南極物語
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南極物語(なんきょくものがたり、ANTARCTICA)は、1983年(昭和58年)公開の日本映画(実写)である。文部省特選(少年、成年、成人、家族4部門)。
2006年(平成18年)2月には、ディズニーが本作品を基本に登場人物を米国人とするなどして新たに製作(リメイク)した米国映画「Eight Below」が同国で公開され、同作品は翌3月には本作品と全く同じ「南極物語」の邦題で日本でも公開された。
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[編集] 概要
1958年(昭和33年)2月、先発の南極地域観測隊第一次越冬隊と交代するため海上保安庁観測船・宗谷で南極大陸へ赴いた第二次越冬隊が、長期にわたる悪天候の為に南極への上陸・越冬を断念、その撤退の過程で第一次越冬隊の樺太犬15頭を無人の昭和基地に置き去りにせざるを得なくなった。極寒の地に餌もなく残された15頭の犬の運命、犬係の越冬隊員の苦悩、そして1年後の南極で兄弟犬タロとジロ、再び志願してやってきた越冬隊員の両者が再会するまでを、実話に基づき撮影期間3年余をかけて描いた作品である。
[編集] 上映時間等
[編集] 本編
- 日本の劇場公開版の上映時間、ビデオ・レーザーディスク・VHD・DVDの本編収録時間はいずれも約143分である。テレビ等での放送では短縮編集されることもある。
- 後年、米国(英語吹替・112分)・オーストラリア(前同)・イタリア(イタリア語吹替・モノラル・90分)・フランス(フランス語吹替)の各国で「ANTARCTICA」のタイトルでビデオが発売された。日本版との差異の大半はシーンのカットによる時間短縮であるが、そのほかにシーンの脈絡が日本版と前後する部分(米国版)や、日本版(特別編含む)で全く使用されていない音楽(日本版ラストシーンの続きに当たるメイン・テーマのCD未収録部分約1分50秒間)を使用している部分(イタリア版)などがある。
[編集] 特別編
- 公開1年後の1984年(昭和59年)10月5日・6日には、製作元のフジテレビ系列で(劇場公開版に未収録の場面を加えた)正味約180分の「南極物語 特別編」(現在の言葉でいうところの「ディレクターズ・カット」)が前・後編に分けテレビ放送された。この特別編は以後再放送も販売媒体化もされていない。
[編集] 予告編
- 2001年(平成13年)11月21日に発売されたDVD(日本版)の特典ディスクには予告編が収録されている。日本版1編(1分20秒)と米国版2編(2分30秒と3分30秒)であるが、日本版のほうは使用されている音楽がすべて南極物語の曲でなくヴァンゲリスの既存アルバム曲であり、またロゴの「南極物語」の字体も異なることから早期に製作されたラフ的な予告編と考えられる。米国版のほうは(米国公開が日本公開の翌年であったこともあり)南極物語の曲が使用されており、2分30秒版ではグレゴリー・ペックがナレーションをしている。
- 実際には、日本版にもきちんと南極物語の曲を使用、「文部省特選」である旨も表示し、後に「第二回予告篇コンクール<邦画部門>金賞」を受賞することとなる完成度の高い後期版(3分20秒)の予告編(画面では「予告篇」と表示)があるが、このDVDには収録されていない。
[編集] データ
- 日本国内劇場公開:1983年(昭和58年)7月23日
- 製作:フジテレビジョン、学習研究社、蔵原プロダクション
- 配給:日本ヘラルド映画、東宝
- 配給収入:約59億円(当時の邦画最高配収記録)
- 観客動員数:約880万人
[編集] 主なスタッフ
- 製作:古岡滉、鹿内春雄、蔵原惟繕
- 企画:角谷優、蔵原惟二
- 製作指揮:日枝久
- チーフプロデューサー:貝山知弘、田中壽一
- プロデューサー:森島恒行、蔵原惟二
- 製作コーディネーター:村上七郎
- 監督:蔵原惟繕
- 脚本:野上龍雄、佐治乾、石堂淑朗、蔵原惟繕
- 音楽:ヴァンゲリス
- 撮影:椎塚彰
[編集] 主なキャスト
[編集] 人
- 潮田暁(第一次・第三次越冬隊):高倉健
- 越智健二郎(第一次・第三次越冬隊):渡瀬恒彦
- 小沢大(第一次越冬隊長):岡田英次
- 北沢慶子(越智の婚約者):夏目雅子
- 志村麻子(樺太犬リキ飼主):荻野目慶子
- 森岩剛士(北海道大学教授):日下武史
- 堀込勇治(第二次南極地域観測隊長):神山繁
- 岩切竜雄(観測船宗谷船長):山村聰
- 徳光(第二次越冬隊):江藤潤
- 戸田(第二次越冬隊):佐藤浩市
- 喫茶店のマスター:岸田森
- 野々宮英(第二次越冬隊長):大林丈史(助監督)
- 尾崎勇造(第一次越冬隊医師):金井進二(助監督)
- 長谷川(第二次越冬隊):中丸新将
- 梶原博(第一次越冬隊):志賀圭二郎
- 観測船宗谷航海長:寺島達夫
- 鶴田功(第一次越冬隊):長谷川初範
- ナレーション:小池朝雄
[編集] 犬(役名)
※樺太犬は当時すでに希少犬種となっていたため、出演した犬の犬種はすべて、近年の南極観測に多く用いられているエスキモー犬である。
- 繋留場で遺体を収容された7頭
- ゴロ、ペス、モク、アカ、クロ、ポチ、紋別のクマ
- 氷海に消えた6頭
- リキ、アンコ、シロ、ジャック、デリー、風連のクマ
- 生き残った2頭
- タロ、ジロ
[編集] DVD副音声参加者(2001年)
括弧内の肩書きはいずれも1983年映画公開当時のもの。
- 角谷優(企画・フジテレビ映画部長)
- 貝山知弘(チーフプロデューサー)
- 蔵原惟二(企画・プロデューサー。蔵原惟繕監督の実弟)
- 蔵原惟繕(製作・監督・脚本。副音声コメントは別録のものを適宜挿入)
[編集] 関連書籍
- タロ・ジロは生きていた 南極物語
- 石森章太郎:構成、シュガー佐藤:漫画 学研まんが 名作シリーズ 学習研究社 ISBN 4-05-100298-5
- タロ・ジロは生きていた 南極越冬隊とカラフト犬の物語
- 藤原一生:著 教育出版センター (1983年)
[編集] 関連項目
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