書院 (ワープロ)
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書院 (しょいん) はシャープ株式会社が販売していたワープロ専用機の名称。ペン操作の採用(ペン書院)や、同社の液晶技術を活かした白黒LCD採用(モノクロでは黒よりもグリーンやブルーの方が製造が簡単で安価な為一般的だった)、カラー化(カラー書院)など、多機能化を積極的に推進していた。自社の液晶に対するこだわりから、早期にCRTモデルを全廃し、液晶モデルへの切り替えが行われた。また、企業向けモデルにおいては、液晶ディスプレイならではのメリットを生かし、表示部が回転可能になっている(縦画面にするとA4文書相当の文字数が一画面に表示可能)、可動アームにより画面を任意の方向に向けられるなどのユニークな商品を提供していた。
ワープロ専用機とはいえ、次第に表計算ソフトやはがき作成ソフト、文例作成ソフト(「直子の代筆」)、タイピング練習ソフト、そしてペン書院にはペン入力を利用したペイントソフトなど、徐々に様々なソフトが内蔵されるようになった。またパソコン通信に接続するためのソフトやFAXモデムが用意されていたほか、インターネットが普及してからはWebブラウザなども内蔵された。電子メール作成機として販売された「アイプリメーラ」も書院ベースで開発されている。他にもDOS/Vパソコンを同時搭載したPCシリーズ(書院パソコン)や、大学生協と共同で企画・開発したSRシリーズ(論文作成支援ディスクが付属、オプションとして化学構造式作成ソフト「ケミドロー」などの大学生協オリジナルソフトに対応)も製造されていた。
しかし家庭におけるパソコンの普及に押され、各メーカーともワープロ専用機の生産中止を決定していく中、シャープは最後まで生産を続けたが、ついに2001年12月末に書院シリーズも生産中止となり、2002年12月末には出荷も終了した。
なおこの書院シリーズと同様の使用感で使えるワープロソフトが同社製パソコンMZ-2861(MZ書院)に標準搭載されていた。また、同社のAXパソコンに同梱された「書院AX」は、MZ-2861のものをAX向けに改良したものである。Windows用にもワープロソフトPower書院が開発・販売されていたが、こちらも2003年12月末で開発・販売は完了し、それとともにワープロソフト「書院」はその歴史に幕を下ろし、現在は携帯電話向け日本語入力システム「ケータイShoin」にその名を残すのみである。