書写
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書写(しょしゃ)とは、一義に文字を書き取ることであるが、学校教育における教科の呼称として用いられている。
- 小学校、中学校、中等教育学校の前期課程などで、国語の言語事項(授業の一部)として行われる時間のことを書写という。書写を習字(「てならい」とも読む)ということがあるが、これは終戦直後までは「習字」が正式な呼び方の時期であったことの名残りであり、正確な呼び方ではない。
- 人間の言語文化は主に言葉と文字によって形成されているが、文字がなければ新しい言葉を作る造語能力も無く(文化創造力の欠如)、特に東洋の漢字文化においては、言葉が漢字と密接に関係していることから、義務教育である小・中学校では国語の言語事項に位置づけられている。
- 内容は、主に毛筆と硬筆から構成される。「文字を正しく整えて書くこと」が目的であり、毛筆は「硬筆による書写の能力の基礎を養うよう指導」し、硬筆は「毛筆との関連を図りながら,特に取り上げて指導するよう配慮すること」とされている。(引用は学習指導要領より)
- なお、高等学校や中等教育学校の後期課程では書写ではなく、教科芸術に設けられている書道(書道1、書道2、書道3)の科目が対応する形になっている。書写が文字教育であるのに対し、書道は芸術教育であり、両者は全く異なるものであるため、一部には関連性の欠如が問題として指摘されている。
- 最近では生涯教育としての書道が脚光を浴びていることもあり、書写の生涯教育としての捉え方も注目されている。(生涯教育とは「定年後教育」のことではなく、一生涯に渡って学習するという意味であるが、全国民が幼い頃から学習している書写の毛筆・硬筆は、定年後に限らず人生のいつでも書道として気軽に始めやすく、文字を書くという行為が生活と密接につながっていることから続けやすいという長所がある。)
- 書道を学ぶ一部の者からは「書写教育が子供たちにとって将来書道をつまらなく思わせている一因であり書写は不要」との指摘があるが、文字教育の意義を否定するものであり、また前述のとおり、経験が将来的に始めやすいきっかけとして作用していることや、書写に関連して書道教室、習字塾に通う子供が多数居るという現実からも、書写の必要性を感じないはずがない。書道を尊いものとして守りたい気持ちや自尊心が強すぎるのではないかと考えられる。