昭和一桁
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
昭和一桁(しょうわひとけた)とは、昭和元年から昭和9年まで(1926年12月25日から1934年末日まで)。
[編集] 時代
この時代は、政党内閣の一時的な成立と崩壊、昭和金融恐慌、世界恐慌などの経済的混乱、日中戦争の拡大、戦時体制への移行した時期にあたる。
[編集] 昭和一桁世代
この時代に生まれた人々を指して「昭和一桁世代」と呼ぶ。少年・少女時代は戦時体制下で軍国主義的な風潮の影響を受けた。「昭和一桁世代」には大きく分けて二つの層がある。それは昭和一桁初期の人々と中期以降の人々という二つの層である。初期の人々の多くは戦地へ赴いたり、特攻隊など戦争に参加したが、中期以降の人々の多くは少年兵を除いて戦地へは赴いていない。また、昭和一桁後期の人々は予科練にも間に合わなかったが、集団疎開などを経験した。
たとえば、昭和2年生まれであれば、終戦時に18歳であるのに対し、昭和9年生まれであると、終戦時に11歳であり、一口に昭和一桁といっても戦争の記憶は人それぞれである。
そのため、前半に生まれた人々は思春期から青年期を迎えたころに第二次世界大戦の敗戦を経験し、物質的な窮乏生活を強いられた。後半に生まれた人々は少年期に敗戦を迎えた焼け跡世代に重なる。戦後復興の担い手ともなり、高度経済成長の時代には社会の中枢を担っていた。
そのため、保守的な平和主義者が多いが、左翼や右翼寄りのナショナリストも少なからずおり、世代のなかに両端の考え方が存在する世代である。同一人物にナショナリスティックな保守主義と戦争への嫌悪が混在したり、戦後民主主義的な男女同権思想を持ちながらそれとは矛盾する伝統的な男尊女卑的感覚を残存させていたり、経済的な功利主義と、精神主義的な物質主義への軽蔑が同時に存在していることが往々にしてある。また、戦前と戦後の教育の双方を受けた世代であり、学問に対して懐疑的である場合が他の世代に比べて多い。いわゆる墨消し教科書を経験した世代でもある。
またこの世代は団塊の世代の親や、あるいは彼らが社会に出るまでに少なからぬ影響を与えた「大人」の世代でもある。団塊の世代には学生運動(全共闘)も発生しているが、これはこの「大人として社会で実勢を握っている」という昭和一桁世代への反発があったともみなせよう。
なお団塊ジュニア以降の世代から見ると、「お爺ちゃん、お婆ちゃん」と呼ばれる世代でもある。勤め人としては、2000年代に入っては既に引退した世代ではあるが、第二次世界大戦で完全に文化面や社会面での連続性が途切れてしまった時代にあっては、戦前の情報を持つ生き証人でもあり、近年の地域おこしなどで伝統産業や伝統芸能を復活させようとする際には、貴重な証言者ともなっている。
また、地方農村ではいまだに現役で働く昭和一桁世代が多く、農業や地場産業の担い手として活躍している。
カテゴリ: 世代 | 昭和時代 | 歴史関連のスタブ項目