幻想ポロネーズ
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幻想ポロネーズ(げんそうぽろねーず、Polonaise-Fantaisie)はフレデリック・ショパンのピアノ曲。変イ長調、作品61。1846年に出版され、A.ヴェイレ夫人に献呈された。
「ポロネーズ第7番」ともされるが、構成からは幻想曲の名がふさわしい。複雑な和声と自由な形式をもつ独創的な作品で、ショパンの単一楽章作品としては大規模な部類に入る。
「この痛ましい幻影は芸術の域を超えている」というフランツ・リストの感傷的な評を始めとして、長らく正当な評価を受けなかったが、アルトゥール・ルービンシュタインやヴラジーミル・ホロヴィッツの名演もあり20世紀半ばになって人気が出た。現在は同時期に書かれた舟歌(作品60)、チェロソナタ(作品65)とともに最晩年の3大傑作とされ、ショパンの最高傑作に挙げる人もいる。
この曲は実に苦痛の中で作曲され、ジョルジュ・サンドとの決裂と肺病の悪化がこの曲の背景と言われている。確かにこの曲想は彼独特の美しさが飛び交うのだが、その先は非常に自虐的で襲い掛かる苦痛の中から無気力的に避けようとする動機が所々現れる為、実に悲しく聞こえる。幻想的に何か燃え尽きる魂が倒れる寸前の最後の光と言える凄まじい己の戦いの様なものがある。しかしそれが他の作曲家と違い、後半の戻ってくる全奏での主題のメロディーは、どこか転げまわる様な狂気と耐えられない現実に幻の中で狂喜しているかのようにも聞こえ、調性は未だに研究家たちの課題と言われるほど芸術的である。最後の最後で打ち切られるかのように音程は下降し、まさに今そこで力尽き、全てを紛失してしまうかのような情景をこれでもかと譜面上に表しているかのようでもある。
5つの主題(第1、第2の主題がポロネーズ風)による自由な形式を持ち、ショパンらしい悲愴なパッセージもしばしば現れるが、全体を支配するのは夢幻的な気分であり、最後はやや快活なスケルツォ風に終わるなど多彩な内容を持つ。
調性や、冒頭の4度降下のモチーフなど、幻想曲(作品49)との共通点も指摘される。
[編集] 構成
- Allegro maestoso、変イ短調(調号は変イ長調)、序奏
- Allegro maestoso、変イ長調、第1主題
- Allegro maestoso、変イ長調、第2主題 — ホ長調 — 変イ長調
- Allegro maestoso、変ロ長調、第3主題 — ロ短調
- Poco più Lento、ロ長調、第4主題
- Poco più Lento、嬰ト短調/ロ長調、第5主題
- Poco più Lento (lento)、ロ長調、序奏の再現
- Poco più Lento、ヘ短調/変イ長調、第5主題―Allegro maestoso
- Allegro maestoso、変イ長調、第1主題
- Allegro maestoso、変イ長調、第4主題