教養小説
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教養小説(きょうようしょうせつ)とは、(多くの場合幼年期から成年にかけて)主人公の精神的、心理的、または社会的な発展や精神形成を描く小説のことである。発展小説、形成小説ともいう。ドイツでこのような小説が支配的となったのは、近代の国民的形成が遅れたことによる。つまり、精神的に自己形成し社会的な発展をとげる物語の主人公は、一人の人間であると共に、何よりもドイツ人であるということである。
ドイツでこのような型の小説が育まれてきたため、英語でもしばしばドイツ語での表記(Bildungsroman)が使用される。
初期の教養小説の例としてゲーテの『ヴィルヘルム・マイスターの修業時代』が挙げられる。他の例としては以下のものが挙げられる。(年代順)
- 『トム・ジョーンズ』(1749年、ヘンリー・フィールディング作)
- 『ディヴィッド・コパーフィールド』(1849年-1850年、チャールズ・ディケンズ作)
- 『緑のハインリッヒ』(1850年、ゴットフリート・ケラー作)
- 『晩夏』(1857年、アーダルベルト・シュティフター作)
- 『大いなる遺産』(1860年-1861年、チャールズ・ディケンズ作)
- 『ジャン・クリストフ』(1904年 - 1912年、ロマン・ロラン作)
- 『車輪の下』(1906年、ヘルマン・ヘッセ作)
- 『人間の絆』(1915年、サマセット・モーム作)
- 『若き詩人の肖像』(1916年、ジェイムズ・ジョイス作)
- 『魔の山』(1924年、トーマス・マン作)
- 『鋼鉄の嵐の中で』(1920年、エルンスト・ユンガー作)
また、部分的に教養小説的なものが含まれる作品としては以下がある。
- 『ジェイン・エア』(1847年、シャーロット・ブロンテ作)
- 『ハックルベリー・フィンの冒険』(1885年、マーク・トウェイン作)
日本で教養小説として挙げられているものには以下の作品がある。