名古屋立てこもり放火事件
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名古屋立てこもり放火事件(なごやたてこもりほうかじけん)は、2003年9月16日に、運送会社「軽急便」の賃金不払いに抗議した男(当時52歳)が、愛知県名古屋市東区の大曽根駅前にある名古屋支店ビルに立てこもり、3ヶ月分の賃金21万円を要求し、店内にガソリンを撒き、火をつけ爆破した自爆事件。事件の背後にはこの社を含む宅配委託業界のよからぬ体質があると言われている。事業主を募り、軽トラックを売って運送業を委託するので「軽貨物商法」と言われ、悪徳商法ではないかとの評もあった。
結果として犯人と、人質の支店長(当時41歳)が死亡し、犯人を制圧、逮捕するため現場で待機していた愛知県警察の捜査員(当時31歳)が殉職するという最悪の事態となった。また警察官3名が重傷を負い、警察官・消防隊員・通行人ら38名が爆発時に飛散したガラス片等で軽傷を負った。
「自爆」ではなく、脅しとして持っていたライターが気化したガソリンに引火した「事故」であるという見方もある。
現場には、愛知県警察の特殊急襲部隊(SAT)も出動していた。出動人員が少数であったため偵察、狙撃要員と推測される。
この事件では、揮発したガソリンが室内に充満していたため、犯人の制圧に銃器や閃光弾を使用することができなかった。