日本キリスト教協議会
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日本キリスト教協議会(にほんきりすときょうきょうぎかい、National Chiristian Council Japan、NCC)は、日本のキリスト教エキュメニカル運動団体である。前身は、1923年に日本のプロテスタントキリスト教諸教派・団体の相互連携と海外教会との連絡を目的に設立された日本基督教連盟である。
日本基督教連盟は、1941年に戦時下の宗教団体法に基づくプロテスタント諸教派の合同により、日本基督教団が設立されるとともに解散するが、1948年には日本基督教団からのプロテスタント諸教派の再分立などに伴い、日本基督教協議会として再び設立、その後、日本キリスト教協議会と改名し現在に至る。
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[編集] 活動内容
世界教会協議会(WCC)、アジア教会協議会(CCA)および各国の教会協議会(NCC、海外の教会協議会と並記する場合の日本キリスト教協議会の略称はNCCJ)と同様に、キリスト教メインラインの神学的潮流を背景としたエキュメニカル運動を担い、プロテスタント諸教派とともにカトリックも含めた(カトリックは正式加盟していないが、活動には参加している。国際的には正教会も参加している。)キリスト教諸教派間相互の和解と対話、一致、宣教協力のための活動を行なっている。なお、現代のキリスト教における宣教の概念は、単にキリスト教の伝道・布教を意味するだけでなく、社会的にキリストの福音を実現していくという意味で、社会運動、政治運動も含めた広範な概念として用いられている。
日本独自の事情として、キリスト教やキリスト者がマイノリティーであることから、キリスト教諸教派・団体が、共に宣教の課題を担っていくことを目指しており、名称も教会・教派間のつながりを示す「教会協議会」ではなく、広くキリスト教界のつながりを示す「キリスト教協議会」を用いている。また、国内外における災害・紛争に対しては、WCCや各国のNCC、諸教会とともにACT(Action by Churches Together)という人道援助ネットワークを構成し、物心両面の援助や支援を精力的に行っている。
[編集] 基本姿勢
日本のキリスト教界が、第二次世界大戦下にごく少数の例外を除いて戦争協力を行なった反省に立ち、太平洋戦争(第二次世界大戦におけるアジア・太平洋戦線)を「日本国家によるアジア・太平洋地域への侵略戦争」と規定し、同地域の諸教会とともに戦争責任の謝罪と和解のための取り組みを継続している。天皇制、有事法制、台湾・朝鮮半島などへの植民地政策、原子力発電、慰安婦問題、憲法・教育基本法改定、靖国神社参拝、死刑制度、に対しても、批判的な立場からの取り組みを行なっている。
近年では、憲法・教育基本法改定について、これを「改悪」であるとして強い批判を行なっている。
[編集] 批判
宣教の概念を広く理解し、社会的・政治的に踏みこんだ活動を行うことから、キリスト教界の内外から政治運動的、左翼運動的であるとの批判もある。かつて、活動があまりに政治的すぎるという理由から、同団体に加盟していたキリスト教団体である救世軍が脱退している。(教育部など、個別の部門・活動への加盟・参加は現在も継続中である。)
[編集] 加盟教派・団体
[編集] 教派・教団
日本基督教団、日本聖公会、日本バプテスト連盟、日本福音ルーテル教会、日本バプテスト同盟、在日大韓基督教会
[編集] 団体
日本YMCA同盟、日本YWCA、日本キリスト教婦人矯風会、日本キリスト者医科連盟、日本基督教文化協会、キリスト教保育連盟、基督教視聴覚センター(AVACO)
[編集] 准加盟
キリスト友会日本年会、日本友和会、アジア保健研修所(AHI)、ICU教会、東京ユニオンチャーチ、横浜ユニオンチャーチ、神戸ユニオンチャーチ、ドイツ語福音教会、日本クリスチャン・アカデミー、日本盲人キリスト教伝道協議会、スイス東アジアミッション、ジャーマン・ミッドナイト・ミッション、国際基督教団、キリスト者政治連盟、ウエスト東京ユニオン、富坂キリスト教センター、東京聖書集会、日本自由メソヂスト教団
[編集] 部門加盟・参加など
- 教育部
- 信仰と職制委員会
- カトリック中央協議会(司教協議会)との協力
- 平和・核問題委員会
- カトリック(カトリック正義と平和協議会)および無教会主義集会から委員出席
- 靖国神社問題委員会
- カトリック(カトリック正義と平和協議会)から委員出席