惑星ロボ ダンガードA
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『惑星ロボ ダンガードA』(わくせいロボ ダンガードエース)は、1977年(昭和52年)3月6日から1978年(昭和53年)3月26日までフジテレビ系で毎週日曜日19:00 - 19:30に全56話が放送された、東映動画製作のロボットアニメ。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
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[編集] 概要
1972年の『マジンガーZ』からロボットアニメブームを牽引してきた永井豪に代わり、松本零士をイメージクリエイターに迎えた作品。 松本は約半年後の1977年8月に劇場映画版『宇宙戦艦ヤマト』でアニメブーム、松本アニメブームを巻き起こすことになる。 松本零士作品としては唯一のロボットアニメだが、松本自身はロボットものがあまり好きではなく(『宇宙海賊キャプテンハーロック』作中でも、ヤッタラン副長に当時のロボットアニメを批判する台詞を言わせている)、テレビアニメの放映と並行して月刊漫画誌『冒険王』(秋田書店)で松本によって描かれた漫画版では、主役ロボット・ダンガードAの描写は(アニメ本編と形状が著しく異なる)サテライザーが若干描かれた程度で、ロボット形態に至っては最終回のラスト見開きに直立でワンカットのみという極端さであった。アニメ本編ではダンガードAに変形するサテライザーは4話から登場。巷間言われる「12話までロボット形態が全く登場しない」という記述は厳密には誤りである(タクマが正パイロットに任命される12話まで、合体訓練という形でダンガードAはしばしば劇中に姿を見せている)。しかし、ロボット形態が12話まで一切合切活躍しないのは確たる事実であり、登場頻度の少なさからスポンサーよりクレームが入り急遽活躍させたという逸話が残っているように、主役ロボの扱いが非常に特異な作品であったと言えるだろう(類似の例に16話まで合体しない『超獣機神ダンクーガ』がある)。また主人公タクマにスパルタ教育を施す教官のキャプテン・ダンとの関係がしばしばロボットアニメ版『巨人の星』とも評された。中盤以降はダンの死によりスポ根要素が払拭され、前後に登場した美形のライバルであるトニー・ハーケンとタクマの対決を軸として荒木伸吾(と姫野美智)による美麗なキャラクター人気がロボットバトルより先行するようになっていく。主題歌の歌詞から窺える本来のメインターゲットたる幼児よりも、寧ろ一部の熱狂的な女性ファンから支持されるという奇妙な逆転現象は本作に限らず、前作『UFOロボ グレンダイザー』後半部や俗に言う「長浜三部作」など当時のロボットアニメを象徴する風潮であった。
[編集] ストーリー
- 緑と資源に溢れた人類希望の星・プロメテ。だが悪の天才・ドップラー総統はこれを我が物とするためドップラー軍団を率いて、大江戸博士率いる人類のプロメテ移住計画=通称プロメテ計画の妨害を開始する。ドップラーの卑劣な罠によって宇宙パイロット・一文字断鉄らによる最初のミッションは失敗に終わり、その全ての責任は断鉄へ濡れ衣が着せられる形で幕を閉じた。
- それから数年―――断鉄の息子タクマは「裏切り者」と罵られ続ける父の汚名を注ぎプロメテ計画を成功させるべく、大江戸の元で宇宙パイロットとしての訓練を受けていた。一方プロメテ計画の進行を知ったドップラーは、戦闘ロボット・メカサタンで計画の中枢となるジャスダム基地があるスペース島へ攻撃を仕掛けてきた。時を同じくして、鉄仮面を被ったドップラー軍からの脱走者がスペース島に現れる。大江戸は類稀なる操縦技術を持つその男にキャプテン・ダンの名を与え、タクマたちパイロットの育成を任せた。
- 熾烈を極めるドップラー軍団の攻撃の中、キャプテン・ダンの厳しい訓練が続く。過酷な試練を乗り越え日々成長していくタクマは、変形メカ・ダンガードAで巨大戦闘空母ジャスダムとともにドップラー軍団と戦っていく。
[編集] スタッフ
- 企画:春日東(旭通信社)、別所孝治(フジテレビ)、勝田稔男(東映)
- 原作:松本零士(企画協力・メカニックデザイン:小林壇)
- 連載誌:テレビマガジン・たのしい幼稚園(講談社)、テレビランド(徳間書店)、冒険王(秋田書店)
- 脚本:田村多津夫、馬嶋満、山崎晴哉、吉川惣司
- 音楽:菊池俊輔
- 主題歌:「すきだッダンガードA」「その名もタクマ宇宙パイロット」(作詞:伊藤俊也、作·編曲:菊池俊輔、歌:ささきいさお、ヤング·フレッシュ)
- キャラクターデザイン:荒木伸吾
- チーフデザイナー:伊藤岩光
- チーフディレクター:勝間田具治
- 制作担当:吉岡修、佐々木章
- 美術:伊藤岩光、内川文広ほか
- 作画監督:荒木伸吾、野田卓雄、白土武、菊池城二、兼森義則、青鉢芳信、西城明、永樹凡人、谷口守泰、白鳥剣、衣政吉ほか
- 演出:勝間田具治、生瀬昭憲、西沢信孝、森下孝三、明比正行、芹川有吾、佐々木勝利、蕪木登喜司、大谷恒清、川田武範ほか
- 制作:東映、旭通信社
[編集] キャスト
- 一文字タクマ:神谷明
- キャプテン・ダン(一文字断鉄):柴田秀勝
- 大江戸博士:富田耕生
- 霧野リサ:吉田理保子
- 大星秀人:古川登志夫
- タマガー:富田耕生
- 佐渡酒造:八奈見乗児
- 荒井伴太:大竹宏
- 荒井ミヨ子:菊池紘子
- 足立太:緒方賢一
- 田貫教授:大竹宏
- 馬井喰吉:山田俊司
- ポケットモンキー太郎:大竹宏
- 城哲治(ジェット・ジョー):富山敬
[編集] 登場メカ
- ダンガードA
- 大江戸博士によって開発されたロボット。本来は地球に接近する第十番惑星プロメテへの移住計画のために開発されており、ロボット形態で全高200mという超巨大ロボットであった。かなりリアルな造形の唇部分が特徴(演出によってその唇が開いて表情がつけられていた)。
- 頭部(正確には頭部に被さるヘルメット状のパーツで、小型航空機に変形する。ガードランチャーという別名がある)、上半身、下半身と分離して各部が変形後、上半身が下半身の下へ回り込んでドッキングし、頭部は下半身前部(ダンガードAの時、腰部に位置する場所)に再合体し飛行形態サテライザーとなる。この状態でも全長160mという超巨大機と設定されている。
- 搭乗員は2名。メインパイロットがガードランチャーに、コ・パイロットが下半身前部のコクピットに乗り込む。本編では主にメインが一文字タクマで、コ・パイは当初キャプテン・ダンだったが後にダンがスカウトしてきた大星秀人が務める(コ・パイロットという重要な役割にもかかわらず、シリーズ後半にOP・ED画面がリニューアルされた際にも秀人はそのどちらにも登場していない)。
- 当初は武装していなかったが、エリートによるプロメテ移住独占という野望を抱いたドップラー軍団の巨大メカ=メカサタンと戦うために武装が追加された。
- 武装
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- パルサーカノン
- 胸部装甲が左右に開いて発射される。実質上の最強武器。ちなみに、宇宙海賊キャプテンハーロックに登場するハーロックの愛艦・アルカディア号の主砲もパルサーカノン砲である。
- コズモアロー
- 両すねに装着されている赤い三角形の装甲板を飛ばし、敵を攻撃する。
- ダブルシャフト
- 両すねに装着されている赤い三角形の装甲板を2つ繋ぎ合わせ、双槍状の手持ち武器とする。
- テレポーションパンチ
- パンチの形をしたエネルギー体を発射する。
- ハードパンチ
- 直接前腕を発射する。
- テレポーションミサイル
- 両肩から発射する。同名のパンチと違い普通のミサイル。サテライザー時も使用可能。
- アイブレスターライフル
- 目から放つ光線。
- レザーバルカン
- 腰に装備する光線砲。なぜかサテライザー形態のみ使用。
- ジャスダム
- 惑星プロメテ移住計画のために作られた巨大母艦。が、プロメテ発見から建造されたためダンガードAともども未完成。スペース島に置かれたプロメテ計画本部としても機能し、大江戸博士らが乗り込み完成を急いだ。プラネスターの宇宙発進を聞き急いで宇宙へと飛び立つ。
- スカイアロー
- ダンガードAの搭乗員養成に使用された航空機。主目的はダンガードAの特徴である合体/分離の訓練用で、機首部分の1号機が分離すると2号機のコクピットブロックがまるごと1号機のあった場所に移動する。分離状態でも個々に飛行が可能である。武装も一応施されている。
- プラネスター
- 惑星プロメテ移住計画のために作られたドップラー軍団側の巨大母艦。ジャスダムよりも早く宇宙へ出た。
[編集] 放送リスト
- 飛びたて!父の星を越えて
- 仮面の男、キャプテン・ダン
- 赤い夕陽の誓い
- 明日なき命に燃えて
- 緊急発進!サテライザー
- 明日に向かって飛べ!
- 星に輝く操縦悍
- タクマの涙を花束に
- 夕焼け空に散った友
- キャプテン・ダンの正体?
- 宇宙に消えた父の面影
- 輝け!ダンガードA
- 闘え!父を越えて
- 泣くなタクマ!その日まで
- SOS!火星に飛べ
- 空を雲を父と呼べ!
- 白い二本の飛行機雲
- 大空の虹に叫べ!
- 危うしキャプテン・ダン
- 夕陽の中のリサ
- タマガーの一番手柄!
- ミヨちゃんのためなら!
- 大氷原に咲いた友情
- 太陽と星の架け橋
- 危機一髪!海底脱出
- 三匹のヤングライオン!
- 宇宙をめざす若者たち!
- 恐るべき好敵手ハーケン
- 素晴らしきライバル
- 火花を散らす闘魂
- 命知らずのメカサタン野郎!
- RX-2絶体絶命!
- ドップラー軍団・発進!
- 絶唱!タクマの涙
- 永遠に輝け!父の星
- 火星に進路をとれ!
- さらばイカルスの星
- 謎の第13衛星に誓う!
- 脱出!暗黒星雲
- 果てしなき銀河の海へ
- プラネスターの急襲
- 異星人・ノエルの微笑み
- 対決!タクマ対ハーケン
- 希望の星!プロメテを見た
- ジャスダム全開直進!
- 彗星大爆破作戦
- 攻撃!恐怖の地獄花
- 宇宙母艦ジャスダムの反乱!
- ドップラー軍団の黒い影
- 男・伴太ここにあり
- 娘よ!ヘチ副総統の最後
- この手で守ったジャスダム
- 愛!それは哀しく美しく
- 戦え!愛の星のために
- プロメテへの叫び!
- 美しく輝く希望の星
[編集] 劇場版
- 「惑星ロボ ダンガードA対昆虫ロボット軍団」(1977年7月17日、東映まんがまつりにて公開)- 本作の監督である石井輝男にとっては生涯唯一のアニメーション作品だった。
- 「惑星ロボ ダンガードA 宇宙大海戦」(1978年3月18日、東映まんがまつりにて公開)
[編集] 関連事項
フジテレビ系 日曜19:00枠 | ||
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