時空警察ヴェッカーD-02
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『時空警察ヴェッカーD-02』(じくうけいさつヴェッカー ディーオーツー)は2002年1月10日から3月28日までテレビ朝日で木曜日深夜27:21 - 27:51に放送された特撮テレビ番組である。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
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[編集] 概要
オリジナルビデオ作品として全3話製作された『時空警察ヴェッカー』の続編として、新たにTV版として製作された作品。『ヴェッカー』の概要の項にも記述の通り、前作のビデオパッケージ3本をパイロット版としてのシリーズ化が企画されていたところが、そのビデオパッケージの方が先に商品化されてしまい、その後念願叶ってシリーズ作品として製作されたのが本作である。
前作では、企画立案・構想時に参加していた渡洋史主演の『宇宙刑事シャリバン』等の特撮ヒーロー番組と同様、主人公たち時空刑事は普段は素面で捜査にあたり、戦闘時には素面を隠したクロノスーツと呼ばれる戦闘服に身を包む、いわゆる「変身ヒーロー作品」の様式であったが、本作では「SF刑事ドラマ」へのシフトとしてこのクロノスーツの設定をオミットし、常に主人公たちが素面で活躍することで各キャラクターの個性の描写、及び全体のドラマ性を向上させている(そのために後述のような設定の後付けが行なわれているが、最終回のみ前作・本作の集大成の意味で、いわばファンサービス的にクロノスーツが登場している)。その為に続編作品とはいっても、世界観と設定を共有しているものの、物語的なつながりは後述のアムとリリーの関係程度である。
主人公たち時空刑事の使命はあくまで「歴史の保守」であり、正義を守ることでも、悪人を倒すことでも、ましてや人の命を救うことですらない。特にそれを象徴するのが第6話であり、同話では仁科琴乃なる少女(演:盛内愛子)が、未来人との接触で得た情報により自分が今日死ぬという運命、そしてそれを避ける手段を知ってしまうが、D-02は歴史を保守するため、彼女を必ず死なせなければならないという非情な使命を強いられる。結果的に同話はハッピーエンドとは呼べない切ない結末を迎えており、放映後のファンからの反響も賛否両論であったという。
[編集] 設定
基本設定は前作『時空警察ヴェッカー』の世界観を踏襲しているが、設定が前作と異なる点も多い(後述の作品用語を参照)。これは本作『D-02』の時空刑事たちの出身年代が、前作の時空刑事たちの出身年代より30~40年後であり、その間に諸々の事情で時空警察に関する法案が改訂されたことや、時空警察の装備自体が改良されたことが理由である。
[編集] ストーリー
時間移動技術が確立された22世紀。歴史を改変する時空犯罪を取り締まる時空警察機構M・U・DIXに、「ヴェッカー」と呼ばれるエキスパート・チームがあった。中でも特に優秀なヴェッカー6人が、時空の歪みが最も大きいとされる2002年周辺に、特別チーム「D-02」として派遣された。そして2199年。D-02の7人目のメンバーとして、新たに新米時空刑事のカナが派遣されことから、時空犯罪に立ち向かい、時空を駆け抜ける少女たちの物語が始まる。
[編集] 登場人物
[編集] D-02
名前は順に、時空刑事としてのコードネーム、22世紀世界での本名、21世紀世界に潜入時の偽名。
- 時空刑事カナ / カナ・ゴドー / 後藤カナ
- 時空警察の西暦2002年担当チーム「D-02」に7人目のメンバーとして配属された新米刑事。優秀な時空刑事を両親に持つヴェッカーのサラブレッドであったが、その両親がなぜか時空犯罪に手を染め、一転して犯罪者の娘扱いされる羽目となる。汚名返上の為、歴史を変えようとする者を決して容赦しない。本来は素直で明るく、誰とでも仲良くなる性格。普段は東京都内の高校に通っている。16歳。
- 時空刑事メイ / メイ・サカキ / 榊明
- 7歳の時に時空犯罪で両親を惨殺された過去を持つ。その経緯からか、歴史を守る任務とは裏腹に、変えられる歴史は変えたいと願っており、その為にしばしば暴走しかねない問題児的存在。普段はカナ同様高校生で、クラスメイトでもあることから彼女とコンビを組むことになり、対極の性格ゆえに反目しつつも、次第にかけがえのない親友となってゆく。実は彼女の正体は……。17歳。
- 時空刑事サキ / サキ・ヒュウガ / 日向サキ
- D-02のチーフ。ニューヨーク出身。常に先陣を切って現場に赴く行動隊長的存在で、メンバーの信頼も厚い。あらゆる格闘技をマスターしている。ハルとは時空刑事となる前からの無二の親友。普段はテレビ局のレポーターとニュースキャスターを務め、報道の最前線で時空犯罪に目を光らせている。なお、第4話では窮地に陥った仲間を助けに現れた際、何故かウェットスーツ & 足ヒレ姿だった(仲間たちも疑問を抱いていたが、結局理由は明かされず)。19歳。
- 時空刑事ハル / ハルカ・ノゾミ / 望見ハルカ
- D-02のサブリーダーで、サキの補佐役。孤児院の運営者を父に持ち、孤児達の母親代りを務めていた経験から、子供たちに愛情を注ぐ心の優しい性格。意外な怪力の持ち主。サキの一番の相談相手で、メンバーの良きお姉さん役でもある。ケントとは恋人同士。医師免許を取得しており、普段は警察病院の看護婦を務めている。18歳。
- 時空刑事アム / アミ・ムラタ / 村田アミ
- 弱冠12歳で素粒子物理学博士号を取得した天才少女。幼い頃出会った先輩時空刑事のリリーに憧れ、時空警察の教育を受けずして捜査官採用試験を受験、いきなり歴代トップの成績を取り、特待生扱いで時空刑事となった。天才故か常識外の言動が多いが、本来は真面目で純粋な性格。戦闘能力も意外と高い。普段は政界の動向を探るため、とある政界の重鎮宅にメイドとして潜入している。18歳。
- 時空刑事エリー / EREE-2210-E
- 時空警察仕様のアンドロイドで、自らも時空刑事の資格を持つ。本来は人間らしい感情を全く持たないが、環境適応型の自己育成AIを搭載しており、個性豊かな面々に囲まれているためか、時おり感情らしきものの片鱗が垣間見える。普段は本部に常駐してメカニカル・オペレーターを務めているため、前線で活動することは殆どない。但し、万一の実戦にも対応できるよう銃撃にも耐える防御力を持ち、第4話ではサキが前線に呼び出し、敵に接近する際の盾として利用している。人間ではないので年齢はないが、外観は「13歳前後の少女」として製作されている。
- 時空捜査官ケント / ケント・キバ / 木場健人
- D-02配属の時空捜査官。警視庁の刑事として潜入している。ハルとは恋人同士。警察の情報網を利用できるだけあって捜査活動には長けるが、ヒラの時空捜査官のために戦闘能力は他の時空刑事たちに及ばず、メンバーのバックアップに専念している。24歳。
[編集] その他のDIXのメンバー
- デビッド
- DIX本部の上官。サキをはじめとするD-02メンバーに指令を与える。但し一方的に指令を与えるのみであり、D-02側からの問合せに応じることは殆どなく、謎が多い。
- 時空刑事ヒロシ・ゴドー、時空刑事ナツ・ゴドー
- カナの両親。共に数多くのヴェッカーの中でもトップクラスに位置する優秀な時空刑事であり、かつて1992年に赴任していた。なぜか時空犯罪に手を染めたとされ、現在ではS級時空犯罪者として指名手配されている。
- 時空刑事ユウキ・トーマ
- 西暦1602年担当チーム「A-02」担当の時空刑事。ゴドー夫妻の助手の経験もあり、カナの初恋の相手でもある。担当時代の時空犯罪に対して本部に応援を要請し、カナとアムが派遣されるが……。
- 時空刑事リリー
- 前作『時空刑事ヴェッカー』3巻の主人公。カナたちの先輩にあたり、様々な時代で数多くの時空犯罪組織を壊滅させた遊撃捜査官として、伝説的存在となっている。クロノライナーの故障によりカナたちの時代に迷い込み、騒動を巻き起こす。なお前述のようにリリーたちの出身年代はカナたちの出身年代の30~40年前だが、リリーはバイオロイドなので、常人のように成長に伴う外観の変化は殆どない。
- 時空捜査官ジン・キノシタ
- 西暦1785年担当チーム「B-85」担当の時空捜査官。普段は「与助」の偽名で猟師に偽装している。D-02から派遣されたメイと共に、この時代に持ち込まれた生物兵器を追う。
[編集] 現代人
- 田中守
- 警視庁殺人課の刑事。ケントの先輩で、彼とのコンビで捜査にあたることが多い。歳に似合わず時代錯誤の熱血刑事で、説教臭さが玉に傷。十年前に担当していた謎の猟奇殺人事件で両親を失った少女のことを現在でも気に病んでいるが、実はその少女とは……。36歳。
[編集] 出演
- カナ・ゴドー(後藤カナ):市川由衣
- メイ・サカキ(榊明):小野愛、長与梨加(少女時代)
- サキ・ヒュウガ(日向サキ):西村優子
- ハルカ・ノゾミ(望見ハルカ):森本さやか
- アム(村田アミ):小倉優子
- エリー (EREE-2210-E) :桜木睦子
- ケント・キバ(木場健人):村上幸平
- 田中守(警視庁刑事):宮坂ひろし
- デビッド:デイビッド・チャップル
- ヒロシ・ゴドー:和田圭市
- ナツ・ゴドー:青木夕夏
- ユウキ・トーマ:中尾祐之
- リリー:栗羽美来
- ジン・キノシタ:タイソン大屋
- ズヴェーリア:伊藤俊、岡元次郎、富永研司
[編集] スタッフ
[編集] 主題歌
[編集] 作品用語
前作『時空警察ヴェッカー』及び本作『時空警察ヴェッカーD-02』の作中で登場する用語の内、主なものの解説を50音順に記載する。
- ヴェッカー
- DIXの時空刑事の中でも特に優れた者たちで構成されるエキスパート・チーム。西暦2130年、凶悪化の一途を辿る時空犯罪を実力で取り締まる為に結成された。初代メンバーは男性4人、女性2人の構成で、前作『ヴェッカー』のヴァーン、ユリー兄妹の父親もその1人だったが、テロリストにより殺害されている。
- ちなみに英字記述はWeckerで、語源はドイツ語で目覚まし時計の意。
- ヴェックフォーム
- 時空刑事の第一種装備である制服兼戦闘服。女性用はワンピースのミニスカート仕様のインナーユニット、ジャケット状のアウターユニット、その他、グローブ、ブーツ等の小物で構成される。弾丸程度なら防ぐことができる上、着用者の筋力を数倍に増幅する。基本機能を損なわない程度なら各人の特技や個性に合わせたカスタマイズも許可されており、例えば本作『D-02』では、格闘技が得意なサキはインナーがツーピースのロングパンツ、メイはツーピースのショートパンツ、アムはアウターなしのノースリーブになっている。カナとハルのみ標準仕様。エリーは感情がないので自分の意思でカスタマイズすることはないが、アムが自分の趣味で勝手に手を加えている。なお制服と言っても本部で着用が義務付けられているわけではなく、西暦2002年の各所に一般人として常駐しているD-02メンバーが、そのままの姿でD-02本部に駆けつけるシーンも多々ある。
- 男性用ヴェックフォームは、男性ヴェッカーが極めて少ないこともあって殆ど登場しないが、前作でヴァーンが着用していたものから本作の時代に至るまで、殆ど変化していない。
- M・U・DIX(エム・ユー・ディックス)
- 国際時空警察機構。名称はMerdian Unite Dimention Investigate eXpertの略。22世紀に時間移動技術が確立され、それと共に時間移動によって生じ得る時空犯罪を阻止するための「T・P(タイムパラドクス)法案」が成立。同時期にこの警察機構が設立された。「M・U・DIX」が正式名称だが、本作ではほとんど略称として「DIX(ディックス)」と呼ばれている。
- 当初はほとんどのメンバーが男性だったが、初代ヴェッカーの1人であるレイ・ナツキにより、男性より女性の方が体質的・順応性などの理由により時間移動に向いていることが判明し、現在でもDIXのメンバーは女性が7割を占めている。レイのように女性が局のトップの座に就くことも珍しくない。
- その任務の特殊性から、一種の精神コントロールを強制されており、これにより任務に関するあらゆるストレスが解消され、どんな場合でも任務に集中できるよう精神状態を維持することができる。だが後に、自らの時間移動により歴史が左右されかねないことの責任の重圧と、この精神コントロールとの板挟みによって精神状態に異状を来たす者が現れる等の弊害が生じ、これがバイオロイド開発に繋がる要因となる。
- 警察機構の運営に関しては秘密事項が数多く、実のところ幹部や支局長クラスですら、DIXの全貌を掴みきれていない。
- エリー
- 西暦2196年に完成した汎用アンドロイド。正式名称はEREE-2210。外観は人間の少女と全く変わりなく、外形年齢は13歳に設定されている。環境適応型の自己育成AIを搭載しているものの、完成時には不必要な感情は全く組み込まれていない。22世紀の世界ではこのエリー型アンドロイドが一般販売されている。本作の時空刑事エリーもこのその1人で、時空警察仕様として各種プログラムが組み込まれている上、実戦にも耐えられるよう、ボディ各部の強度やパワーが強化されている。
- ちなみに本作のエリーの正式名称「EREE-2210-E」の末尾の「-E」はExcellentの略で、実はアムが趣味で相当な改造を施している。
- クロノガン
- 時空刑事の第二種装備であるハイパー・レーザー銃。威力は単なるショックから殺傷・破壊まで調節可能で、ダメージを与えずに撃った相手をその場に固定することもできる。数秒後の標的の移動位置を予測する照準システムを持つため、命中率は百発百中に近い。遺伝子ID照合システムを持ち、本来の所有者以外は使用できない。
- かつては、敵に奪われた際などを想定し、DIXメンバーに対して撃っても何のダメージも与えられないロック機能が組み込まれていたが、後にDIXの内部犯罪の多発に伴い、やむを得ずこのロック機能は解除されている(前作で時空刑事リリーがクロノガンで撃たれても平気でいるシーン、本作で時空犯罪に手を染めた時空刑事にクロノガンを向けるシーン等で、この設定変遷が窺い知れる)。
- クロノクリスタル
- 時空刑事がペンダントのように常に携行している六角形のクリスタル状アイテム。前作第3話のリリー曰く「携帯時空操作ツール」。通信機や情報端末としての役割の他、時空刑事の第一~第三種の各種装備を各時代の本部もしくは派遣時代先のクロノライナーから時空刑事のもとへ転送させるために用いられる。第一種装備ヴェックフォーム、第三種装備クロノスーツの転送時は瞬時にしてそれらが転送依頼者の体に装着され、第二種装備の各武器はガンベルトに装備されたスタイルで転送依頼者の体に装着される。また、時間移動の際に人体に付着するある種の粒子を検出することで、不法に時間移動して別次代に潜んでいる人間を見破ることもできる。さらに本作では前作より性能が向上しており、これのみで時空犯罪者をディメンションプリズンへ転送することもできる。
- クロノスーツ
- 時空刑事の第三種装備にして最終装備。頭から四肢に至るまで全身を包み込む戦闘強化服で、着用者の筋力を5倍から最大255倍にまで増幅する。宇宙空間での活動も可能。前作では各時空刑事は「アルティメイション」のキーワードにより、自分の意思で自在にこれを着用することができたが、本作ではヴェックフォーム自体の性能向上、さらにこのスーツのあまりの強力さへの世論の反発もあり、上司の承認が下りなければ使用することはできなくなっている。
- なお、このスーツは時空刑事としての技術を身につけた人間でなければ着用することはできず、たとえば21世紀の一般人が無理やり着用すれば、スーツのパワーに肉体が耐え切れず、その者は時空波動に飲み込まれて消滅してしまう。
- クロノセイバー
- 時空刑事の第二種装備である長剣。物質のみならず次元自体を切断することができる。前作ではこのクロノセイバーで次元を裂くことで時空犯罪者をディメンションプリズンへ送り込んでいたが、パワーが大きすぎて危険を伴うことや、後にクロノクリスタルのみでのディメンションプリズンへの転送が可能になったことから、本作では機能を制限した上で、接近戦用武器としてのみ使用されている。
- クロノライナー
- DIXで使用される時間移動用車両、いわゆるタイムマシン。内部に人間を乗せ、ヒルベルト空間を通じて各時代への移動を行なう。クロノクリスタルの着用者以外は、乗員として認められない。
- 「時間移動」の項で後述している通り、22世紀の技術における時間移動範囲は500年が限界だが、500年以上の時間移動を可能にするのは試作機であるクロノライナーα型「デイトナ」1機のみで、これ1機の製作に小国家の国家予算4年分に匹敵する費用が費やされている。
- 前作では単座だったが、本作のものは4人乗りの上、レーザーバルカン砲などの武装も装備されている。通常空間に姿を現す際は、その時代に合わせた偽装形態に変形することもでき、D-02のものは普段はありふれた自動車(車種はスバル・アルシオーネ)に偽装している。運転はD-02全員が可能だが、偽装中は2002年の交通法規に従い、ケントが運転する。
- 時間移動(じかんいどう)
- 通常の時間流を脱して過去や未来の時代へ転移すること、いわゆるタイムトラベル。22世紀にタイムホールが発見され、西暦2110年に人類初の時間移動技術が確立された。タイムホール発見者が初めて開発した時間移動技術は、人体そのものに時間移動システムを埋め込むというもので、後にこの技術は禁止とされ、封印されている。
- なお22世紀の技術をもってしても、時間移動範囲は500年が限界であり、また未来への時間移動は原理上不可能である(一旦過去へ行ってから、もとの時代へ帰還することは可能)。
- 時空警察(じくうけいさつ)
- M・U・DIXの項を参照。
- 時空刑事(じくうけいじ)
- DIXの中でも、一般の時空捜査官とは別に単独で任務にあたり、自らの判断で時空犯罪者を処罰する権限を持つ者たち。中でも特に優れた時空刑事には「ヴェッカー」の称号が与えられる。
- なお時空刑事が時空犯罪者を逮捕した後は、時空犯罪に巻き込まれたその時代の人間から、事後処理として時空犯罪にまつわる記憶を一切消去することにより、タイムパラドックスの発生を防いでいる。
- 時空犯罪(じくうはんざい)
- 22世紀に時間移動技術が確立して以来、発生するようになった新犯罪。時空犯罪者たちは海賊版とも言える違法の時間移動技術を使用し、別時代へ移動して悪事を働く。本作に登場するものは主に、時間犯罪の項の内の主に歴史への干渉、未来技術利用による犯罪、異なる時代への逃亡を指す。
- ズヴェーリア
- カナたちD-02の所属する時代よりも未来の時空警察に所属する、非常任務遂行用の特殊部隊。通称「影のヴェッカー」。アンドロイドとも言われているが、正体は不明。ちなみに「ヴェッカー」の語源同様、「ズヴェーリア」もまたスペイン語で目覚まし時計を意味する。
- D-02(ディーオーツー)
- 西暦2002年に駐在するヴェッカー・チーム。正式名称はDivision 2002。6人(カナ赴任前は5人)の時空刑事と、補佐役の時空捜査官1人で構成される。東京湾岸の倉庫街の一角に密かに本部を構えている。
- なお一時代に派遣される時空刑事は通常2~3名であり、2000年代への最初の派遣も、西暦2000年当時はサキ、ハルカ、エリーの3人のみであった(当時のチーム名は「D-00」)。その後の増員を経て現在の構成となったが、一時代に6人もの時空刑事が常駐しているのはD-02が唯一である。実はある理由により、2002年に生じ得るあらゆる時空犯罪を撲滅するためというDIXの思惑が隠されているが、そのことをD-02メンバーは知る由もない。
- DIX(ディックス)
- M・U・DIXの項を参照。
- ディメンションプリズン
- ヒルベルト空間(前作ではタイムホールの空白部分と解説されている)内に設置された時空刑務所。時空刑事に逮捕された時空犯罪者はまずここへ送致され、刑罰に応じた期間の間、拘束される。
- バイオロイド
- 人間の遺伝子から人工的に造り出された人造人間で、一種のクローン人間とも言える。前作で登場する時空刑事リリーはその1人。誕生時点で10歳代後半~20歳代の容姿である上、常人のように成長に伴う外観の変化は殆どない。そのため、リリーが誕生後から30~40年後に本作の時空刑事アムに初めて出会った際も、リリーの容姿は20歳程度だった。
- なおバイオロイド開発の要因は、M・U・DIXの項に記載されているような理由、及び当時はまだエリー型のような完全な人間型アンドロイドが完成していなかったためである。時空刑事にバイオロイドが投入され始めたものの、バイオロイドは歴史改変への興味の薄い者が多く、職務を放棄する者まで出始めたため、DIXでは志気を取り戻す意味でも、エキスパート・チームの結成を決定。これがヴェッカー誕生へと繋がってゆく。
[編集] 放映リスト
同一日に前・後編2話分を放映しているエピソードは、放映地区によっては別々の日に放映されている。
放送日 | タイトル | DVD時 タイトル |
ゲスト | 脚本 | 監督 |
---|---|---|---|---|---|
1/10 | PHASE 1 | 始動 |
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岡野勇気 | 長江俊和 |
PHASE 1.5 |
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1/17 | PHASE 2 | 漂流 |
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林民夫 | 川崎郷太 |
1/24 | PHASE 3 | ||||
2/14 | PHASE 4 | あこがれ |
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右田昌万 | 中島敦 |
PHASE 4.5 | |||||
2/28 | PHASE 5 | 再会 |
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依嶋佳月 | 七高剛 |
3/7 | PHASE 6 | めばえ |
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3/14 | PHASE 7 | こだま |
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河合福彦 | 中島敦 |
3/21 | PHASE 8 | 好敵手 |
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3/28 | PHASE 9 | 祈り |
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大久保智己 | 小笠原直樹 |
PHASE 9.5 ※2 |
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- ※1 : 時空警察の公式記録上であり、真実とは異なる。
- ※2 : TV放映時テロップ。書籍によっては「LAST PHASE」とも記載されている。
[編集] 物語の真相
D-02に6人もの時空刑事が常駐しているという異例、メイの正体、田中守の追う少女の正体、優秀な時空刑事であったはずのカナの両親が時空犯罪者となった理由は、以下の通りである。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
[編集] 発端
22世紀の時空警察では、毎年1年単位で未来の時間予測が行なわれていたが、2199年の予測において、2200年の歴史が存在しないことが判明する。人類滅亡、地球破滅、宇宙消滅……理由は不明だが、人類の歴史が2199年で終わることは確かだった。
時空警察は「歴史の保守」という本来の自分たちの任務に基き、滅亡を迎えるという結論を出した。
人類滅亡の原因は、1992年に峯島明なる人物が、名誉欲から発表したある発明であった。後にそれを原理とした超兵器が発明され、それにより人類は2199年、滅亡を遂げることになるのだ。
[編集] 田中担当の事件
時空警察内では当然ながら「人類滅亡」への道に意義を唱える幹部も多かった。そのため2189年、時空警察の特務部隊ズヴェーリアが1992年に向かい、峯島明を抹殺する。この事件は、未来の技術での殺人方法であったため、当時の警察では全く解決できず“謎の猟奇殺人事件”として迷宮入りした。当時の担当刑事の1人が田中守であり、彼が気に病んでいたという、両親を失った少女が、当時7歳の峯島美衣だった。
[編集] ゴドー夫妻
カナの両親である時空刑事ヒロシ・ゴドーと時空刑事ナツ・ゴドー夫妻は1992年に常駐していたが、特務部隊ズヴェーリアが峯島明を殺害しようとしていることを知り、それを阻止しようとするも失敗。結局峯島明は殺害され、ゴドー夫妻は逆に時空犯罪者の烙印を押されてしまう。
[編集] D-02発足の理由
時空警察で「人類滅亡」に反対していた幹部が、数々の調査の末、滅亡の原因が、2002年に起こる時空犯罪のいずれかであることを突き止める。そして2002年のあらゆる時空犯罪を撲滅するため、6人もの時空刑事を2002年へ派遣する。たとえ、それが「人類滅亡」という本来の歴史を変えることになっても……。
[編集] メイの正体
峯島殺害時に生き残った娘、当時7歳の美衣は、1992年の戸籍から抹消された上で、2189年の施設に預けられ、登録上は2182年生まれの22世紀人、メイ・サカキとして育てられる。
密かに歴史を変えたいという想いを抱いていたメイは時空刑事への道を選び、2199年にD-02へ派遣される。後にアムの研究が引金となって両親の研究の記憶を取り戻し、峯島美衣として2002年、電磁波動砲の原理を発表。それによりやはり、人類は2199年に滅亡を遂げる。
[編集] 最後の歴史
2002年、人類破滅の原因が「峯島美衣」なる人物と判明し、D-02へ指名手配が下る。メイが美衣だと知ったカナは、峯島明が殺害されたことが本来の歴史を歪めたと確信し、1992年へ飛んでゴドー夫妻と協力してズヴェーリアを倒し、メイから預かっていたクロノクリスタルを美衣に託す。ズヴェーリアを殺害したのはカナであるため、本来カナは時空犯罪者となるはずだが、ゴドー夫妻は敢えてその罪を自分たちがかぶり、時空の彼方へと消え去り、カナは2002年へと帰還を遂げる。
こうして最終的に改変された歴史では、カナはメイの消えたD-02で元通り時空刑事としての任務を続ける。そしてメイは時空刑事ではなく、ごく普通の少女・峯島美衣としての生活を送る。やがて、カナから託されていたクロノクリスタルに込められていたカナのメッセージを感じた美衣と峯島明は、当時の研究をもとに、同じ原理でありながら、全く利用方法が異なる平和技術を発明する。
以上で、作品の核心的な内容についての記述は終わりです。
[編集] オリジナルDVD
- 時空警察ヴェッカーD-02メモリーズ(2004年1月25日発売)
- TV版最終回より続く物語として制作された、TV未放映のもう一つのエンディング。
- 最終回での歴史改変により、サキたちはメイの記憶を失ってしまった。唯1人メイの記憶を有するカナは、サキたちを必死に説得し、メイとの時間を取り戻す為、これまでの想い出を振り返る……。
- 物語という形式をとってはいるものの、実質的にはTV本編の総集編的な作品であり、物語性は薄い。「正直、蛇足」とのファンの声もある。
[編集] 出典元
[編集] 書籍
- 『時空警察ヴェッカーD-02公式捜査ファイル』ISBN 4257036664 朝日ソノラマ、2002年12月25日
[編集] DVD
- 『時空警察ヴェッカーD-02メモリーズ』 ケングルーヴ、2004年1月25日
- 「THE MAKING OF WECKER」及び「Wecker Secret File」『時空警察ヴェッカー』全3巻、日本コロムビア、2001年6月21日
[編集] 外部リンク
カテゴリ: テレビ朝日の特撮番組 | 2002年のテレビドラマ | 2000年代の特撮作品 | タイムパトロール | 刑事ドラマ