担任である。原作では学校名と学級は不明だが、リニューアル前のアニメでは「○×小学校」5年3組の担任となっている(アニメ『おしゃべり切手』ほか。○△小学校、□△小学校、第六小学校だったこともある)。4年の担任であった時の学級は不明(初期のアニメでのび太達は4年生だった)。リニューアル後のアニメでは「月見台小学校」(小学館『ドラえもんひみつ大百科―21世紀版』)、日本テレビ版では「下町小学校」の教員。
姓名は原作では不明だが、リニューアル前のアニメでは姓は「先生[1]」(アニメ『そんざいかん』)、名は「えいいちろう(恐らく「英一郎」)」(アニメ『ホンネミラー』)と設定されていた。アニメで自宅が登場した際には、表札に書かれた姓が「先生」だった。また日本テレビで放送された際は姓を「我成(がなり)」としていた。
いつも恐ろしい量の宿題を出したり、宿題忘れや遅刻をすると廊下に立たせるという、古風なタイプの教師である。初期の原作では、のび太から取り上げた道具で遊んだり(3巻『ああ、好き、好き、好き!』のび太がいたずらしていると勘違いした)、常に丁寧語で話すなど少しおかしなところが目立った。髪型も若干異なっていて、口も「3」の形をしていて、初期のドタバタギャグの作風に合わせて意識的にコミカルに描かれたと思われる。現在の作風に変化してからは厳しいながらも生徒のことを気にかけている常識人として描かれている。ただし後期もスネ夫を贔屓するという不用意な面も見せている(18巻『ひい木』ほか)。
のび太が怠けた時には「宿題をやって来ないとぶん殴る」(文庫ロボット編『すなおなロボットがほし~い!』)、「テストが50点以下だったら、もう2度と学校へ来るな!!」(42巻『やりすぎ! のぞみ実現機』)など厳しい言葉もかけるが(どちらものび太の弁なので多少脚色されている可能性もある)、宿題をやり遂げた時には「野比は間違いだらけでも、ちゃんと自分の力でやってきた」(22巻『出木杉グッスリ作戦』)と評価したり、100点をとった時には笑顔で褒める(25巻『な、なんと!! のび太が百点とった!!』ただし「目を疑った」というやや問題な発言もある)など努力をしたときには優しい面も見せる。0点をとって落ち込んでいるのび太を励まし、深く感動させたこともある(9巻『ジ~ンと感動する話』)。
生活指導を担当しているのか放課後はよく町内をうろつき、生徒に出会うと道端で説教をしたり褒めたりする(そのわりに、ジャイアンやスネ夫のいじめが先生の目に止まることはあまり無い。ただしのび太のママとは異なり、一度目に付けばお説教となる)。しかし、こうした厳然とした教師態度でのび太を辟易とさせてきた先生だが、映画『のび太の結婚前夜』で披露宴を明日に控えたのび太に対して愛おしさ溢れた感慨深い心情を述べるシーンは、これらの平素があったからこその描写であった。リニューアル前のアニメ版においては、かつての「勉強しろ、宿題しろ」な面は影を潜め、人情派のベテラン教師に性格設定が修正されていた時期もある。
初期はアパートの一室に住んでいた(3巻『ああ、好き、好き、好き!』)が、現在は一戸建ての家に住んでいる。(16巻『サハラ砂漠で勉強はできない』ほか)妻子が登場したかと思えば一人暮らしの描写があったりと、プライベートの設定は一定でない(原作には妻子の描写は一切ない)。
のび太に「先生とは長い付き合いですね」と言われ、「そうだな。思えば何年になるかな」と語っていることから、自分の担当するクラスの生徒の野比のび太とはかなり長い間同じクラスらしい(アニメ『ドラえもんに休日を!?』)。
一時は、田舎の年老いた母を案じて、実家近くの小学校への転任を真剣に考えた事があったが、ドラえもん、のび太らの尽力によって何とか阻止する事ができた(アニメ『ホンネミラー』)。
リニューアル前のアニメ初期(『テストにアンキパン』『一生に一度は百点を』など)では、髪型や顔、服の色などが異なっていたが別の先生なのか同一の先生なのかは不明。原作ではメガネを描かれていないコマが1つある程度。
アニメ版での担当声優は、旧ドラ(1973年)の頃からキャスティングが一定しておらず、テレ朝版(1979年~)がスタートした当初でも2年ほどは声優が3、4人ほど交代していたなど、なかなか定着してなかったが、1981年10月より田中亮一が担当、2005年3月まで足かけ24年間も先生役を務め、完全に定着した。なお、アニメ版の先生の独特な訛り口調(どこ訛りか判らない)や、独特なセリフ回しなどは、すべて田中によるアドリブである。
[編集] 脚注
- ^ 「先生」という姓は日本に実在し、「せんじょう」と読む。