天地開闢
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天地開闢(てんちかいびゃく)とは、天地に代表される世界が、初めて生まれた時のことを示す。
この記事では、日本神話における天地開闢のシーンについて記す。
中国神話における天地開闢は天地開闢 (中国)を参照せよ。
自分達の世界がどのようにして生まれたか。このことは、古代人にとっても大きな問題であった。古事記・日本書紀の最初の部分は、世界誕生の頃の物語となっている。しかし、古事記と日本書紀との間で、物語の内容は相当に異なる。またさらに、日本書紀の中でも、本書といわれる部分の他に、一書と呼ばれる異説の部分がある。このようにして、世界誕生の神話は1つに定まっていない。
目次 |
[編集] あらすじ
[編集] 古事記
古事記によれば、世界の始まりは次のようであった。なお、一般的に日本神話における天地開闢のシーンと言えば、古事記のこのシーンが想起される。
世界の最初に、高天原に相次いで三柱の神が生まれた。
続いて、二柱の神が生まれた。
- 宇摩志阿斯訶備比古遅神 (うましあしかびひこぢのかみ)
- 天之常立神 (あめのとこたちのかみ)
この五柱の神は、特に性別はなく、身を隠してしまった。それゆえに、これ以降表だって神話には登場しないが、根元的な影響力を持つ特別な神である。そのため別天津神(ことあまつかみ)と呼ぶ。
次に、また二柱の神が生まれた。
国之常立神と豊雲野神もまた性別はなく、またこれ以降神話には登場しない。
これに引き続いて、五組十柱の神々が生まれた。五組の神々は、それぞれ男女の対の神々であり、したのリストでは、左側が男性神、右側が女性神となっている。
- 宇比地邇神 (うひぢにのかみ) 、須比智邇神 (すひぢこのかみ)
- 角杙神 (つのぐひのかみ) 、活杙神 (いくぐひのかみ)
- 意富斗能地神 (おほとのじのかみ) 、大斗乃弁神 (おほとのべのかみ)
- 於母陀流神 (おもだるのかみ) 、阿夜訶志古泥神 (あやかしこねのかみ)
- 伊邪那岐神 (いざなきのかみ) 、伊邪那美神 (いざなみのかみ)
以上の七組十二柱の神々を総称して神世七代(かみのよななよ)という。
[編集] 日本書紀
日本書紀における天地開闢のシーンは、性別のない神々の登場のシーン(巻一第一段)と男女の別れた神々の登場のシーン(巻一第二段・第三段)に分かれる。また、先にも述べたように、古事記と内容が相当違う。さらに異説も存在する。
[編集] 根源神たちの登場
本書によれば、太古、天と地とは分かれておらず、互いに混ざり合って混沌とした状況にあった。しかし、その混沌としたものの中から、清浄なものは上昇して天となり、重く濁ったものは大地となった。そして、その中から、神が生まれるのである。
天地の中に葦の芽のようなものが生成された。これが、神となる。
- 国常立尊(くにのとこたちのみこと)
- 国狭槌尊(くにのさつちのみこと)
- 豊斟渟尊(とよくむぬのみこと)
これらの神々には、性別がなかった。
- 第1の一書によれば、天地の中に生成されたものの形は不明である。しかし、これが神となったことは変わらない。生まれた神々は次の通りである。なお、白丸で箇条書きされているのは、上の神の別名である。
- 国常立尊(くにのとこたちのみこと)
- 国底立尊(くにのそこたちのみこと)
- 国狭槌尊(くにのさつちのみこと)
- 国狭立尊(くにのさたちのみこと)
- 豊国主尊(とよくにむしのみこと)
- 豊組野尊(とよくむののみこと)
- 豊香節野尊(とよかぶののみこと)
- 浮経野豊買尊(うかぶののとよかふのみこと)
- 豊国野尊(とよくにののみこと)
- 豊齧野尊(とよかぶののみこと)
- 葉木国野尊(はこくにののみこと)
- 見野尊(みののみこと)
- 国常立尊(くにのとこたちのみこと)
- 第2の一書によれば、天地の中に葦の芽のようなものが生成された。これが、神となったとされる。すなわち、本書と同じ内容であるが、神々の名称が異なる。
- 第3の一書でも、生まれた神々の名が異なる。なお、生まれた神は人のような姿をしていたと描写されている。
- 可美葦牙彦舅尊(うましあしかびひこぢのみこと)
- 国底立尊(くにのそこたちのみこと)
- 第4の一書によれば、生まれた神々の名は下の通りである。この異伝は、古事記の記述に類似している。
- 国常立尊(くにのとこたちのみこと)
- 国狭槌尊(くにのさつちのみこと)
- これらの二柱の神々の次に、高天原に生まれたのが、下の三柱の神々である。
- 第5の一書によれば、天地の中に葦の芽が泥の中から出てきたようなものが生成された。これが、人の形をした神となったとされる。本書とほぼ同じ内容であるが、一柱の神しか登場しない。
- 国常立尊(くにのとこたちのみこと)
- 第6の一書も、本書とほぼ同様に、葦の芽のような物体から神が生まれた。ただし、国常立尊は漂う脂のような別の物体から生まれた。
[編集] 男女一対神たちの登場
渾沌から天地がわかれ、性別のない神々が生まれたあと、男女の別のある神々が生まれることとなる。これらの神々の血縁関係は、本書では記されていないが、一書の中には異伝として、記されている。
本書によれば、四組八柱の神々が生まれた。四組の神々は、それぞれ男女の対の神々であり、下のリストでは、左側が男性神、右側が女性神となっている。なお、黒丸で箇条書きされているのは、上の神の別名である。
- 埿土煮尊(うひぢにのみこと)、沙土煮尊(すひぢにのみこと)
- 二神の別名
- 埿土根尊(うひぢねのみこと)、沙土根尊(すひぢねのみこと)
- 二神の別名
- 大戸之道尊(おほとのぢのみこと)、大苫辺尊(おほとまべのみこと)
- 二神の別名
- 大戸摩彦尊(おほとまひこのみこと)、大戸摩姫尊(おほとまひめのみこと)
- 大富道尊(おほとまぢのみこと)、大富辺尊(おほとまべのみこと)
- 大戸之道尊の別名
- 大戸之辺尊(おほとのべのみこと)
- 二神の別名
- 面足尊 (おもだるのみこと) 、惶根尊 (かしこねのみこと)
- 惶根尊の別名
- 吾屋惶根尊(あやかしこねのみこと)
- 忌橿城尊(いむかしきのみこと)
- 青橿城根尊(あをかしきのみこと)
- 吾屋橿城尊(あやかしきのみこと)
- 惶根尊の別名
- 伊弉諾尊(いざなきのみこと)、伊弉冉尊(いざなみのみこと)
- 第1の一書では、伊弉諾尊、伊弉冉尊は、青橿城根尊の子とされている。
- 第2の一書では、神々の系図がよりはっきりとしている。
- 国常立尊
- 天鏡尊(あまのかがみのみこと)
- 国常立尊の子。
- 天万尊(あめよろずのみこと)
- 天鏡尊の子。
- 沫蕩尊(あわなぎのみこと)
- 天万尊の子。
- 伊弉諾尊
- 沫蕩尊の子。
さて、本書によれば、国常立尊・国狭槌尊・豊斟渟尊に、以上の四組八柱の神々を加えたものを総称して神世七代という。
- 第1の一書によれば、四組八柱の神々の名が異なっている。
- 埿土煮尊(うひぢにのみこと)、沙土煮尊(すひぢにのみこと)
- 角樴尊(つのくひのみこと)、活樴尊(いくくひのみこと)
- 面足尊(おもだるのみこと)、惶根尊(かしこねのみこと)
- 伊弉諾尊(いざなきのみこと)、伊弉冉尊(いざなみのみこと)
[編集] 解説
[編集] 神名
[編集] 中国思想の影響
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