動物映画
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動物映画(どうぶつえいが) は、動物が作品中に頻繁に登場して、その動物が重要な役割を果たす時間的な割合の高い映画をいう。動物が主人公であったり、動物だけの世界を描いていたり、動物と人間との交流を描いていたりする。セル画アニメーション映画やクレイアニメ映画のように、動物が本物に見えないものは一般には動物映画に含まない。ファミリー映画に分類されるものが多い。
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[編集] 動物映画の利用
動物映画は娯楽として、また一般的な情操教育用だけではなく、特に動物愛護思想を広めるためにも用いられる。例えば2006年公開の『小さき勇者たち~ガメラ~』は少年と幼いガメラとの友情を描いた異色の怪獣映画であるが、幼いガメラ(子ガメに見える)の撮影に実際のカメを用いており、動物映画としての側面がある。このガメラ映画で、環境省と制作側はタイアップして飼育放棄の防止を訴えている。「(動物を)捨てたらダメラ」というポスターが作られ、また映画の中でも、子供ガメラを主人公が捨てるに捨てられず葛藤する場面がある。加えて、子供ガメラのモデルとなったカメは大きく成長するので、いくら可愛くても安易に飼わないようにとの注意喚起がエンディングロールやパンフレット等で繰り返された(小さき勇者たち~ガメラ~#捨てたらダメラ参照)。
[編集] 動物映画撮影上の困難
[編集] 動物虐待疑惑
この種の作品では実際の動物を用いて撮影すると効果的である。その際、必ずと言って良いほど動物虐待疑惑が登場する。有名なところではなめ猫、子猫物語に始まり、近年では子ぎつねヘレン等でも同様に虐待を疑う記事が掲載された。海外でもイルカ保護のきっかけとも言えるわんぱくフリッパーなどでも掲載されたほどである。
動物を愛する映画を撮影するのに、必要以上の苦痛を動物に与えるのは本末転倒の誹りを免れない。ハリウッドの動物映画では動物愛護団体の要求に従って、動物が危険な目にあわされるシーンや苦痛を味わうシーンはすべて、動物を使わずに合成などを使っているので安心してみてくださいと表示がある。
日本映画でもこのような例は見られる。例えば、前記ガメラ映画のエンディングロールでは撮影に当たってカメを虐待していない旨説明されている。それでも虐待疑惑をいだく団体が出現し、週刊誌やネットに取りあげられたことがある(小さき勇者たち~ガメラ~#実際のカメの使用に関する問題参照)。
[編集] 計算できない撮影条件
また、動物の成長速度や寿命、それにNGの多さで撮影は大変といわれている。前記ガメラの例でもカメが実際に動くシーンは餌で釣り(従ってカメの機嫌次第でNGカットとなる)、実際のカメでは不可能な動きや虐待をもたらす動きはCGを加味する、撮影中にもカメが急速に成長するので大きさ別に何匹か用意するなど撮影に苦労があったことが公表されている(小さき勇者たち~ガメラ~#カメを虐待をしない為に用いられた手法、小さき勇者たち~ガメラ~#CG合成の多用参照)。
また、昭和ガメラで有名な湯浅憲明監督は後にTVシリーズ『刑事犬カール』でもメガホンをとったが、『ガメラを創った男』の中で犬を用いた撮影の苦労を物語っている。
犬や猫といった主要な動物については、テレビや映画への出演に向いた、指示通りの演技が得意なタレント動物がアメリカや日本などでは飼育されており、そういった動物が出演することも多い。
[編集] 動物映画の例
- キタキツネ物語 - キタキツネの家族を描く。
- クイール - 盲導犬の一生を描く。
- グース - 父子が卵から孵したカナダガンに「渡り」を教え越冬地まで誘導する。
- グレートハンティング
- 公園通りの猫たち
- 皇帝ペンギン - ペンギンの生活を描く。
- 小熊物語 - 子熊と負傷した雄熊の交流を描く。
- 子猫物語 - 親とはぐれた子猫の成長を描く。
- ジョーズ
- 小さき勇者たち~ガメラ~ - ガメラの子供とそれを飼育する少年の友情を描く。架空の怪獣であるガメラが扱われる点が異色である。
- 鳥
- 南極物語 - 南極越冬隊員が泣く泣く昭和基地に置き去りにした犬が、厳しい環境を生き抜き、越冬隊員と再会する。
- ハチ公物語 - 忠犬ハチ公と飼主との愛情を描く。
- 101
- ベイブ
- 野生のエルザ、永遠のエルザ - ケニアの動物保護官夫妻が、親を射殺された仔ライオンを育て、野生に戻す。
- 馬 (映画)