地球防衛軍テラホークス
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『地球防衛軍テラホークス』(ちきゅうぼうえいぐんテラホークス、Terrahawks)は、1983年から1984年にかけてイギリスで放映された、人形劇による特撮のTVシリーズ。製作は操り人形を用いた特撮映画やテレビシリーズを多く製作していた、ジェリー・アンダーソン率いるアンダーソン・パー・ピクチャーズである。
日本版主題歌「ギャラクティカ・スリリング」、エンディングテーマ「大切な言葉」を歌うのは、元ザ・リリーズの燕 奈緒美・真由美姉妹である。声の出演者の紹介画面で流れたインストゥルメンタル曲「0(ゼロ)のテーマ」も含めて、日本版独自の音楽は新田一郎が担当した。
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[編集] 登場する主要なメカ
- バトルホーク
- 中型のメカを多数搭載する大型輸送機。移動司令室の役割も有する。屋敷が開いて発進する。
- テラホーク
- バトルホークから分離する中型司令機。通常はバトルホークの上部に合体している。母機から分離して飛ぶメカは「宇宙船XL-5」「謎の円盤UFO」等でお馴染み。
- ホークウイング。
- 主力戦闘機。湖底が渦巻いて出来る穴から発進する。通常はケイトが胴体部コクピットに、ホークアイが主翼中央部のコクピットモジュールに搭乗する。胴体部分と主翼部分は分離して飛行出来る。また、主翼部分をミサイルとして攻撃に用いる事もあり、その際ホークアイはコクピットモジュールごと胴体部に移乗する。
- ツリーホーク
- スペースホークと連絡をとるスペースシャトルで、謎の円盤UFOにおけるルナ・モジュール的存在。大木が開いて発進することからこの名がある。
- スペースホーク
- 人工衛星軌道上で警戒にあたる、サンダーバード5号や「SID」に相当する存在。ヒロと101はいつもここにいる。船内はヒロの趣味である花が一杯に飾られている。
- バトルタンク
- ゼロイド同様、意識を持ったロボット2台で操縦される戦車。ただし喋らない。
- ハドソン(声:郷里大輔)
- 主にケイトが乗るロールスロイス。ゼロイド同様意識を持って会話する上、車体の色を変えられる。
- オーバーランダー
- 日本放映6話に登場した大型輸送車両。短い車両ユニットをムカデのように多数連結させた構造で、砂漠のような悪路もものともしない。ホークネストに必要物資を運ぶ途中でゼルダ一家に乗っ取られた。巨大な点が最大の特徴である超大型車両がゲストで登場するのもアンダーソン作品の「お約束」の一つ。
- ドッグ、フィン、シャーク、ライノ、アイスボックス、ファントム
- 地球侵略のためゼルダが率いてきた6隻の宇宙船。それぞれ能力が異なる。NASAの火星基地を破壊後、放射状に連結した状態でその場に着陸し、ゼルダ一家の基地となっている。
- ジーフ
- ゼルダ基地から発進する戦闘機。無人で運用されることもある。人間の掌程度の大きさのニュータイプ版も存在する。
[編集] 登場人物(声の出演)
[編集] テラホークス(正義側)
- タイガー・ナインスタイン博士(声:有川博)
- 指揮官。スタイン博士の細胞から生まれたクローンの1人。ナインスタインという名の通りクローンは9人おり、もしナインスタインが死んでも、他のクローンが記憶を受け継いで新しいナインスタインとなる。いつも本部のコンピュータでゲームをしている。
- メアリー・ファルコナー大尉(声:弥永和子)
- ナインスタインの副官。ナインスタインの事をいつも気にかけている。
- ケイト・ケストレル大尉(声:山田栄子)
- ホークウィングのパイロット。副業として歌手もやっており「サンダーバード」の挿入歌と思われる歌を歌う。なお、その歌自体は、キャラクターのモデルとなった歌手である本物のケイト・ケストレルが歌っている。
- ホークアイ中尉(声:鈴置洋孝)
- 事故で両目が義眼になっているが、外見からはそれは感じられない。ホークウィングのパイロットで射撃の名手。
- ヒロ(声:野島昭生)
- 富士山の裾野で拾われた日本人で、ゼロイドの設計者。いつも地上でなくスペースホークにいる。シリーズ前半の時間かせぎのコーナーではナレーターも担当していたが、そこでは自分の事を、お寺の息子と紹介していた。
- ゼロ軍曹(声:緒方賢一)
- 最初に作られたゼロイド(球型ロボット)で、地上の1~100号のリーダー。ナインスタインとは迷コンビ。なおゼロイドには額部分にレーザー光線銃が内蔵されている。ゴロゴロ転がることで質量を増し体当たりをする、ブラックホールアタックという攻撃方法もある。
- 18号(声:堀内賢雄)
- 中盤からレギュラー入りするゼロ軍曹の部下。ヒゲを描いた顔におフランス言葉で喋る。
- 55号(声:鈴置洋孝)
- 同じくゼロ軍曹の部下。
- 101号(声:西川幾雄)
- 宇宙ステーションにいるゼロイド。額に101とかかれている。102~200号のリーダー。性格は穏やかでヒロの事を尊敬する反面、ゼロ軍曹との仲は良くない。(ステーションの102~200もゼロ軍曹の命令は聞かなかった、という描写がある)
[編集] ゼルダ一家(悪側)
- ゼルダ(声:高橋和枝)
- 地球征服(侵略)を企むエイリアン(アンドロイド)の首領。その姿は全身シワクチャのお婆さん。ナインスタインの事を「クローン」と蔑称する。
- ヤングスター(声:及川ヒロオ)
- ゼルダも嘆く馬鹿息子。いつも緑色のゼリーをかけた鉱物を食べている。
- シスター(声:小宮和枝)
- ゼルダの妹。頭は弱い。アンドロイドであるが、子供は産める。
- ベビースター(声:三ツ矢雄二)
- シスターが27話で産んだ子供。赤ん坊でありがら策略家。両性共有で男女2つの意識を持つ。誕生後は、ヒロに代わり時間かせぎのコーナーでナレーターも担当。
- スポリラ(声:郷里大輔)
- ゼルダが呼び寄せた宇宙生物の一人で、獅子舞みたいな顔の宇宙ゲリラ。
- スラム(声:加藤精三)
- ゼルダが呼び寄せた宇宙生物の一人で侵略長官。叫び声に混じる超音波で物を破壊する。
- キューブ(声:「シーッ!」としか鳴かない)
- ゼルダ達が地球攻撃に使う戦闘員的なロボット達。丸くて笑顔のゼロイドに対し、四角くてしかめっ面。レーザー光線を発射出来、また複数のキューブが連結して光線の破壊力を高める事も可能。連結したキューブたちの間にフィールドを発生させてバリアを張ることが可能。
[編集] その他
- スチュー・ダブルス(声:キートン山田)
- ケイトのレコード会社のマネージャーで、かなりハイな性格。時々事件に巻き込まれ、信じがたい展開に混乱する。テラホークスの存在は知らない。
- ナレーター(声:羽佐間道夫)
- 登場は第一話でなく、過去のアンダーソン作品同様中盤から。同時にオープニングとエンディングも日本式に一部変更されている。
[編集] 作品史
日本の特撮やアニメ作品において、1960年代から1970年代のヒット作の人気にあやかり、1980年代以降に続編やリメイク作が盛んに制作されたものの、オリジナル作品のクオリティは超えられないという事例が散見されるが、アンダーソン作品を一つのシリーズとみなせば、本作もそれに該当すると言えよう。日本での放映当時、久々のNHKでの全国ネットということもあり「あのジェリー・アンダーソンの新作」といった先行宣伝が盛んに行われたが、特撮部分と本編演出とのアンバランスが目立ち、結果として制作意図の見えにくい作品になってしまった感は否めない。その後、ジェリー・アンダーソンによる新しい連続TVシリーズもなかなか出来なかった事から、作品フォーマットの形成に大きな役割を占めたシルヴィアの抜けた部分は埋め切れなかったともとれる。
本編の台詞で印象的なのが「10-4」(テン・フォー:了解)、「10-10」(テン・テン:通信終わり)等の、数字の組み合わせを使った通信符号で、番組内でもコーナーを設けて内容を説明していた(民放で放映する際のCM枠に相当する時間のフィラー(穴埋め)の役割も兼ねていた)。このコード体系は米軍やCB無線等で実際に使われていた「10コード」と呼ばれるものであり、特撮作品ではこれをそのままタイトルに盛り込んだ「緊急指令10-4・10-10」(円谷プロ)で有名。コードの詳細は同番組の項を参照のこと。
技術面では久しぶりに人形の頭身が短くなったが、従来の「スーパーマリオネーション」とは異なり、パペット(下あやつり)が使われている。「きかんしゃトーマス」等と同様に目はラジコンで動かしているが、眼球には本物の義眼が使われている。ただ、口は開いたままでギミックはなく、演出面でしまりの無い印象を指摘する声もある。「宇宙刑事ギャバンの顔そっくり」と話題になった球状ロボット・ゼロイドのデザインは、ギャバン同様バンダイによるものである。なお、口の開閉動作を電飾を使って表現するギミックは「宇宙からのメッセージ・銀河大戦」(東映)に先例がある(ロボット・トント)。
[編集] 放映リスト
日本では1985年4月2日から1986年3月21日にかけて、NHKで初めて放映された。しかしこのサブタイトルはまだ疑問が残されており、当時この作品をリアルタイムで見ていた者の記憶と照らし合わせると、明らかに以下の情報と違うものがある。例えば「歌え!ゼルダ・バンド」は「太陽系紅白歌合戦」、「謎のUFOを探せ」は「どうなってんの?スチュー」、「ヤングスターの家出」は「ヤングちゃんの家出」であった。従来のアンダーソン作品もサブタイトルを2つ持つものが大変多く(詳細はジェリー・アンダーソンから各作品を参照)放送する度にサブタイトルを作ったという可能性が考えられる。
英 | 英語サブタイトル | 日 | 日本語サブタイトル |
1 | EXPECT THE UNEXPECTED (Part.1) | 1 | テラホークス発進せよ! PART I |
2 | EXPECT THE UNEXPECTED (Part.2) | 2 | テラホークス発進せよ! PART II |
3 | THUNDER-ROAR | 3 | サンダーパワーの恐怖 |
5 | FROM HERE TO INFINITY | 5 | ナゾの宇宙船 |
4 | CLOSE CALL | 6 | ホークネストの秘密 |
7 | THE SPORILLA | 7 | 宇宙の猛獣スポリラ |
8 | HAPPY MADEDAY | 8 | 変装アンドロイド |
9 | FUNFIGHT AT OAKY'S CORRAL | 9 | オーキー牧場の決闘 |
10 | THE UGLIEST MONSTER OF ALL | 10 | 恐くてかわいい宇宙グマ |
11 | THE GUN | 11 | 合体キューブの威力 |
12 | THUNDER PATH | 12 | 帰って来たサンダーパワー |
13 | MIND MONSTER | 13 | マインド・モンスターの襲撃! |
6 | SPACE SAMURAI | 14 | 宇宙のサムライ |
14 | TO CATCH A TIGER | 15 | ナインスタイン隊長を救え |
15 | THE MIDAS TOUCH | 16 | 金塊衛星の危機 |
16 | OPERATION S.A.S | 17 | 天才ヤングスター!? |
17 | TEN TOP TOP | 18 | ケイト誘拐事件 |
18 | UNSEEN MENACE | 19 | 見えない敵モイド |
19 | A CHRISTMAS MIRACLE | 20 | クリスマスの奇跡 |
20 | MIDNIGHT BLUE | 21 | ニュータイプ、ジーフ登場 |
21 | PLAY IT AGAIN SPAM | 22 | 歌え!ゼルダ・バンド |
22 | MY KINGDOM FOR A ZEAF | 23 | 時間の支配者テンポ卿 |
23 | ZERO'S FINEST HOUR | 24 | ゼロイドうそつかない |
25 | GOLD | 24 | スペースから来た金塊 |
24 | THE ULTIMATE MENACE | 25 | 殺人コンピューター、ザイクロン |
26 | MA'S MONSTERS | 26 | 勢ぞろいザ・モンスター |
27 | TWO FOR THE PRICE OF ONE | 27 | ベビースター誕生 |
28 | CHILD'S PLAY | 28 | ベビースターの爆弾作戦 |
29 | JOLLY ROGER ONE | 29 | ベビースター |
30 | RUNAWAY | 30 | ヤングスターの家出 |
31 | FIRST STRIKE | 31 | 初めての敗北 |
32 | TERRABOMB | 32 | 突撃!宇宙グマ爆弾 |
33 | DOPPELGENGER | 33 | 2人のヤングスター!? |
38 | CRY UFO | 34 | 謎のUFOを探せ |
35 | SPACE CYCLOPS | 35 | 宇宙の一つ目怪物現わる! |
34 | TIME WARP | 36 | ヘンテコ時間差パニック |
37 | SPACE GIANT | 37 | スポリラの逆襲 |
39 | COLD FINGER | 38 | コールドフィンガー |
36 | OPERATION ZERO | 39 | テラホークス最後の日!? |
[編集] 外部リンク
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