地獄温泉
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地獄温泉(じごくおんせん)は、熊本県阿蘇郡南阿蘇村河陽(旧長陽村)(旧国肥後国)にある温泉。温泉名の由来は温泉の裏山に火山ガス噴出による草木の生えていない場所(いわゆる地獄地帯)が存在することによる。
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[編集] アクセス
- 鉄道 南阿蘇鉄道高森線阿蘇下田城ふれあい温泉駅より路線バス約17分で垂玉温泉バス停へ。そこからは徒歩5分ほど。
[編集] 泉質
- 単純硫黄泉(硫化水素型硫黄泉)
[編集] 温泉街
旅館「清風荘」が代表的であるが、国民宿舎「南阿蘇」と小規模な民宿1軒も存在する。隣の垂玉温泉山口旅館もそれほど離れていない場所に立地しているが、源泉が異なるため別の温泉として扱われている。宿は山の中に散在しているために、温泉街と言えるものではない。
なお、清風荘と山口旅館は宿泊者を対象に、温泉の相互利用を認めているため、宿泊旅館のフロントで入浴券を入手することにより、相手側の全ての浴場を巡ることができる。
[編集] 浴場
当温泉を代表する旅館である「清風荘」には多くの浴場があり、湯めぐりができる。源泉は裏山の地獄地帯から引湯しているが、露天風呂の「すずめの湯」だけは、湯船の底から源泉が足元湧出している。
内湯
- 元湯 男女別。いわゆる「大浴場」。
- 家族風呂 貸切浴場。小規模だが当然掛け流し。
露天風呂
- すずめの湯 屋根つき混浴露天風呂。泥湯。当温泉を代表する浴場。ぬるめで長く入っていられる浴槽と熱めの浴槽がある。温泉成分を含んだ泥が沈殿し、肌に塗ると良いという。なお、更衣室は男女別だが、その中にも同源泉の内湯があるので、混浴が難しい人は内湯が使える。
- 「露天風呂」 男女別露天風呂。露天風呂は3箇所にあるが、ここだけが「露天風呂」という名前。女性用は高台にあり、男性用を覗けるために「仇討ちの湯」と言う名が付けられている。
- 新湯 屋根つき男女別露天風呂 旅館の建物から一番遠い。もともと別源泉で湯の花が多かったが、最近は元湯などと同じ湯になった。
[編集] 歴史
江戸時代は熊本・細川藩の藩士しか入浴が許されていなかったという格式を誇る。また、入浴が許された藩士も帯刀を義務付けられるなど、数々の掟があった。清風荘の本館(旧館)玄関には当時の掟書が展示されている。
1998年の台風7号(奈良県の室生寺五重塔に大きな被害をもたらした台風)では、清風荘の本館(旧館)は目立った被害がなかったが、別館(新館)の屋根に大きな被害を受け、別館は翌年に改築される。
2002年のFIFAワールドカップ・日韓大会の際は、大会前のキャンプを熊本で張っていたベルギー代表チーム一行が、当温泉に入浴する。
[編集] 湯治場
明治以降、一般庶民に開放された地獄温泉は、庶民の湯治場として発展する。現在でも清風荘には、一般旅館部とは別に安価で素泊まり宿泊できる簡素な部屋が存在する。近年までは旅館敷地内に湯治客のための食品や日用品を販売する売店が営業を続けていたが、経営者の高齢化により廃業してしまい、自動販売機コーナーになってしまった。また、テレビ等で紹介されたこともあり、一般観光客が増加して一般客室を増やすために、湯治客用の部屋は減っている。