土器
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土器(どき)((英)pottery,earthenware)とは、一般的には、粘土を窯を使わず、野焼きの状態で700~900℃の温度で焼いた器のことをいう。この場合野焼きを行う穴を焼成坑と呼ぶ。また、須恵器のように窯で焼成したものであっても胎土として使用された本来の粘土の性質が露出しているために、陶器とみなしえないものも土器に含まれる。この場合、須恵器は陶質土器として位置づけられている。土器の器壁の内部には、気孔が多く残っているため、透水性が著しく、陶磁器と比べて比重が軽く、胎土の密度がちいさい。従って、脆くて壊れやすい。
土器は、彩色される場合もあるが、この場合、彩色具は、あくまでも表面を彩色するのみであり、釉薬(うわぐすり、またはゆうやく)のように胎土を覆ったり、透水性を変化させたりなどの物理的、化学的な変化を器本体にもたらさないことを前提としている(ただし、その区別は微妙で、メソアメリカで後古典期にみられる光沢のある釉薬がかかったような焼成のよい器であるPlumbate Wareを鉛釉土器と呼ぶ場合などもある)。土器は、胎土が露出した状態のいわゆる素焼きの状態の器であって、磁器のように化学変化を起こしてガラス化していないため粘土の不透明な状態がそのまま残っている。
日用品として使用される土器は、時期によって、用途や成形技法、形状が変化するため、時間を計る物差しとして考古学上の編年の指標や研究の対象とされる。
日本では縄文式土器や弥生式土器が有名で、弥生式土器の系統は古墳時代以降土師器に受け継がれる。現代でも一部の神社などの祭祀で御神酒を飲む使い捨ての酒杯であるかわらけとして残っている。