愛天使伝説ウェディングピーチ
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『愛天使伝説ウェディングピーチ』(あいてんしでんせつウェディングピーチ)は、1995年4月5日から1996年3月27日まで毎週水曜日夕方6:00~6:30に、テレビ東京系列で全51話が放映された、KSS制作のテレビアニメ。後にOVA『愛天使伝説ウェディングピーチ DX(デラックス)』が全4話で作られている。
目次 |
[編集] 概要
アニメ放映に先駆け、漫画版が小学館の少女漫画雑誌「ちゃお」ならびに同社の刊行する各学年誌・幼年誌に連載された。連載期間は各雑誌によって異なるが、もっとも代表的な「ちゃお」版の期間は1994年3月号からアニメ放映終了年の1996年4月号まで。原作は富田祐弘。執筆作画は谷沢直。ちなみに漫画連載版のタイトルには『愛天使伝説』の文字は無く、その代わりとして『愛の超天使伝説』のサブタイトルがつけられている。コミックスにおいてはこれらのサブタイトルは全て削除され『ウェディングピーチ』のみのタイトルで書籍化された。ちゃお連載分については、小学館・ちゃおフラワーコミックスから単行本全6巻が発刊されている。アニメ企画から漫画版が作られてはいるが、一般的にはウェディングピーチは漫画版を原作とする。
また、原作者の富田・谷沢の両名は、アニメ版ピーチにおいてもそれぞれメイン脚本家(富田)、ゲストキャラクターデザイン(谷沢)としてスタッフ参加している。
略称は『ウェピー』もしくは『WP』。
[編集] あらすじ(概要)
聖花園学園中等部に通う花咲ももこは新聞部に在籍する夢見る中学生。同じく新聞部に在籍する珠野ひなぎくと谷間ゆりの2人と共に部活動の一環としてサッカー部の試合取材を行った。サッカー部には学園中等部全女子憧れのスタープレーヤー柳葉和也先輩がいる。気合の入る新聞部三人娘。だが柳葉への取材を行おうとした矢先、三人娘は同学年の補欠キーパー・風摩ようすけに対個人取材の拒否というダメ出しをされ、仕方なく試合会場を後にした。
その帰り道、三人はプリュイと名乗る怪しい男に襲われる。プリュイは使い魔「じゃ魔ピー」を気絶したひなぎくとゆりに取り憑かせ、ももこを襲わせる。プリュイの狙いはももこがいつも指にしている、幼い頃に亡くした母の形見の指輪だった。窮地に陥るももこ。それを助けたのは天空より現れた天使リモーネだった。リモーネはももこに聖手鏡(セント・ミロワール)なるミラーコンパクトを渡す。手鏡を開くとそこには天使たちの長たる女神・アフロディーテの姿が現れ、ももこに「愛天使 ウェディング・ピーチ」に変身し、友を救うようにと促す。導きに従い愛天使へと変身したももこは、じゃ魔ピーとプリュイを撃退した。
ももこの指輪は天使の世界・天使界を支える聖なるアイテム「セント・サムシングフォー」の一つだった。(正確にはエネルギー化したサムシングフォーの力が宿ったアイテム)今、天使界は悪魔界の悪魔達による侵攻を受け、危機に瀕していた。悪魔達の狙いは天使界を支える「セント・サムシングフォー」の破壊。これが成されれば、あらゆる世界から愛が失われ、全てが憎しみと破壊の闇に閉ざされるという。プリュイは悪魔界の悪魔だったのだ。
ももこは世界の愛とそれを支えるサムシングフォーを守り、探し出すためにウェディング・ピーチとして戦う事になる。後にゆりとひなぎくも、ももこと悪魔族の戦いに巻き込まれて、それぞれ「エンジェル・リリィ」と「エンジェル・デイジー」に変身する能力を得て、聖花園学園新聞部三人娘は、世界の愛を守る「愛天使たち」として悪魔を浄化する戦いに身を投じていく。当初は敵であった「じゃ魔ピー」もピーチの優しさに触れて浄化され、ピーチたちに悪魔族の情報を教える知恵袋的なマスコットとして活躍する事となる。かくて、愛天使と悪魔族、太古より続く戦いに大きな変化が現れたのである。
[編集] スタッフ
- 編集:関一彦、今井剛
- タイトル:マキプロ
- 現像:イマジカ
- 調整:蝦名恭範
- 効果:高木良行、小山健二
- 音響担当:飯塚康一
- 製作担当:岩見一伸
- 製作デスク:太田昌二
- 制作進行:中林真理
- ビデオ編集:宗和洋史
[編集] 主題歌
[編集] オープニングテーマ
- 『夢見る愛天使』
- 作詞:松葉美保 作曲:岡崎律子 編曲:岩本正樹 歌:FURIL(氷上恭子・宮村優子・野上ゆかな)
- 『Wedding Wars~愛は炎~』
- 作詞:佐藤ありす 作曲:斎藤かんじ、大和朗 編曲:関根安里 歌:中島えりな
[編集] エンディングテーマ
- 『21世紀のジュリエット』
- 作詞:織田ゆり子 作曲:工藤崇 編曲:岩本正樹 歌:FURIL
- 『ヴァージンラブ』
- 作詞:佐藤ありす 作曲:斎藤かんじ、大和 朗 編曲:関根安里 歌:FURIL
[編集] キャスト
- 花咲ももこ:氷上恭子
- 珠野ひなぎく:宮村優子
- 谷間ゆり:野上ゆかな(現:ゆかな)
- スカーレット小原:今井由香
- 風間ようすけ:上田祐司(現:うえだゆうじ)
- 柳葉和也:三木眞一郎
- 雨野たくろう:山口勝平
- じゃ魔ピー:松本美和
- プリュイ:矢尾一樹
- サンドラ:子安武人
- イグニス:関智一
- ポタモス:三石琴乃
- アフロディーテ:兵藤まこ
- レインデビラ:土井美加
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
[編集] あらすじ(詳細)
戦いの日々の傍ら、愛天使たちは自分達の学業に恋に全力で立ち向かっていく。あこがれの柳葉先輩の目にとまろうと四苦八苦の三人娘の前には必ずサッカー部の後輩にして柳葉の親友たる風摩ようすけの姿。そんな彼を歯がゆく思っていたももこだったが、柳葉に近付こうとしてようすけに邪魔される中、彼自身の持つ意外な優しさに気付き、惹かれるようになっていってしまう。
しかし、愛天使たちの日々は戦いの日々でもある。新聞部としてサッカー部に近付く三人娘ではあるが、三人娘の行くところには必ず彼女らを狙う悪魔族の影。心ならずも、ももこたちは自らの戦いに、柳葉やようすけを巻き込む事になってしまう。そんな中、悪魔族の中にようすけのかもし出す不思議な存在感に気付いてしまう者が時折現れるようになった。ようすけとは何者か? サムシングフォーの所在と同時に深まる謎。
サムシングフォーの争奪戦の末に、ついに愛天使たちの元には三つのサムシングフォーが。激化する戦い。中には人間の欲望を利用し、それを叶える代わりに人間を利用しようとする者まで現れた。そうして利用されたものの中には、ひなぎくの幼馴染み雨野たくろうの姿も。たくろうは学園で最も優れたものになろうと火魔族イグニスと契約したが、愛天使の戦いに巻き込まれていく中で自らの過ちに気付く。そんなたくろうの心にイグニスもまた影響を受けてしまった。結果として悪魔族の邪悪さを失い、イグニスは裏切り者として処分されてしまう。
一方で自らを人間と化して愛天使に近付こうとする悪魔も現れた。水魔族ポタモスは自ら人間「川浪ひろみ」となって聖花園学園に侵入するが、不思議な存在感をかもし出すようすけに恋をしてしまう。気分屋のポタモスは行き当たりばったりだが強力な力で愛天使たちを危機に陥れるが、その時、最後のサムシングフォーが湖の底に沈んでいた四人目の愛天使と共に蘇る。四人目の愛天使「エンジェル・サルビア」ことスカーレット小原はももこたちのように人間の肉体と精神を持つ天使とは違う、悪魔に対する怒りを持つ純粋な天使だった。それゆえにに悪魔族に対して容赦がなく、ももこたちとサルビアは悪魔族に対する考え方の違いから、対立してしまう。が、やがてサルビアも、ももこたちの考え方を受け入れてくれた。団結の愛天使。また、ポタモスはようすけに恋をしたことがバレ、裏切り者として処分されそうになったところを愛天使たちに助けられる。ポタモスは愛天使たちに愛を教えられ、悪魔族の力を捨てて人間として生きる事を誓う。
ポタモスとの確執と騒動で、近付くようすけとももこの距離。ついに恋人同士となった二人だったが、それをあざ笑うかのようにようすけの正体が明らかになった。ようすけは悪魔族最強の戦士の末裔であったのだ。ようすけの父は風魔族ウラガーノ。天使との戦いの果てに記憶を無くして人間界に飛ばされた悪魔だった。それを知った悪魔族の女王レインデビラは、ようすけの血を覚醒させ「戦士ヴィエント」として愛天使たちに立ち向かわせる。謎の戦士ヴィエントの登場になおも苦戦する愛天使たち。その時、天使界より大天使セレーソが降臨する。アフロディーテの妹である彼女は、ももこの母でもあり、そしてウラガーノと渡り合った天使だった。セレーソは天使界を守る結界を維持するため幼いももこを置いて人間界を離れたが、ももこたちの活躍で戻る事ができたと語った。だが、それもわずかな時間でしかない。わずかな家族の時を過ごすももこだったが、そこにヴィエントが襲来。セレーソは力を振り絞り、ヴィエントの正体を暴く。
ショックを受けるももこ。ヴィエントの記憶はようすけにはない。ようすけは塞ぎこむももこを心配する。そんなようすけの変わらぬ優しさに、ももこは自分の気持ちも変わらないことに気付き、自らの愛の全てをかけてヴィエント化したようすけに立ち向かう。ももこの想いを受け、ようすけは元に戻ったが、自分がももこを襲っていたという事実が記憶に残り、苦悩する事に。自分がいたらももこを苦しめると考え、ももこから遠ざかろうとするようすけだったが、ももこは自らの愛を信じてようすけのそばにいようと努める。
ヴィエントすらも敗れ、レインデビラは自らの分身とも言える部下達を使い、最終攻勢をかける。その中でようすけは父の死の真実と、悪魔界の真の姿を知る。悪魔界もかつては「力」という秩序と序列の元に統べられた、争いの無い平和な世界だった。全ての争いの元凶は「憎しみの力」を得て暴走したレインデビラだったのである。それを知ったようすけ=ヴィエントは、悪魔界を元の秩序ある世界に戻すという父の遺志を継ぎ、レインデビラを倒して父の仇を討つことを誓う。
種族の違う者同士の愛。世界の真の姿。あらゆる困難と障害を乗り越えたようすけとももこ。二人は力を合わせ、愛天使たちはそんな2人に力を貸し、ついに「愛の力」はレインデビラを浄化。あらゆる世界の「真実の姿」を取り戻させる事に成功するのだった。
[編集] 逸話
[編集] 漫画とアニメの差異
- 漫画版の作成においては途中より谷沢側の専行が始まり、漫画版ストーリー終了時には富田のアイディアがほとんど没化するという事態もまま起こった。そのため、アニメ版とマンガ版は基本ストーリーは同じだが、キャラクター設定(デザイン・性格・バックグラウンド)や細かなエピソードストーリーが似ているようで全く違うという事態が数多く勃発した。そのためアニメ版のほうが原作者である富田の意向をより反映させた作品となっている。ただし、作品としてのバランスは漫画版の方が上との判定を下すファンも存在する。
[編集] 設定差異の例
- 連載初期におけるコスチュームなどの違い
- 連載初期は企画途中の初期設定からキャラクターなどを興したため、コスチュームや姿がそれに準じている。ファイターエンジェル時の戦闘服の胸部装飾が無い状態、ひなぎくの頭を留めるリボン、ブライダルフラッシュのスタイル(アニメではミロワールから直接フラッシュを浴びせているが、漫画版ではミロワールを聖カメラに変えてカメラで狙いを定めてフラッシュを焚く形になっている)やウェディング・ソード(漫画独自のピーチ専用アイテム。サルビアの聖ピュアソードと同じくケーキカットがモチーフ)など。これらは連載途中より「愛の超天使」としてパワーアップするという理由を用いる事でアニメ版の正式設定に随時準じていくよう修正された。
- たくろうの性格
- スカーレット(エンジェル・サルビア)の設定
- アニメではスカーレットは純粋な天使であるが、漫画版ではゆりやひなぎくと同じく人間に転生した天使となっている。
- 愛天使の定義
- アニメではあやふやだった(最悪「天使界の天使」が「愛天使」と、とられかねない)愛天使の定義が漫画版では確固とした言葉で示されている。すなわち「人間界に生まれて人間の血を持ち、父母の愛情や友の愛情に包まれる事、そして人間が元来持つ憎しみの力を持ちながらも(これがいわゆる予防接種におけるワクチンのような働きをする)自らの持つ負の感情に打ち勝つことで、逆に天使族には持ち得ない、より強力な愛の力を自らの内に育む事ができる天使」を「伝説の愛天使」と呼ぶとされている。
- ラスト
- 漫画ではレインデビラは浄化された直後に消滅するが、アニメでは浄化された後、夜空を飛んでいく(消滅しない)。
[編集] セーラームーンとの確執
- この作品にはアニメ作品『美少女戦士セーラームーン』の第一期スタッフが数名流れ込んだため、一部で軋轢があったのではないかという憶測が流れた。あくまで憶測であり、実際のところは不明であるが、そのような噂と既に人気作であった『セーラームーン』とジャンル・傾向・ストーリー展開を同じくする作品であったために批判や抗議が絶えなかった作品となってしまった。原作者(漫画版スタッフ)の元にはかなりの脅迫の手紙すら舞い込んだという(「1つのヒット作が生まれることで多くの類似・便乗作品が派生し、競合する」こと自体はかつて'60~'70年代のアニメ・特撮では「怪獣・変身ブーム」の例を出すまでも無く、ざらに見られた話であったが、ウェピー発表時はそれらの時代を経験していない世代がマニア層の中核をなすようになっており、'80年代以降のアニメブームによってファンの意識が先鋭化・細分化しているのが当たり前の状態では、「二匹目のドジョウ」的企画は「邪道」と見なされるしかなかったのである)。なお、2007年現在美少女戦隊者としてプリキュア5が放送中で、これもセーラームーンの2番煎じではないのかという見かたもあるが、セーラームーン終了から10年以上経過しているため上記のような問題は起きないと思われる。
- トドメとして、この作品にはセーラームーンとよく似たメソッドが多数存在し、それがまたファンの神経を逆なでする大きな要因となっている。一部の登場人物の名字設定(「珠野」「雨野」など)や呼称(たくろうはひなぎくの事を「ひなこ」と呼ぶ)やお助けキャラの登場と活躍範囲(登場したはいいが、顔見せ程度でロクに戦ってくれない)などが挙げられる。スタッフ側としては「マニアの小ネタ」程度のつもりであったのだろうが、当時のファンの感覚からはそれは単なる小ネタの範囲を逸脱した感覚があった。漫画作画の谷沢は前作「いただき! パンサー」での反省から、それをできうる限り消して批判を避けるために、必死の思いで漫画に起こす際にそのテのネタを削除にかかったが、さすがに連載初期においては企画会社や原作者の意向を無視できないため、キャラ名や基本構造ゆえのキャラ状態までは変更できず、結果としては焼け石に水にしかならなかった。結局のところ、この一件がその後、ファンに名高い漫画連載後期における「谷沢暴走」につながるきっかけとなったという見方もある。
[編集] 英語対四カ国語
- 『美少女戦士セーラームーン』の場合、変身する場合やエネルギー・ビームなどで攻撃するとき、唱えるチャーム(呪文)は、基本的に英語であるか、または日本語化した英語のフレーズであった。これは TV アニメ版 5シーズンを通じてそうで、元々の原作のコミックでもそうであった。他方、『ウェディングピーチ』の場合、チャームがたいへん独特で、アニメを TV で放映していたとき、愛天使たちが何と叫んでいるのか意味がよく分からないものが多かった。
- アニメにおける設定ガイドブックとして、『ウェディングピーチ シークレットファイル』が発売されたが、この本に掲載されている文字となったチャームを見ると、英語だけではなく、フランス語、ドイツ語、更にスペイン語まで使用されていたことが分かる。「ミロワール」は「鏡」を意味するフランス語であり、ヴィエントはキャラクターの名であるが、これは「風」を意味するスペイン語である。『セーラームーン』との対抗上、このような四カ国語チャームとなったのか、関係なく設定されたのか不明であるが、非常に印象に残ることである。なお漫画作画の谷沢氏によると、原作の富田氏は複数対応の他国語翻訳辞書を数冊所持しており、設定の際にはそれら辞書を使ってキャラクターなどのイメージに関連する言葉をいくつも調べ、最も合った音感を持つと自身で思える語を採用していたとのことである。
[編集] LDBOXの特典映像
- ウェディングピーチ型の、巨大ロボットが登場する。(ちゃんと決めポーズも取る)
[編集] 参考書籍
- 『ウェディングピーチ シークレットファイル』 小学館 (1996年3月1日 発行)
[編集] 外部リンク
- 谷沢直のまんが番外地 原作作画者・谷沢直のウェブサイト。ウェピーコンテンツもあり。
テレビ東京系 水曜18:00枠 | ||
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