吉川惣司
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吉川 惣司(よしかわ そうじ、1947年2月22日 - )は、東京都出身のアニメ監督、脚本家、演出家、アニメーター、舞台演出家。
変名は「高橋和美」、「京春香」。
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[編集] 略歴
手塚治虫作品のファンだった吉川は、高校2年生の時に「虫プロ第1期生アニメーター募集」の記事を見つけ、応募したのがアニメ業界に入ったきっかけとなった。美大に進学するつもりだったが虫プロダクションに誘われ、高校を辞めて虫プロへ入社。『鉄腕アトム』の第1作目からアニメーターとして参加する。1967年には杉井ギサブロー、出崎統らとともにアートフレッシュの創設に参加。アートフレッシュが参加した虫プロ作品『悟空の大冒険』でもアニメーターとして活躍後、フリーに。現(株)ダイナメソッド取締役シニアディレクター。
演出・コンテ・脚本、そして監督までこなすマルチタレントぶりを発揮して、『天才バカボン』、『巨人の星』、『あしたのジョー』、『ムーミン』、『ルパン三世 (TV第1シリーズ)』、『未来少年コナン』などに参加。少年時代に講談社の『少年少女世界科学冒険全集』を読んで以来、SFファンとなり、『ルパン三世 ルパンVS複製人間』、『装甲騎兵ボトムズ』には自らのSF趣味を導入。2007年現在に至るまでアニメ界の第一線で活躍し続けている。
また、アニメ以外でも、劇団飛行船で『スターガーディアン』(原作・脚本・総監督)『楽しいムーミン一家』(脚本)『オズの魔法使い』(脚本・演出)『白雪姫と7人のこびと』(脚本)などを手がけている。TVアニメ『ムーミン』の仕事をしていた際に、監督のおおすみ正秋により劇団飛行船の『アラジン』のスクリーン映像の手伝いを頼まれたのがきっかけ。
その他、CF、イベント、ステージ、小説などでも活躍を続けている。
[編集] 受賞歴
- 1978年「東南アジア映画祭」批評家賞受賞 『ルパン三世 ルパンVS複製人間』(パックス・アメリカーナ<アメリカによる世界支配構造>への痛烈な風刺に対し)
- 1984年「第6回アニメグランプリ」脚本部門 『装甲騎兵ボトムズ』の脚本において(五武冬史、鳥海尽三と共に)
[編集] 作品歴
[編集] 長編映画 監督作品
- ルパン三世 ルパンVS複製人間(1978年、配給:東宝 製作:東京ムービー) 監督・脚本・絵コンテ・演出
[編集] 主なTVシリーズ 演出(実質的な監督)・監督作品
- アニメドキュメント ミュンヘンへの道(1972年、TBS 日本テレビ動画) アニメーション監督
- 白い牙・ホワイトファング物語(1982年、TBS 日本サンライズ) TVスペシャル番組 監督・脚本・絵コンテ
- スペース・オズの冒険(1992年、テレビ東京 エノキフィルム) 総監督・キャラクター監修・シリーズ構成
- 星のカービィ(2001年、CBC/TBS ア・ウンエンタテインメント) 総監督・シリーズ構成・脚本
[編集] 主なTVシリーズ 各話演出/絵コンテ
- あしたのジョー(1970年、フジテレビ 虫プロダクション) 絵コンテ
- 天才バカボン(1971年、よみうりテレビ 東京ムービー) 各話演出・脚本(途中降板)
- 国松さまのお通りだい(1972年、フジテレビ 虫プロダクション)
- 荒野の少年イサム(1973年、フジテレビ 東京ムービー ) 絵コンテ
- 侍ジャイアンツ(1973年、日本テレビ/読売テレビ 東京ムービー ) 絵コンテ
- エースをねらえ!(1973年、NETテレビ(現テレビ朝日) 東京ムービー ) 絵コンテ
[編集] 主なTVシリーズ 絵コンテ・ストーリーボード
- ムーミン(1969年、フジテレビ 虫プロダクション) 絵コンテ
- ルパン三世 (TV第1シリーズ)(1971年、読売テレビ 東京ムービー) 高橋和美名義 本名で脚本も担当
- ベルサイユのばら(1979年、日本テレビ 東京ムービー) オープニングの絵コンテ
- 太陽の牙ダグラム(1981年、テレビ東京 日本サンライズ) 京春香名義
- 装甲騎兵ボトムズ(1983年、テレビ東京 日本サンライズ) 京春香名義
[編集] 主なTVシリーズ 脚本
- ルパン三世 (TV第1シリーズ)(1971年、読売テレビ 東京ムービー) 高橋和美名義で絵コンテも担当
- 天才バカボン(1971年、よみうりテレビ 東京ムービー) 各話演出・脚本(途中降板)
- ゼロテスター(1973年、関西テレビ 東北新社)
- 星の子チョビン(1974年、TBS スタジオ・ゼロ)
- ガンバの冒険(1975年、日本テレビ 東京ムービー)
- タイムボカン(1975年、フジテレビ タツノコプロ)
- ラ・セーヌの星(1975年、フジテレビ ユニマックス)
- 勇者ライディーン(1975年、日本教育テレビ 東北新社)
- UFO戦士ダイアポロン(1976年、TBS エイケン)
- ろぼっ子ビートン(1976年、TBS 東北新社)
- 大空魔竜ガイキング(1976年、フジテレビ 東映動画)
- おれは鉄兵(1977年、フジテレビ 日本アニメーション)
- 惑星ロボ ダンガードA(1977年、テレビ朝日 東映動画)
- 超合体魔術ロボ ギンガイザー(1977年、テレビ朝日 葦プロ)
- 無敵超人ザンボット3(1977年、名古屋テレビ/テレビ朝日 日本サンライズ)
- 無敵鋼人ダイターン3(1978年、名古屋テレビ/テレビ朝日 日本サンライズ)
- 未来少年コナン(1978年、NHK総合 日本アニメーション)
- ザ☆ウルトラマン(1979年、TBS 円谷プロ)
- サイボーグ009(1979年、テレビ朝日 東映動画)
- マルコ・ポーロの冒険(1979年、NHK総合 エムケイ)
- 太陽の牙ダグラム(1981年、テレビ東京 日本サンライズ)
- 名犬ジョリィ(1981年、NHK総合 東宝)
- ゲームセンターあらし(1982年、日本テレビ シンエイ動画)
- 戦闘メカ ザブングル(1982年、名古屋テレビ/テレビ朝日 日本サンライズ)
- 太陽の子エステバン(1982年、NHK総合 スタジオぴえろ)
- 子鹿物語(1983年、NHK総合 エムケイ)
- 装甲騎兵ボトムズ(1983年、テレビ東京 日本サンライズ)
- 機甲界ガリアン(1984年、日本テレビ 日本サンライズ)
- ワンダービートS(1986年、TBS 虫プロダクション)
- ボスコアドベンチャー(1986年、読売テレビ/日本テレビ 日本アニメーション)
- シティーハンター(1987年、よみうりテレビ サンライズ)
- ビット・ザ・キューピッド(1995年、テレビ東京 グループ・タック、サテライト)
- MONKEY MAGIC(1999年、テレビ東京 ビー・ファクトリー) 脚本/シリーズ構成
[編集] 主な劇場用映画・スペシャル・ビデオ作品 脚本
- ザブングル グラフィティ(1983年、配給:松竹 製作:日本サンライズ) 劇場作品
- SF新世紀レンズマン(1984年、配給:東宝東和 製作:講談社) 劇場長編
- 装甲騎兵ボトムズ ザ・ラストレッドショルダー(1985年、日本サンライズ アニメ・フェスティバル」(1986年)で劇場公開 配給:松竹 製作:東芝映像ソフト 日本サンライズ) OVA、劇場公開
- 装甲騎兵ボトムズ(発売:東芝映像ソフト 製作:サンライズ) ビデオシリーズ(再編集)
- VOL.I STORIES OF THE “A.T. VOTOMS”(1985年)
- VOL.II HIGHLIGHTS OF THE “A.T. VOTOMS”(1985年)
- ウド(1986年)
- クメン(1986年)
- サンサ(1988年)
- クエント(1988年)
- 装甲騎兵ボトムズ レッドショルダードキュメント 野望のルーツ(1988年、発売:東芝映像ソフト 製作:サンライズ) OVA作品
- 装甲騎兵ボトムズ 赫奕たる異端(1994年、発売:ユーメックス、バンダイビジュアル 製作:サンライズ) OVA作品
- 機甲界ガリアン(発売:東芝映像ソフト 製作:サンライズ) ビデオシリーズ(再編集) 構成・演出
- PART I 大地の章(1986年)
- PART II 天空の章(1986年)
- マザー 最後の少女イヴ(1993年、配給:マザープロジェクト) 劇場長編
- 沈黙の艦隊(1995年 - 1998年、発売:バンダイビジュアル 製作:サンライズ) ビデオシリーズ(3本)
[編集] 海外公開作品
- ?年(米)、1995年(日) 「BiT the CUPID」(テレビ東京 グループ・タック、サテライト) 総監督/シリーズ構成/キャラクター監修 アメリカ放映
- 1998年(米)、1999年(日) 「MONKEY MAGIC」(テレビ東京 ビー・ファクトリー) 脚本/シリーズ構成 アメリカ放映
- ?年(米)、?年(日) 「キシファー」(米NBCテレビエムケイ) 日本側監督
- ?年(米)、?年(日) 「スター・ストリート」(蘭米合作) 日本側監督
[編集] 作画担当作品
- 鉄腕アトム(1963年、フジテレビ 虫プロダクション)
- 孫悟空が始まるよー 「黄風大王の巻」(パイロット)(1966年、フジテレビ 虫プロダクション) 手塚治虫原作の『ぼくの孫悟空』を元にしたテレビ用アニメーションのパイロット版
- 悟空の大冒険(1967年、フジテレビ 虫プロダクション)
[編集] キャラクターデザイン
[編集] 著作
[編集] 小説
- SF新世紀レンズマン(上下巻)(原作:E・E・スミス、講談社X文庫)講談社
- GALACTIC PATROL レンズマン2 バレリア星救出作戦 (原作:E・E・スミス、講談社X文庫) 講談社
- 装甲騎兵ボトムズ ザ・ファーストレッドショルダー (アニメージュ文庫)徳間書店 1988年6月
- 装甲騎兵ボトムズ ザ・ラストレッドショルダー (アニメージュ文庫)徳間書店 1988年12月
- 最後の少女イヴ・オリジナルストーリー マナメッセ 1993年10月
- メアリー・アニングの冒険 恐竜学をひらいた女化石屋(矢島道子と共著、朝日選書) 朝日新聞社 2003年11月
- 愛蔵版 装甲騎兵ボトムズ ザ・ラストレッドショルダー 徳間書店 2005年2月
- アニメージュ文庫刊の2作品に加筆・修正を行ったものをまとめ、単行本化したもの