ドラえもんのうた
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ドラえもんのうたは、テレビ朝日系のアニメ『ドラえもん』のオープニング主題歌として1979年に発表された曲。作詞は楠部工、補作詞はばばすすむ。作曲は菊池俊輔による。
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概要
リズムは4分の4拍子で、三連符を主体とする。オリジナルキーはニ長調だが、同じく菊池俊輔の手による劇中音楽では本曲のモチーフをハ長調で引用してアレンジした例が多い。歌詞にはタケコプター、おもちゃの兵隊、どこでもドアなどひみつ道具の名称が織り込まれているほか、四次元ポケットが示唆されている。歌詞は3番まであり、Bメロとサビの間にはドラえもんの短い台詞が入る。歌詞はシンエイ動画社内で公募され、結果楠部大吉郎社長(当時)の息子・楠部工の歌詞が採用された(しかし、歌詞そのものは楠部一家で作ったと本人が語っている)。当時は中学生であり、そのことが子供向け雑誌で話題になった。
2003年の渡辺美里版では、2番のドラえもんの台詞を改変している。番組のオープニングテーマに使用されたテレビサイズ音源は、1番のBメロから3番のコーダに繋がる形式で構成されている。2002年の10月から12月まで使用された東京プリン版では、3番の歌詞を採用していた。また青函トンネルでドラえもん海底列車イベントが行われている期間中には、函館駅の発車チャイムとして使用されていた。2006年は主題歌の変更によって夏川りみの「ハグしちゃお」に変更され、同年夏をもってドラえもん海底列車の運行は終了したため、現在は使われていない。
歴史
- 大杉久美子版
- 歌は大杉久美子、編曲はオリジナルの作曲者である菊池俊輔による。モーグ・シンセサイザーやミュートトランペットのサウンドが特徴的で、仮面ライダーなどの他の菊池作品に見られるようにイントロ部、各コーラス間の間奏部、コーダ部がそれぞれ大きく形を変える。
- テレビシリーズでは1979年4月2日から1992年10月2日までの13年半にわたってオープニング主題歌として使用された。映画については1980年の『のび太の恐竜』と1981年の『のび太の宇宙開拓史』で挿入歌として、また1982年の『のび太の大魔境』から1988年の『のび太のパラレル西遊記』までの7本ではオープニング主題歌として使用された。
- 山野さと子版
- 歌は山野さと子による。スコアはオリジナルの大杉久美子版とほぼ同一の菊池俊輔によるアレンジだが、演奏や楽器のバランスが変わったために曲の印象は異なる。ごくわずかにテンポが遅くなり、軽快なオリジナルと比較してやや落ち着いた曲調になった。
- 1989年の映画『のび太の日本誕生』からオープニング主題歌として使用され、1992年10月9日から2002年9月20日まではテレビシリーズのオープニング主題歌としても使用された。映画では2004年の『のび太のワンニャン時空伝』までのうち、1998年と2000年をのぞいた14本にオープニング主題歌として使用された。
- 吉川ひなの版
- 1998年に映画『のび太の南海大冒険』のオープニング主題歌として使用された。編曲は同作のエンディング主題歌「HOT MILK」の作編曲を担当した鴨宮諒。歌は吉川ひなのによる。音程をオリジナルから長2度下げ、ハ長調に改めてある。
- ウィーン少年合唱団版
- 2000年に映画『のび太の太陽王伝説』のオープニング主題歌として使用された。編曲は山下康介、編曲監修とピアノ演奏は山下が師事する羽田健太郎による。ウィーン少年合唱団による歌が話題となった。音程をオリジナルから短3度上げ、ヘ長調に改めてある。
- 東京プリン版
- 編曲は岩戸崇、歌は東京プリン。番組がデジタル制作へ移行した2002年10月4日から2003年4月11日まで、テレビシリーズのオープニング主題歌として使用された。菊池の手によるアレンジとは印象が全く異なる。
- 渡辺美里版
- 編曲は金子隆博、歌は渡辺美里。2003年4月18日から2004年4月23日までテレビシリーズのオープニング主題歌として使用された。
- AJI版
- AJIによるアカペラ曲で、編曲はAJIのリーダーである橘哲夫。2004年4月30日から2005年3月18日までテレビシリーズのオープニング主題歌として使用された。
- ちなみにこのバージョンはCD化されていない。(着うた配信はされているが。)
- 女子十二楽坊版
- 女子十二楽坊の演奏によるインストゥルメンタル曲。歌なし。編曲は西脇辰弥、古楽器編曲は梁剣峰。番組リニューアル後の2005年4月15日から2005年10月21日までオープニング主題歌として使用された。
これらのうち純粋に作品の主題歌としてコロムビアにより制作された大杉久美子版と山野さと子版を除く音源については話題性を追求したタイアップ色が濃く、良い評価を下さないファンの割合は少なくない。中には、山野さと子版にすら違和感を覚える者もある。
また、大山のぶ代の台詞部分のうち、2番が、大杉版・山野版と、それ以降とで異なっている。テーマになっているひみつ道具が「おもちゃの兵隊」であることから、「言葉狩りに引っかかったのではないか? との憶測が飛んだ。
本曲はテレビシリーズのオープニング主題歌として1979年4月2日から2005年10月21日までの26年半にわたって使用されてきたが、2005年10月28日に主題歌の座を夏川りみの歌う「ハグしちゃお」に引き継いで役目を全うした。映画や挿入歌などでは今後も使用の予定があることが発表されたが、現在のところそれらで使用されたことはなく、2006年3月に公開された『のび太の恐竜2006』でも使用されず、大山ドラ時代からのファンの期待を裏切る結果となっている。
シングル
- 1979年4月25日、SCS-474、大杉久美子、500円(EP)
- B面は「青い空はポケットさ」「ドラえもん・えかきうた」
- 1980年4月1日、EK-638、インストゥルメンタル、600円(EP)
- 久石譲の編曲により行進曲にアレンジ。B面は「ドラえもん音頭」
- 1980年6月25日、CH-202、大杉久美子、700円(EP)
- ピクチャー盤。B面は「ぼくドラえもん」
- 1989年3月10日、CK-831、山野さと子、600円(EP)
- B面は「ハロー!ドラミちゃん」
- 1992年10月21日、CODC-111、山野さと子、1068円(CD 8cmシングル)
- 「あしたもともだち」のカップリング
- 1995年6月21日、CODC-669、山野さと子、1068円(CD 8cmシングル)
- カップリングは「ぼくドラえもん2112」
- 1998年3月4日、PCDA-01040、吉川ひなの、971円(CD 8cmシングル)
- 「ホットミルク」のカップリング
- 1998年10月21日、CODZ-3090、山野さと子、1200円(CD 8cmシングル)
- CDコロちゃん。カセットテープも同時発売。
- 2000年3月18日、TOCT-4193、ウィーン少年合唱団、1200円(CD マキシシングル)
- カップリングは「この星のどこかで」
- 2002年3月1日、CODC-2030、山野さと子、1200円(8cmシングル)
- 「キミに会いたくて」のカップリング
- 2003年1月8日、AVCD-30412、東京プリン、1050円(CD マキシシングル)
- カップリングは「ぼくドラえもん2112」
- 2003年6月18日、ESCL-2405、渡辺美里、840円(CD マキシシングル)
- カップリングは「ドラえもんのうた」のカラオケ
ミニアルバム
- 1980年1月1日、CH-97、大杉久美子、700円(ミニアルバム)
- テレビまんがアクションシリーズ。B面1曲目に収録
- 1997年11月21日、COCC-14692、山野さと子、1500円(CD ミニアルバム)
- ピクチャー盤。カップリングは「青い空はポケットさ」「ぼくたち地球人」「ぼくドラえもん」
- 1997年11月21日、COCC-14693、山野さと子、1500円(CD ミニアルバム)
- ピクチャー盤。ドラミをフィーチャーしたCDであるが、4曲目に収録。
アルバム
数多くのドラえもんのアルバムに収録されている。
カバー
高い知名度を誇る楽曲として、多くのアーティストによってカバーされた。
- 大和田りつこ
- 朝倉理恵
- 大野てる穂
- 竹田瑛理
- 伊像部節子
- 小曽根真(「THE ドラえもん展」にてシングルCDとして限定発売。また、アルバム「Reborn」に収録)
- 坂元昭二
- ケリー・チャン(香港・TVBで放送されているアニメ・ドラえもんのオープニングで使用。)
- メイビス・ファン(1996年に発売されたアニメソングのカバーアルバム「小魔女的魔法書」に収録)
補足
- AJIのバージョンはCD発売なし。女子十二楽坊のバージョンはアルバム「女子十二楽坊~THE BEST OF COVERS~」にのみ収録、シングル発売なし。
- 2005年8月、iTunes Music Store日本版の開始時に、「ドラえもんのうた」の小曽根真バージョンがトップ10にランクインしていた。バグによるものという説もあるが、詳細は不明。
- 茨城放送でかつて放送された『OKです!』の、裏ドラのコーナーでもネタメール紹介時にバックに「ドラえもんのうた」を使用していた。このときの曲はカラオケ版をかなりのスローテンポに落としたバージョンである。
関連項目
カテゴリ: 半保護 | 1979年の楽曲 | ドラえもんのアニメソング