宇部興産専用道路
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宇部興産専用道路(うべこうさんせんようどうろ)は、山口県宇部市から同美祢市に至る宇部興産の専用道路である。正式名称は、宇部・美祢高速道路。1975年(昭和50年)開通。全長28.27kmにも及ぶ、日本でもっとも長い私道である。
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[編集] 概要
宇部市大字小串の宇部興産宇部セメント工場から美祢市伊佐町大字伊佐の宇部興産伊佐セメント工場までを結び、伊佐石灰石鉱山で採掘した石灰石と、伊佐セメント工場でつくったセメントの半製品クリンカーを専用トレーラーで運搬している。私道であり、道路通行を事業としていない(=工場構内などと同じ扱い)ため、道路運送法・道路交通法・道路運送車両法の適用を受けないことから、専用トレーラーはナンバープレートを取得していない。また、これらの法規に基づかないため、舗装や興産大橋等の道路の規格が異なっており、一般車の走行には適さないと言われる。
1982年3月に開通した興産大橋は、設計・施工・建材製造の全てを宇部興産とその子会社が行なっている。これは当時の宇部興産本体が鋼構造物工事の建設業許可を持ち鋼橋の製作を手がけていたこと(鋼構造物をはじめとする機械・エンジニアリング部門は、後に事業分割により子会社の宇部興産機械に承継されている)、子会社に建設コンサルタント(宇部興産コンサルタント)が存在したために可能となった事である。
なお、宇部市大字小串に一般道と平面交差する場所があるが、そこには鉄道の踏切警報機が一般道の交通遮断と誤進入防止のために設けられている。
また、1994年に開催された広島アジア競技大会では、この道路を使用して自転車のロードレース競技が行われた。映画「釣りバカ日誌12 史上最大の有給休暇」でもこの道路を走行する場面がみられた。
[編集] 起終点等
- 陸上距離:28.27km
- 起点:宇部市大字小串1978-2 宇部興産宇部セメント工場
- 終点:美祢市伊佐町大字伊佐4768 宇部興産伊佐セメント工場
[編集] 通過する自治体
[編集] 交差・接続している道路
下記はすべて立体交差。ただし、※印の箇所にはランプとゲート(通常は閉鎖)があり、一般道と接続している。
- 山口県道354号妻崎開作小野田線(宇部市東須恵)※
- 国道190号(宇部市東須恵)※
- 山口県道29号宇部船木線(宇部市大字際波)
- 山陽自動車道宇部下関線(山陽小野田市大字有帆)
- 国道2号〔国道9号〕(宇部市大字船木)
- 山口県道30号小野田美東線(宇部市大字船木)※
- 山口県道224号西万倉山陽線(宇部市大字西万倉)
- 山口県道355号奥万倉厚狭線(宇部市大字西万倉)
- 中国自動車道(美祢市伊佐町堀越)
- 山口県道232号奥万倉山陽線(美祢市伊佐町堀越)
- 山口県道37号宇部美祢線(美祢市伊佐町堀越)
- 国道316号(美祢市伊佐町伊佐)※
[編集] 関連項目
- セミトレーラ - ダブルストレーラ、トリプルストレーラは、日本では宇部興産専用道路でのみ見られる形態である。
- 美祢線、宇部線 - 宇部興産専用道路開通前までは、伊佐工場~美祢駅間に自ら建設した貨物専用線を介して、上記2路線を経由し美祢駅~宇部港駅間で宇部興産の石炭・石灰石輸送が実施されていた。最盛期には宇部港駅と美祢駅の貨物取扱量が年間約770万t(1978年度)に上り、当時の日本一であった。
[編集] 外部リンク
- 宇部・美祢高速道路(国立科学博物館)
- 宇部興産セメントサービス 宇部興産専用道路のゲート管理、パトロールを担当している。