大夏
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大夏(たいか)は、中国の歴史書にあらわれるトハラ(現在のアフガニスタン北部)の地名、国名。大夏という漢字表記がトハラの発音を反映したものと考えられている。
アレクサンドロス大王の遠征後、紀元前3世紀にギリシャ人によってバクトリア王国が建設され、ヘレニズム文化が栄えた。紀元前2世紀の終わりごろに中央アジアの遊牧民の国、大月氏に派遣された張騫は、大月氏が大夏国を滅ぼし、大夏を本拠地としたことを報告している。
大月氏によって滅ぼされた大夏国は、ギリシャ人のバクトリア王国であったという説と、バクトリア王国を滅ぼしたイラン系遊牧民(トハラ人)の国であったという説がある。以後、大夏の地は中国史料では大月氏国と呼ばれ、大月氏国の配下にあったトハラ人豪族が大夏の地に建国したクシャーナ朝もそのまま大月氏として記録された。
クシャーン朝の後、トハラは中国史料には大夏国ではなく、都貨邏国の名であらわれるようになる。