女性向けアニメ
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女性向けアニメ(じょせいむけ - )とは女性向けのアニメ作品。または女性が見ることを想定するしないにかかわらず、結果的に主な視聴者が女性のアニメ作品のこと。但し、中学生以下の女児のみが対象の作品は女児向けアニメや少女向けアニメとなるので、ここでは扱わない。
厳密に言えば、このジャンルは1998年の『彼氏彼女の事情』以降の作品であり、『ふしぎ遊戯』や『花より男子』など、それ以前の作品は当時、「少女向けアニメ」として製作されていたものである。(それ以降も『フルーツバスケット』や『学園アリス』など、小学生の視聴者も視野に入れ、「少女向けアニメ」としてもアニメ化された作品もある)また、当時から岡崎京子作品のアニメ化がハイティーン層から望まれてはいたのだが、実際問題として女性向けアニメを商業展開する術も前例もが無かったからだといわざるを得ない。
特に1997年の『少女革命ウテナ』は『美少女戦士セーラームーン』の幾原監督率いるビーパパスがそのノウハウを活かして、少女漫画家さいとうちほを招聘して製作した作品であるが、これはメディアミックス作品のセーラームーンにおいて原作者のセンスが少女向け作品を構築するという点で無視出来ないものだったからであろう。つまり女性ファンを意識して登用した訳だが、当時女性向けアニメというジャンルが存在しなかった為、結局少女と男性向けに展開せざるを得なかったという事情がある。ただしウテナのスタッフは現在『桜蘭高校ホスト部』、『のだめカンタービレ』などの女性向けアニメで活躍している。
ただし、OVAで1990年代初頭に「花とゆめ」原作の作品が連作されているが、これは逆に少女向けアニメとしてテレビアニメに向かない作品群であった為に別メディアに活路を求めた為であると思われる。特に『ここはグリーンウッド』と『ぼくの地球を守って』はヒットし、グリーンウッドはファンダムでアメリカに紹介された為、日本よりも海外の方が知名度が高い作品として知られる。余談だが、1987年頃『闇のパープル・アイ』のOVAがリリースされており、このジャンルでは最初期の物と思われるが、内容はミュージックビデオであり、ドラマ性がない為あまり語られる事はない。
高年齢化を逆に活かし、1997年に前述の『少女革命ウテナ』と『CLAMP学園探偵団』を皮切りに一部の「男性向けアニメ」や前述のOVA作品と同じくDVD(1999年頃まではLD)の販売や有料放送、ネット配信など映像商品の売上で制作費を捻出する作品が増え、この形式でアニメ化される作品の総数は年々多くなっている。1998年の『彼氏彼女の事情』ではオタク層だけではなく、一般層の女性もターゲットとし、DVDなどの映像商品のターゲットが一気に広がり、高校生以上向けの女性にもアニメの需要があることを証明した。(従来の『花より男子』などでは中高生向け少女漫画が原作でもアニメは小中学生向けの少女向けアニメとしてアニメ化され、原作でなかった玩具も入れるなど、対象年齢を切り下げていた。)DVD再生機器やレンタルDVDが普及した現在では『NANA』や『ハチミツとクローバー』シリーズなど一般層によく支持されるが、オタク層には人気が薄い作品もこの形式でアニメ化されている。
迷走が続く「少女向けアニメ」と異なり、近年では人気が比較的安定しているといえる。少なくとも原状で「少女漫画原作アニメ」として、世間で名が通っているのは、このジャンルの作品群であり、フジテレビのノイタミナは事実上女性向けアニメ枠といっても良い枠である。
基本的に誰でも知っている位のメジャーな作品か逆に実写に向かないマニアックな作品が多い。このジャンルの原作は実写で映画やドラマになるパターンも多く、『のだめカンタービレ』の様にアニメとドラマのWメディアで展開するものもある。
[編集] 代表的な女性向けアニメ
その他の作品については、「女性向けアニメの年代別一覧」を参照。